初心者から抜け出したい人のための、各シャッタースピードごとの特徴解説

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「シャッタースピードや絞り値を、いつまでもオートで撮っていては初心者から抜け出せません。思い切って、自分で設定するようにしましょう」のアドバイスはよく見かけます。しかし、「1/60秒だの、1/1000秒だのいっても、それがどういったものか実感がわかない」といった人が大半ではないでしょうか。

ここでは、そういった初心者のために、「○○を撮るときは、○秒を選びましょう」ではなく、「○秒とはどういったシャッタースピードか」の視点からご説明します。

目的別シャッタースピードの選び方

ここに挙げる数値とシチュエーションは、あくまで標準的なもので考えています。たとえば、「1/60秒以上」としている「標準レンズを使って手ぶれさせない」も、カメラの持ち方を訓練し、体調もよければ「1/8秒」でも、しっかりと止めることも可能です。

・被写体ぶれを防ぐために選ぶシャッタースピード

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「被写体ぶれ」とは、イメージセンサーに画像を記録している最中に、被写体が移動することで発生するぶれです。当然のことながら、被写体ぶれを防ぐには、その移動スピードが早く、画面にいっぱいいっぱいに撮るほど、速いシャッタースピードが必要です。

1/1000秒以上=モータースポーツで、自動車やオートバイをアップ目に撮るときは、シャッタースピードは可能な限り速いものを選ばなければなりません。ただし、「1/2000秒か1/4000秒でないと被写体ぶれが目立つ」ぐらいのスピードで移動しているものは、ほとんどのアマチュアにはレンズで追いかけきれません。

1/250〜1/500秒以上=野球やサッカーなど選手1、2人を画面に納めるときに、最低でもほしいシャッタースピードです。ただし、野球のバッターを撮ったときは、このシャタースピードでは、体の大部分は止まっていても、バットやボールはぶれて写ります。ただ、それはそれで動きが感じられる写真になるはずです。

1/250秒以上=子どもの運動会や、子どもやペットが飛びはねている様子を撮るときは、野球選手やサッカー選手と同じシャッタースピードを選ぶといいでしょう。あるは、もう少し遅めでもOKかもしれません。

1/60〜1/250秒=風に揺れている状態で、花などを接写する場合は、その揺れの激しさに合わせてシャッタースピードを選ぶ必要があります。ただし、何枚か撮っていると、たまたま揺れが収まって、遅めのシャッタースピードでもぶれが発生しないこともあります。

・手ぶれを防ぐために選ぶシャッタースピード

イメージセンサーに光が当たっている最中に、カメラを揺らしてしまうことで発生するのが「手ぶれ」です。今は多くのカメラボディーやレンズに「手ブレ補正機能」が搭載されています。ただ、カメラボディーとレンズの組み合わせ次第では、どちらにも搭載されていない場合もあります。また、レンズに搭載されている場合、「機能を使うと画質が少し落ちる」との指摘もあります。

以下の2つは、「手ブレ補正機能がない」、あるいは、「手ブレ補正機能をわざとオフにして使う」場合です。

1/60以上=超広角レンズ・広角レンズ・標準レンズを使う場合。あるいは、ズームレンズでこれらに相当する焦点距離で使う場合です。

1/(レンズの焦点距離)以上=85ミリ相当の中望遠レンズならば1/85秒以上、200ミリ相当の望遠レンズならば1/200秒以上ということです。これらのシャッタースピードがあるとは限らないので、実際にはこらの近似値です。望遠になるほど、狭い画角をとらえており、手もとの揺れがそれだけ大きくぶれるため、それに応じた高速のシャッタースピードが必要になります。

・流し撮りのときのシャッタースピード

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「流し撮り」とは、被写体の移動に合わせてレンズの向きを変え、背景をわざとぶらす撮り方です。スピード感を表現できるので、電車などの乗り物を撮る人に好んで使われます。

正直に申し上げて、初心者にはかなりハードルの高い撮り方です。ただ、乗り物写真は人気があるので、将来の課題として紹介しておきます。

1/125秒以下=望遠レンズを使うことが多いので、手ぶれの警戒も必要です。かといって、シャッタースピードを上げてしまうと、背景が流れません。1/125秒か、場合によっては1/250秒から始めて、順にシャッタースピードを下げていくといいかもしれません。

・星景写真を撮るときのシャッタースピード

これも将来の課題と考えていいでしょう。使うレンズやカメラボディーなども一定のレベルが要求されます。

20〜30秒=天の川などを撮るときのシャッタースピードです。これ以上になると、地球の自転で星が流れてしまいます。また、逆に円周運動を記録したいのならば、シャッタースピードは分単位です。

・花火を撮るときのシャッタースピード

花火も人気のある被写体ですが、必要な道具の面でも、テクニックの面でもむずかしと考える人が多いのではないでしょうか。実はいくつかのポイントを押させると、比較的簡単に撮れます。

バルブ=1枚の画像データに何度かシャッターを重ねる「多重露光」が花火撮影の定番です。その代わりがこの「バルブ」で、シャッターを開けたままにした状態です。カメラは暗いところに置き、まずは黒い紙などでレンズの前を塞ぎます。写したい花火が上がった時だけそれを外せば、数発分の花火を1枚に収めることができ、華やかな写真になります。

・ストロボを使うときのシャッタースピード

どのデジカメも、ストロボが使える上限のシャッタースピードが決まっています。

1/125〜1/250秒=その上限が、遅いもので1/125、速いもので1/250秒あたりです。これを超えて設定すると、カメラの方で自動的に限度のシャッタースピードに変えます。あるいは、その機能がなければ、画面の中の一部にしか光が当たっていない失敗写真になります。

初めは失敗も多いが、いずれ慣れる。そのうちに、初心者ではなくなる

写真撮影は、知識だけでできるものではなく、テクニックも必要です。これらのシャッタースピードにかんする知識を身に付けても、そのまま実践できるわけではありません。また、ここで採り上げたのはシャッタースピードだけです。同じぐらい大事なものに、露出(絞り値)や構図があり、これらに次ぐものに感度や色温度があります。

最初は失敗も多いでしょう。しかし、そのうち慣れてくるでしょうし、自分なりの工夫もし始めるはずです。同時に、自分が使っているカメラボディーやレンズの限界にも気がつくでしょう。

この試行錯誤を重ねていると、知らず知らずのうちに初心者ではなくなっているはずです。


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