恋は、
付き合ってから始まるものだと思っていた。
「好きです」と伝えたり、
「付き合おう」と言われたり、
ふたりの関係に名前がついてから、
やっと恋が始まるのだと思っていた。
でも本当は、
恋はもっと前から始まっているのかもしれない。
まだ好きかどうか分からない時。
気になるだけなのか、
恋なのか分からない時。
連絡が来るだけで嬉しくなって、
でも返事に悩んでしまう時。
優しくされて期待して、
そのあとすぐに怖くなる時。
そんな、まだ形になっていない時間の中にも、
ちゃんと恋の始まりはあるのだと思う。
私はずっと、
この曖昧な気持ちを早くどうにかしたかった。
好きなのか。
違うのか。
脈ありなのか。
ただの優しさなのか。
進んでいいのか。
やめたほうがいいのか。
答えを出さないと、
落ち着けない気がしていた。
でも、答えが出ない時間にも、
私の心はちゃんと動いていた。
嬉しかった。
不安だった。
期待した。
怖かった。
また話したかった。
でも、傷つくのは怖かった。
その全部が、
私の大切な気持ちだった。
好きになる前の気持ちは、
とても繊細だと思う。
まだ何も始まっていないから、
誰にも相談しにくい。
「まだ付き合ってないのに」
「ただの知り合いなのに」
「そんなことで悩むのは早いかな」
そう思って、
自分の気持ちを小さくしてしまう。
でも、まだ始まっていないからこそ、
苦しいこともある。
相手の気持ちが分からない。
自分の気持ちにも名前がつかない。
期待していいのか分からない。
引いたほうがいいのか、
少し近づいてもいいのか分からない。
だから、たった一言で嬉しくなる。
だから、たった一日連絡がないだけで不安になる。
だから、他の人と楽しそうに話している姿を見て、
胸がざわついてしまう。
それは、弱いからではない。
それだけ心が動いているから。
それだけ誰かを大切に思い始めているから。
そして、
もう傷つきたくないと思うくらい、
今までの恋を一生懸命してきたから。
私は何度も、
自分の気持ちにブレーキをかけようとした。
期待しないほうがいい。
勘違いだったら恥ずかしい。
本気になったら苦しくなる。
また傷つくくらいなら、
最初から好きにならないほうがいい。
そうやって、
心が動くたびに止めようとした。
でも、止めようとしても、
心は勝手にその人を思い出してしまう。
また会えたらいいなと思う。
連絡が来たら嬉しくなる。
少し優しくされただけで、
一日中その言葉が残ってしまう。
そんな自分を見て、
私は思った。
ああ、私は本当は、
誰かを好きになることを怖がっているんだ。
その人が怖いわけではない。
恋が怖いのかもしれない。
期待することが怖い。
信じることが怖い。
心を開くことが怖い。
でもそれは、
私の心が弱いからではなく、
ちゃんと自分を守ろうとしているからだった。
好きになることは、
嬉しいだけではない。
楽しいだけでもない。
相手の言葉に心が動く。
相手の態度に不安になる。
近づきたいのに怖くなる。
信じたいのに疑ってしまう。
そんな自分に戸惑うこともある。
でも、それでも誰かを気になると思えたことは、
とても大切なことなのかもしれない。
過去に傷ついても。
期待するのが怖くても。
また苦しくなるかもしれないと思っても。
それでも心が少し動いた。
それは、
私の中にまだ、
誰かと向き合いたい気持ちが残っているということ。
誰かを好きになる力が、
まだ消えていないということ。
だから私は、
恋が始まる前の自分を責めるのを、
少しずつやめていきたい。
LINEの返事に悩む私も。
相手の一言を何度も思い返す私も。
優しくされて期待してしまう私も。
好きな人の前で緊張する私も。
本気になりそうで怖がっている私も。
全部、私だった。
恥ずかしい自分ではなく、
一生懸命に恋を感じている私だった。
恋の結果は、まだ分からない。
相手が同じ気持ちなのかも分からない。
この先、進展するのか。
それとも、静かに気持ちが落ち着いていくのか。
それは今すぐには分からない。
でも、結果が出る前の私にも、
ちゃんと意味がある。
悩んだ時間も。
期待した時間も。
怖くなった時間も。
自分の気持ちを見つめた時間も。
それは、無駄ではない。
恋が叶うかどうかだけで、
この気持ちの価値が決まるわけではない。
誰かを気になったことで、
私は自分の心を知ることができた。
私は何が嬉しいのか。
何が怖いのか。
どんなふうに大切にされたいのか。
どんな関係なら安心できるのか。
恋が始まる前の揺れの中で、
私は少しずつ自分の本音に気づいていた。
これからは、
相手の気持ちを探すだけではなく、
自分の気持ちも大切にしたい。
相手に好かれるかどうかだけではなく、
私はこの人といる時に安心できるのか。
無理をしすぎていないか。
自然な自分でいられるのか。
嬉しい気持ちも、怖い気持ちも、
ちゃんと大切にできているのか。
そこも見てあげたい。
恋は、
相手に選ばれるためだけのものではない。
自分の心を置き去りにしながら、
誰かに合わせ続けるものでもない。
相手を知っていくように、
自分の心も知っていくもの。
相手を大切に思うように、
自分の気持ちも大切にしていいもの。
だから、
まだ答えが出なくてもいい。
好きかどうか、
はっきり決められなくてもいい。
期待してしまう日があってもいい。
怖くなって立ち止まる日があってもいい。
恋が始まる前の私は、
不安定で、臆病で、考えすぎかもしれない。
でも、それでもいい。
その揺れごと、
私は私を大切にしていきたい。
もし今、あなたが
「気になる人がいるけど、どうしたらいいか分からない」
「好きになりそうで怖い」
「期待してしまう自分を責めてしまう」
「まだ何も始まっていないのに、心が疲れている」
そんな気持ちを抱えているなら、
どうか自分を責めすぎないでください。
恋が始まる前の不安も、
ちゃんと大切な気持ちです。
まだ名前のつかない想いも、
あなたの心に生まれた本当の気持ちです。
焦らなくて大丈夫です。
無理に答えを出さなくて大丈夫です。
好きになるかもしれない。
でも、怖い。
期待したい。
でも、傷つきたくない。
その両方があっていいのです。
あなたの心は、
ちゃんと恋を感じながら、
同時にあなたを守ろうとしているのです。
心葉(ここは)では、
あなたの気持ちを否定せずにお聞きしています。