オート任せではカメラはカバーしきれない その場所の光のコンディションは自分で読む

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カメラを買ったばかりならば、「何も考えず、被写体の方に向かってシャッターを切るだけ」でも仕方ないかもしれません。しかし、いずれは構図やシャッターチャンスも気にするようにしましょう。

そして、もうひとつ、初心者から抜け出すのに必要なことがあります。「差し込んで来る方向や色合いなど、被写体を取り囲んでいる光のコンディションを読む」です。

肉眼で見たときと写真にしたときの印象が変わる理由

肉眼で見たときはそうは気が付かず、写真になって始めて「変だな」と気がつくことはないでしょうか。たとえば、思ったより赤かったり、青かったりすることはないでしょうか。あるいは、コントラストが強すぎたり弱すぎたりしないでしょうか。

今のデジタルカメラならば、色調やコントラストを調整・補正する機能は付いてます。それも、オートにしてカメラ任せにすることもできます。しかし、調整・補正しきれなかったり、逆にしすぎたりすることも少なくありません。

また、色調やコントラストの正解はひとつとは限りません。撮った人なりのこだわりまでは、カメラのオートは理解してくれません。

一方、肉眼で見たときも、眼球や脳で、見える光景を補正しています。暗いところは瞳孔を開けて少しでも情報を読み取るようにし、照明のせいでずれた色合いは、そのもの本来の色(太陽光で見た場合の色)に直して記憶します。

眼球や脳でやった補正と、カメラがやって1枚の写真として残した補正は、そうは簡単には一致しません。肉眼で見たときと写真にしたときの印象が変わるのは、そのためです。

オートに設定していても、自分で光を読む

色調を調整する「ホワイトバランス」のオートや、コントラストを調整する「ダイナミックレンジ」のオートを使うとしても、自分でもその場の光を読むようにしましょう。でないと、その場所と被写体で撮れる可能性のある写真・無理な写真もわかりません。

・チェックするべき光のコンディション3種

光のコンディションは、撮った直後にモニターなどで確認することもできます。しかし、できれば撮るよりも前に予測がつくようにしたいものです。その方が失敗が減る上、テキパキと写真が撮れます。

次の3つが、その「光のコンディション」の代表です。

(1)順光・逆光

問題になることが多いのは逆光の方でしょう。露出オートで撮ると、主役が露出不足になりがちです。また、真正面からの逆光の場合、主役に露出を合わせることができても、コントラストが不足することが大半です。

さらに、逆光を作り出している光源によってはフレアが発生します。レンズ内に直接太陽光が差し込み、撮った写真の中に光の輪ができているのが、フレアの典型です。写真表現として狙ったものではない限り、レンズフードを用いたり、板などをかざすことで、差し込む光をさえぎるようにしましょう。

順光で撮るのが無難です。ただし、撮るものによっては、「写真表現としてつまらない」「立体感がなくなる」とされることがあります。被写体や撮影意図によっては、逆光や半逆光で撮るほうがいい場合もあります。

(2)光源の種類

身の回りには、太陽光・蛍光灯・LED電球などさまざまな光源があります。もっとも発色のいいのは、やはり太陽光です。太陽光はさまざまな種類の波長を含んでいて、イメージセンサーも光の情報をキャッチしやすいのです。

一方、蛍光灯などは一部の波長しか含んでいません。中でも要注意なのは、一般用のLED電球です。同じように光を放っているように肉眼では見えても、蛍光灯よりもさらに少ない波長しか使っていません。

ただし、LEDでも、ビデオ撮影用・写真撮影用に作られたものは問題ありません。また、ストロボは太陽光とほぼ同じだけの波長を含んでいます。

太陽光・蛍光灯・LED電球ごとに色温度が異なるのも要注意です。「色温度」とは、ひとことでいえば「色合い」です。あまり見なくなりましたが、白熱灯(裸電球)の光は太陽光に比べかなり赤みがかかっています。蛍光灯で照らしたものを写真にすると、緑っぽくなります。

補正する機能は「ホワイトバランス」です。ただし、オートで使うと、自然に見えるとろまで直しきれなかったり、逆に直しすぎて、その場の雰囲気が消えてしまったりする場合も少なくありません。

(3)影の強さ

これら3つの中では、初心者が最後まで手を焼いたり、まったく気にしないままになってしまいそうなのが、この影の強さではないでしょうか。

ベッタリと真っ黒になった影は、被写体の下や後ろに少しあるだけで、見る人の目はそっちにいってしまいます。あるいは、1枚の写真全体で考えても、肉眼で見たときと写真になったときの印象が大きく異なることがしばしばです。

これを避けるには、「メインとなる光以外にもうひとつ用意する」のが最も効果的で、ありえる方法でしょう。「昼間であっても、ストロボを炊く」「反射板を用意してメインの光源の光を反射させ、他の角度からも被写体を照らす」などが、具体的なその方法です。けっこう面倒なので、初心者には手を出しにくいのも無理はありません。

・ひとつの光景の中でもコンディションが同じとは限らない

原画&加工後 copy.jpg
比良山地の上から、琵琶湖をながめる。

撮ったままでは、ガスのせいで琵琶湖が見えにくい。しかし、肉眼では目を凝らして見るので、地上の様子も見えている。見えている状態で記憶にも残しているだろう。

また、人影も逆光気味で黒くつぶれているのを、起こしている(はっきりさせている)。

「見た目の印象」では、地上も人影も補正後のほうが近いはずだ。
光のコンディションは、写真に収めようとする光景の中で、1種類とは限りません。

たとえば、講演会風景を撮ると、演台の上の出席者だけ照明が当たっていることがあります。公園で記念撮影でもすると、日向と木陰で明暗がしっかりと分かれていたりもします。

撮影時に対応できるものと、できないものがあります。たとえば、そう大きくなくて近い距離にあるものの周辺だけ暗いのならば、ストロボを炊くことで光が補えます。大きな建物にでもなれば無理です。

ここで詳述する余裕はありませんが、その見極めも大事です。

撮影後のレタッチに頼るのは最小限に

明るすぎた・暗すぎた、思っていたのと色がずれたといった場合、Pohtoshopなどの写真加工ソフトを使って、後からでも補正することも、ある程度はできます。

しかし、撮影時にちゃんと光のコンディションに合わせた撮り方をしておくのが、大原則です。後からの補正は、できるだけ最小限にしましょう。補正の幅が大きかったり、回数を重ねると画質が落ちます。また、直したところで、色合いが不自然だったり、コントラストがおかしくなったり、輪郭線がぼやけたりすることが珍しくありません。

ただ、先に触れたように、1枚の写真に収めようとする光景の中で違うコンディションがいつくかある場合、その全部を撮ったときから適正にするのは、当然無理です。これは、後からの補正で対応するしかありません。

また、どうしても明暗で迷う場合には、やや暗め(露出アンダー)に撮影しておくと、後からの補正も楽になります。白くなっている場合は、画像の中の色などのデータが足りない状態と考えてください。黒くなっている場合は、逆にデータが多すぎます。ないものを作り出すことはできませんが、多すぎるものを間引くことはできるのです。

また、色合いについては、「RAWデータ」で記録しておけば、後からの補正は楽で、できることの幅も広がります。ただし、これについては、中級者以上になったときの課題と考えておいたほうがいいでしょう。今は、「ちょっと特別なことをやれば、色合いも後からでも補正しやすい」とだけ覚えておいてください。


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