◆設定と物語の簡易プロット
場所:進学校
時期:文化祭二カ月前
人物:主人公
ヒロイン・丹藤さん
特徴:主人公・東大首席入学を目指す。本当は絵が描きたい。
ヒロイン・漫画研究部部長。編集者志望。
①テスト中にペンを走らせて絵を描く主人公。
先生に注意される。
後日わかるが、そのテストで満点なのは主人公だけだった。
②となりの席の丹藤(たんとう)さんは
主人公の絵を見て漫画研究部にスカウトする。
彼女は漫画研究部の部長だった。
③両親に絵を描いていることを秘密にしている主人公は、
塾があるからと部の勧誘を断る。
丹藤さんは放課後の30分だけとお願いする。
それにペンネームを使えば正体は絶対にバレないと助言をする。
親に東大に首席で入学することを望まれている主人公は悩むが、
絵を描きたい気持ちを押さえられずに入部する。
④勉強漬けの主人公が絵を描けるのは授業中と放課後のみ。
家では親に秘密にしないといけないし勉強しないといけない。
⑤主人公の絵にストーリー性を感じた丹藤さんは、
絵だけではなくマンガを描くことを提案する。
⑥丹藤さんは漫画研究部の部長でもあり、
今年の部誌の売り上げに責任がある。
文化祭で100部以上売れなければ廃部となるのだ。
⑦丹藤さんのアドバイスもあり、
16ページのマンガに挑戦する主人公。
丹藤さんにお守りの『金色のペン先 Gペン』を貰う。
⑧ただ、授業中と放課後の30分、
後はたまに塾をサボって図書館で原稿を進めるくらいしか時間がない。
そんな中で丹藤さんは的確なアドバイスで主人公をサポートする。
何度も筆を折ろうとしたが、丹藤さんはずっと応援してくれた。
褒めるところは褒め、甘い所は修正を求められた。
⑨学校の成績が落ちてきてしまい先生と両親に詰められる。
ただ、マンガを描いていることは秘密にした。
そろそろテスト前、マンガを描くのを辞めるか悩む。
⑩しかし、丹藤さんに貰った『金色のペン先 Gペン』を握りしめ、
勉強よりもマンガを選ぶ。
家でも親にバレないように原稿を進めた。
⑪文化祭。丹藤さんに渡したマンガが評価を得て、
部誌は売上500部の偉業を達成し、漫画研究部は存続が確定する。
⑫一方で廃部になった文芸部が、
主人公のマンガはペンネームで掲載したため、
『誰が描いたかわからない原稿だ』といちゃもんを付けて、
プロの作家の原稿を部誌に載せたのではないかと言いがかりをしてくる。
⑬ペンネームの正体が主人公であるという秘密を守り、
クラスのみんなからも責められる丹藤さん。
先生にも厳しく注意されるが口を開かない。
主人公はおもむろに席から立ち上がり、
黒板に絵を描いた。
そして、「マンガを描いたのはボクだ!!」と正体を明かす。
ガリ勉野郎の陰キャと思われていた主人公が、
面白いマンガの作者だった事実に一同驚愕する。
「助けてくれてありがとう……」と涙を零し丹藤さんは呟く。
先生にも親にも怒られたが、マンガを読むと感動して褒めてくれた。
これからは勉強とマンガ両方頑張るように告げられる。
「良い作品作りには良い担当がいないとね♪」
丹藤さんにそう言われた主人公は今日も放課後を楽しみに待っている。
【完】
◆◆◆簡易プロットを元にAIに長編小説を作ってもらいました(23,000字)◆◆◆
『放課後の丹藤さん』
先週の木曜日、午前二時。
トイレの個室で、俺は便座の蓋を閉めて座り、膝の上にノートを広げていた。スマホのライトだけが頼りだ。シャーペンの芯が紙を滑る音が、静まり返った家の中で妙に大きく響く。
描いているのは、クラスの窓際の席から見える景色。夕焼けに染まる校舎。その窓に映る、誰かの横顔。
指先に力を込めすぎて、芯が折れた。
カチカチとノックする音すら、今は禁忌だ。音を立てれば、母が起きてくる。「また夜更かし? 明日は模試でしょう」そう言われて、ノートを取り上げられる。
だから俺は、芯を出すのも諦めて、ただノートを閉じた。
描きかけの横顔だけが、暗闇の中に残る。
これが、俺の日常だった。
トイレで。授業中のプリントの裏で。テストの余白で。
誰にも言えない場所で、俺はずっと線を引いていた。
---
カツン、とペン先が机を打つ音がした。
数式で埋まったテスト用紙の下の余白に、俺はこっそり線を走らせていた。シャーペンの芯が紙を滑る感触が、脳のどこかを直接かき回すみたいに気持ちいい。黒板の前では数学教師が腕時計を見て、「あと五分」と告げる声がする。
五分あれば、一コマくらいなら描ける。
横顔。前髪はもう少し長い方がいい。目つきはきついけど、本当は優しい女の子。制服のリボンを、少しだけ乱して――
手が勝手に動く。頭で考えるより先に、線が生まれていく。
この感覚が、俺は好きだった。正解も不正解もない世界。描いた線が、そのまま答えになる世界。
「そこで何をしている」
耳のすぐそばに降ってきた声に、心臓が跳ねた。
顔を上げると、数学教師がテスト用紙を睨みつけていた。厳格で有名な進学校の教師。その視線が、余白に描かれた女の子のラフスケッチに落ちる。
「試験中に落書きとは、どういうつもりだ、相原」
クラスの空気が一瞬で緊張するのがわかった。背中に刺さる視線。ペン先の冷たさが、指先に残っている。
