「どれが正しいの?」と迷ったとき~ボイトレ情報との付き合い方~
記事
音声・音楽
ボイストレーナーの動画を見て、
「どれが正しいの?」と迷ったことはありませんか?
独学でボイトレをしようと思い立ち、
いろいろ見てみると、
同じことを言っているようには聞こえない。
ときには、正反対のことを言っているように感じたり、
「多くのボイストレーナーは間違っています」といった内容のものも、
残念ながら見かけることがあります。
「どれが正しいのか、教えてほしい」
そう思うのも、無理はありません。
実際、研究熱心な生徒さんから、
同じようなご質問をいただくこともよくあります。
少し昔の話になりますが、
私の頃は、今のような動画ではなく教則本でした。
ボイトレ関連の本をいくつも購入して読み漁り、
レッスンでお世話になっている先生に、
「どれを実践すればいいですか?」と、
まとめてお渡ししたこともあります。
早く成長したい。
効果のある練習を選びたい。
安心して取り組める“正解”がほしい。
その気持ちは、とてもよくわかります。
では、実際のところどうなのかというと——
私は、「人それぞれ」だと考えています。
ボイストレーナーは、
自分自身の体で経験してきたことや、
多くの声を見てきた中で得た知識を、
言葉にしてお伝えしています。
そして、声を出す楽器は「体」。
体のつくりが違うということは、
楽器そのものが一人ひとり違う、ということです。
さらに言えば、
今の状態——いわば“楽器のコンディション”も、それぞれ違います。
だからこそ、
「この人が正しくて、この人は間違っている」と
単純に分けることはできません。
たとえば、
深い呼吸がまだ難しい方にとって、
ロングトーンやビブラートの練習は少し早いかもしれません。
中低音が安定していない状態で、
ミックスボイスやヘッドボイスに取り組むと、無理が出ることもあります。
音程が取りにくい段階で、
ピアノに合わせて音階練習をしても、うまくいかないことがあります。
大切なのは、
「今の自分の状態に合っているかどうか」。
情報の多い時代だからこそ、
“正しさ”を探すよりも、
“今の自分に合うかどうか”という視点を持つこと。
それが、遠回りに見えて、
実は一番確実な近道になることもあります。
もし、ボイストレーナーに相談できる環境にあるなら、
「今の自分には、どの動画を参考にすると良いですか?」
「この動画は、今の自分が取り入れても大丈夫でしょうか?」
そんなふうに聞いてみるのもひとつです。
「どれが正解ですか?」と尋ねるよりも、
今の状態に合わせた、柔軟な答えが返ってくることが多いと思います。
そんな視点も、少し取り入れてみてくださいね。