ストロボの反射やガラスへの映り込みなしに、ショーケースの中の商品を撮る方法

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「街ですてきな商品を見かけた。ショーケースの中に入っているのを写真に撮ったけども、ガラスが反射した」といった経験はないでしょうか。あるいは、「お店のホームページに使う写真のために、ガラスケースを撮った。しかし、思った以上に店内の照明などが映り込んだ」はないでしょうか。

少し条件がそろうか少しのツールを用意し、撮り方も工夫すれば、案外すっきりと撮れます。

反射や映り込みをさせないための基本的な考え方

「ガラスの透明度が高ければいいのに」の考え方も間違いではありません。しかし、どんなに透明度が高くても、周囲の光景がガラスに映るときはあります。ストロボを炊きでもしたら、写っているのは、ストロボの反射ばかりで中身はまったく見えないことも珍しくありません。

考えることは、次の2点です。

(1)前面のガラスには光を当てない。

(2)ケースの中を明るくすることで、前面のガラスの映り込みを相対的に暗くする

レンズをガラスにピッタリと付けて撮ることで、カメラボディーやレンズ、自分の体がガラスに対して陰を作り、(1)の条件が満たせるかもしれません。また、映り込んでいた光景もさえぎることができるかもしれません。しかし、レンズと被写体の距離が決まってしまい、構図の選択肢が減ります。

また、中級者以上の中には、「映り込みを消すには、偏光フィルターを使えばいいのでは」と考える人もいるでしょう。「偏光フィルター」とは、被写体の乱反射を抑えて撮るために、レンズの前に装着するガラスのことです。確かに、偏光フィルターで映り込みが消える可能性もありますが、多くの場合、それほど効果は高くありません。

解決策①天井バウンスをする

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「天井バウンス」とは、発光部の方向が変えられるストロボを使い、天井にストロボ光を当てて、間接的に被写体を照らす方法です。当然、光は天井から降り注ぎます。

「ショーケースが置かれている場所の天井が低め」「ショーケースの天板が透明」「写したいものが1番上の棚にある」の3条件がそろった場合に使える方法です。少々雑にやっても効果はありますが、光を当てる天井の位置を選んで、反射してきた光が前面のガラスに当たらないようにすれば、いっそうはっきりとショーケースの中だけ写ります。

自分でストロボの光の強さや絞り値などを選べる人ならば、ほとんど迷わずにできるはずです。もし、オートでしか撮ったことがないならば、ストロボやカメラボディーの説明書を読みながら、次のようにすればいいでしょう。

(1)ストロボはフル発光(マニュアルに設定し、最大の強度で発光させる)。

(2)絞り値や感度はどこから始めてもいい。ただし、写った結果の「明るすぎる」「暗すぎる」をチェックしながら、段階的に変化させていく。

ポイントは(1)です。天井からの光が強けば強いほど、ショーケースの中が明るくなります。同時に、前面のガラスに映っている周囲の光景は相対的に暗くなり、写真の中には写りません。

また、費用を掛けてもいいのならば、専用のコードやリモコンを利用してストロボをカメラボディーから離し、ショーケースの上空から照らす方法もあります。ただし、ストロボの光で撮ると、影が濃くなるなどの不自然さが出がちです。もしかしたら、「天井バウンスの方がよかった」となるかもしれません。

さらには、「コードなどでストロボを離し、さらに、その位置で天井バウンスをする」もありえます。だた、ここまでいくと、初心者の手には負えないでしょう。

解決策②前面のガラスにストロボかLEDライトをくっつける

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「ショーケースの天板が透明ではない」「狙っている被写体がショーケース内の2段目から下にある」「バウンスできるような天井がない」場合でもあきらめる必要はありません。

先ほど申し上げたコードやリモコンを使ってストロボを離し、発光部を前面のガラスに付ければいいのです。これで、「前面ガラスは光らせずに、中にだけに光を当てる」ができます。

ただし、コードは多くが3,000円前後かそれ以上です。しかも、大半のものが2メートルあるかないかぐらいの長さで、それ以上の長さが必要ならば複数を用意して連結する必要があります。リモコンは2〜3万円とかなり高価です。

「ストロボ+リモコン」「ストロボ+コード」よりもおすすめなのが、ビデオ撮影用・写真撮影用のLEDライトです。1,000円前後から実用的なものがあります。また、ストロボよりも軽量です。

どのように使うかは、そのときの条件次第ですが、一例を挙げれば、「2つ用意し、カメラの前だけ空けて、両面テープで前面のガラスの左右に貼り付ける」があります。「2つ」としているのは、ひとつだけでは影の出方が調整しにくいためです。

ストロボでは、重量を考えると両面テープでは安心できません。2つ同時の発光も可能ですが、別にツールが必要になります。発光量が小さいのはデメリットですが、使い勝手のよさでは、LEDライトの方が上です。

窓ガラスや水槽などにも応用できる

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正面からストロボを当てた写真(上)と、専用のコードを使ってストロボを離し、水槽の真上から光を当てた写真(下)
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商品そのものだけをピックアップしたいのならば、ショーケースの外に出せばいいでしょう。ただ、「それはそれで撮るが、ほかの撮り方の写真もないと、ホームページの内容が貧弱になる」「お店の雰囲気も見せたいし、商品も見せたい」場合には、前面のガラスは透かして、中の商品をすっきり見せる撮り方も必要です。

また、この撮り方は、ショーウインドーや水槽、窓ガラスなどにも応用できます。マスターすれば、これまであきらめていた被写体・撮れる可能性を考えていなかった被写体まで、関心を向けられるようになるはずです


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