今、私は自分の終活と同時進行で、家業の終わりの片付けをしています。
だから、毎日のように物の整理をしています。
その中で、大切にしているのは、
「何でもとっておきたい親の気持ちを傷つけないように、いかにして手放していくか」ということです。
昔、こんなことがありました。
うちの父はゴルフが趣味で、
人生のほとんどをゴルフに捧げてきたような人です。
90歳の今も、元気にゴルフを続けています。
15年ほど前、そんな父のゴルフのトロフィーを、全部捨てようとしたことがあります。
なぜかというと、私にとっては「過去の栄光」は今の生活には不要に思えたし、
場所も取るので、今を快適にするためには手放した方がいいと考えたからです。
でも、それを父に見つかってしまい、ものすごく怒られました。(笑)
その時は、どうして怒られているのか、全く理解できませんでした。
それから年月が流れ、弟が家業を継がないと決まり、
仕事場の片付けをしている父の背中が、どこか寂しそうに見えるようになりました。
そして気づいたのは、父が「何でもとっておくようになった」ということです。
コーヒーの空き瓶、ジャムの瓶、サプリの容器、
使う予定のない封筒や、埃をかぶった古い仕事道具。
気がつけば、どんどん物が増えていきました。
一番驚いたのは、黄ばんだクリアファイルを処分しようとした時に、
母と一緒に「捨てるかどうか」を真剣に悩んでいる姿を見たときです。
「そんなに悩むものなの?」と、思わずびっくりしました。
でもその時に、
「過去のものを捨てる」ということは、
両親にとっては「思い出を手放すこと」なんだと、少しだけ理解できた気がしました。
それでも、物は減らしていかなければいけません。
試行錯誤する中で、いくつか自分なりの方法が見えてきました。
ひとつは、すべてを自分の思い通りに捨てようとせず、
両親の意向も取り入れながら進めることです。
そうすると、片付いた状態を一緒に喜んでくれるようになります。
また、一緒に片付けに参加してもらい、役割を持ってもらうことで、
「捨てること」にも少しずつ同意してもらえるようになりました。
もうひとつは、すぐに捨てずに、いったんその場から移動させて様子を見ることです。
例えば、10年以上貼られていた仕事場のポスターを全部外したとき、
強い反発があるかと思ったのですが、意外にも何も言われませんでした。
「戻して」と言われたら貼り直そうと思って取っておいたポスターも、
結局そのまま処分することができました。
冷蔵庫の中の、とうに賞味期限が切れた食べ物も、
「もったいない」と言われてなかなか捨てられません。
そんな時は、見ていないタイミングで少しずつ処分していくと、
意外と問題なく手放せることもあります。
そんなふうに、捨てたがらない親と折り合いをつけながら片付ける方法を見つけたことで、
私の気持ちは少し楽になりました。
そして気がつけば、私自身も終活を考える年代になりました。
弟も妹も住まなくなったこの家で、
一人、物と向き合いながら、少しずつ整えています。
もしできるなら、まだ使えるものは誰かに譲ったり、
新しい持ち主のもとへ送り出してあげたい。
そんなことを思いながら、
今日もひとつ、またひとつと、物と向き合っています。