部分最適が、会社の成長を鈍らせる

部分最適が、会社の成長を鈍らせる

記事
ビジネス・マーケティング
会社の中で起きる問題は、
誰かが明らかに間違った行動をしているから起きるとは限りません。

むしろ実際には、
 ・営業は売上を増やそうとしている
 ・製造は効率よく作ろうとしている
 ・開発は品質を高めようとしている
 ・管理部門はルールを守ろうとしている
 ・現場は目の前の仕事を終わらせようとしている
というように、それぞれが自分の立場で正しいことをしようとしている場合が多いです。

それなのに、会社全体で見ると、
 ・至急の納期対応が増える 
 ・在庫が増える
 ・過剰品質になる
 ・社内手続きが煩雑で面倒になる
 ・重要な仕事が進まない
という問題が起きることがあります。

なぜでしょうか。

それは、各部門がそれぞれの目標に向かって動いた結果、
会社全体としての最適な状態からズレてしまうことがあるからです。

今回は、部分最適がなぜ会社の成長を鈍らせるのか、
そしてどうすれば全体として前に進めるのかを考えます。

1.それぞれは、正しいことをしている

例えば、営業部門は売上を増やそうとします。

売上を伸ばすために、
 ・顧客の要望にできるだけ応える
 ・急な納期にも対応する
 ・取扱商品を増やす
 ・値引きしてでも受注する
という判断をすることがあります。

営業としては、決して不自然な行動ではありません。

一方、製造部門は効率よく作ろうとします。

そのため、
 ・段取り替えを減らしたい
 ・少量多品種は避けたい
 ・急な仕様変更は受けたくない
 ・できるだけ計画通りに作りたい
と考えます。

これも製造としては自然な判断です。

管理部門であれば、
 ・ルールを守る
 ・例外対応を減らす
 ・申請や承認を徹底する
 ・リスクを抑える
ことを重視します。

これも会社を守るためには必要です。

つまり、多くの場合、問題は「どこかの部門が悪い」ことではありません。
それぞれが、自分の役割に対して真面目に取り組んでいる。
それでも、会社全体ではうまくいかないことがあります。

2.部門ごとの正しさが、会社全体のズレを生む

問題は、それぞれの部門が見ているものが違うことです。

営業は売上や顧客満足を見ています。
製造は生産効率や品質安定を見ています。
開発は商品の完成度や新しさを見ています。
管理部門はリスクやルール順守を見ています。

それぞれの視点は必要です。

しかし、各部門が自分の目標だけを追いすぎると、
会社全体では矛盾が起きます。

例えば、営業が顧客ごとの細かな要望をすべて受けると、
売上は増えるかもしれません。

しかし、その分、
 ・製造の段取りが増える
 ・在庫が増える
 ・納期管理が複雑になる
 ・原価が上がる
 ・利益が残りにくくなる
ということが起きます。

営業としては売上を作っている。
製造としては効率を守りたい。
管理部門としてはルールを守りたい。

どれも正しい。

しかし、会社全体で見ると、仕事が複雑になり、利益も薄くなる。
これが部分最適の怖さです。

3.解決が難しいのは、誰も間違っていないから

部分最適が難しいのは、それぞれの判断に理由があることです。

営業には営業の事情があります。
製造には製造の事情があります。
管理部門には管理部門の事情があります。

どの部門も、自分たちなりに正しい説明ができます。

そのため、話し合いをしても、
 ・営業は「顧客対応が必要だ」と言う
 ・製造は「現場が回らない」と言う
 ・管理部門は「ルール上難しい」と言う
という形になりやすいです。

結果として、議論は「どちらが正しいか」になってしまいます。
しかし、本来考えるべきなのは、どの部門の主張が正しいかではありません。

会社全体として、何を優先すべきかです。

部分最適の問題は、部門同士の意見の違いではなく、
全体としての優先順位がそろっていないことから生まれます。

4.必要なのは、部門を責めることではない

部分最適が起きたときにやってはいけないのは、
特定の部門を責めることです。

「営業が無理な案件を取ってくるから悪い」
「製造が柔軟に対応しないから悪い」
「管理部門が細かすぎるから悪い」

このように考えると、部門間の対立が強くなります。
それぞれの部門には、それぞれの役割があります。

営業が顧客を見なければ、売上は作れません。
製造が効率や品質を見なければ、安定した供給はできません。
管理部門がルールやリスクを見なければ、会社は危うくなります。

問題は、それぞれの役割があることではありません。
それぞれの判断を、会社全体の目的につなげる仕組みが弱いことです。

5.会社全体で見るための3つの問い

部分最適を減らすには、部門ごとの主張を並べるだけでは不十分です。
会社全体で見たときに、何を優先するのかを整理する必要があります。

そのためには、次の3つの問いが役立ちます。
① 会社全体として、何を最も重視するのか
売上を伸ばすのか。
利益率を改善するのか。
特定の商品を伸ばすのか。
顧客対応力を高めるのか。
業務負荷を下げるのか。

すべてを同時に最大化することはできません。
まず、会社全体として何を優先するのかを明確にする必要があります。

② その判断は、全体の利益につながっているか
ある部門にとって良い判断でも、
会社全体では負担を増やしている場合があります。

売上は増えるが、原価も在庫も管理負荷も増え、
利益が残らない案件もあります。

一見すると顧客満足につながるが、現場の疲弊を招き、
品質や納期が不安定になる対応もあります。

判断するときは、部門内のメリットだけでなく、
会社全体への影響を見る必要があります。

③ どこに負担やしわ寄せが出ているか

部分最適は、別の部門に負担を移しているだけの場合があります。

営業の柔軟な対応が、製造の負担になっている。
管理部門の確認強化が、現場の作業時間を奪っている。
開発のこだわりが、販売現場の説明負担を増やしている。

どこかの部門で良くなったように見えても、
別の部門にしわ寄せが出ていないかを確認することが大切です。

6.まとめ

会社の問題は、誰かが明らかに間違っているから起きるとは限りません。

営業は売上を追う。
製造は効率を追う。
開発は品質を追う。
管理部門はルールを守る。

それぞれは、自分の役割として正しいことをしています。

しかし、その正しさが部門の中だけで完結すると、会社全体ではうまくいかないことがあります。

部分最適が積み重なると、
 ・在庫が増える
 ・調整が増える
 ・現場が疲弊する
 ・利益が残りにくくなる
 ・重要な仕事が進まない
という問題が起きます。

大切なのは、どの部門が悪いかを決めることではありません。

会社全体として、何を優先するのか
を明確にすることです。

そして、部門ごとの判断を、その方針につなげることです。

それぞれの部門が正しい方向へ努力しているからこそ、
全体で見る視点が必要になります。

もし、
「部門ごとの主張は分かるが、会社全体として判断がまとまらない」
「売上は増えているのに、現場の負担や在庫も増えている」
「部門間のすれ違いを整理したい」
という場合は、状況整理のお手伝いも可能です。

ブログでは一般的な考え方をお伝えしていますが、実際には会社ごとの組織体制、目標、評価制度、業務フローによって、取るべき対応は変わります。

現状の課題や部門間のすれ違いをお聞かせいただければ、どこで部分最適が起きているのか、会社全体として何を優先すべきかを一緒に整理することも可能です。

感覚ではなく、構造で整理する。
それだけで、会社の動き方は変わります。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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