「……すみません」
「没収する」
教師は乱暴に答案を取り上げると、教壇へと戻っていった。ざわめきは、すぐに「あと三分だからね」という声にかき消されたが、頬の熱は最後まで引かなかった。
消された線の感触だけが、指先に残っている。
また、描く場所を失った。
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◆第一章 出会い
数学のテストが返ってきたのは、数日後のことだった。
一枚一枚、名前を呼びながら配られていく答案用紙。教室の空気は、日差しのわりに重い。周りの生徒たちは、返ってくる答案を見るたびに、小さくため息をついたり、安堵の表情を浮かべたりしている。
「相原」
名前を呼ばれ、俺は前の席の生徒越しに手を伸ばす。目の前に置かれた答案用紙。その右上には、赤ペンで大きく丸が付いていた。
百点。
「今回、満点は相原だけだ。他の連中は、見習うように」
教師の声が教室に落ちる。さっきまでの重苦しさが、別の種類のざわめきに変わった。
「マジかよ」「また相原か」「首席候補はやっぱ違うな」
そんな声がひそひそと、後ろの方から聞こえてくる。
どこか遠くの話みたいに感じながら、俺は答案を見つめた。余白に描いたはずの女の子は、跡形もなく消えている。新しい紙に差し替えられたのだろう。
綺麗な百点。
でも、その余白は、もう真っ白だった。
描きかけの彼女の横顔は、どこにもない。リボンの乱れも、前髪の流れも、全部消された。
指先が、わずかに震える。
消された線のことを考えていると、教師の声が遠のいていく。クラスメイトの視線も、この百点も、全部どこか別の世界の出来事みたいだ。
本当に大事なものは、いつも余白にしか描けない。
そして、その余白は、いつも誰かに消される。
チャイムが鳴って、教室が昼休みの喧噪に変わる。弁当箱の蓋を開けようとしたとき、となりの席から、そっと声がかけられた。
「あのさ、相原くん」
視線を向けると、隣の席の女子――丹藤(たんとう)さんが、ノートを抱えたままこちらを見ていた。
真面目そうな眼鏡。肩までの黒髪。いつも図書室のしおりみたいな静かな雰囲気の子。クラスメイトだけど、プライベートな会話をしたことはほとんどない。
「さっきのテストさ……前のやつ、ちょっとだけ見えちゃったんだよね」
俺の心臓が、また跳ねる。
「……テスト?」
「うん。教師に取り上げられる前の。余白に、女の子描いてたでしょ?」
彼女は、少し楽しそうに目を細めた。
「めっちゃ上手かった」
昼休みのざわめきの中、その一言だけがやけに鮮明に聞こえた。
誰も、俺の絵を褒めたことなんてなかった。
いや、正確には、誰にも見せたことがなかった。
「いや、そんな……落書きだし」
「落書きであのレベルなの、普通にやばいって」
丹藤さんは、箸を置いて身を乗り出してきた。
「構図ちゃんと決まってたし、線も迷ってなかった。あと、女の子の表情。あれ、何か物語がありそうな顔してた」
物語。
その言葉に、胸の奥が少しだけ熱くなる。
「……別に、物語なんて」
「あるでしょ。絶対ある」
彼女は、確信を持った目で言った。
「絵を描く人って、必ず何か伝えたいものがあるんだよ。それが物語になるの」
しばらく沈黙が流れた。昼休みの喧噪だけが、耳の奥で渦巻いている。
「ねえ、漫画研究部って知ってる?」
「……マン研?」
うちの学校にもそんな部があったはずだ。でも、進学校らしく「内申に響かないから」「時間の無駄」という理由で、ほとんど誰も興味を示さない部の一つ。
「私、そこの部長やってるんだ」
「部長……?」
意外だった。丹藤さんは、どちらかというと文芸部とか、そういう静かな部活が似合いそうな子だと思っていた。
「そう。でね、あの絵見て思ったんだけど――相原くん、うちの部に来ない?」
箸を持つ手が止まった。
「いや、でも……俺、塾とかあるし。東大の……」
言いかけたところで、彼女がふっと笑う。
「首席で入りたいんでしょ?」
図星を刺されて、言葉が詰まる。親がよく口にするフレーズを、クラスメイトの口から聞くことになるとは思わなかった。
「新聞に載るくらいの実績じゃないと、この学校の親たちは満足しないって有名だもんね。進学校の闇」
冗談めかして言ったが、その目はどこか覚めているようにも見えた。
「でもさ、それと絵を描くことって、両立できないかな?」
両立。
その言葉を聞いた瞬間、喉の奥が渇いた。
「家で絵を描くのは……無理なんだ」
自然と声が小さくなる。
「うちの親、俺が漫画とか描いてるの知ったら、絶対怒るから。漫画読むのもテスト前は禁止だし」
中学のとき、一度だけノートの隅に描いたラクガキが母親に見つかった。
「そんなことしてる暇があるなら、問題集をもう一周しなさい」
あのときの冷たい声は、今でも耳に残っている。それ以来、俺は家で絵を描くことを諦めた。
「だから、テスト中とか授業中のプリントの裏とか……そういうときにしか、描けない」
トイレの個室で膝の上に広げるノートのことは、言わなかった。言えなかった。
自分で言っていても、かなり悪質な聞こえ方がする。でも、それが俺の唯一の逃げ場だった。
丹藤さんは、机に肘をつきながら真剣な顔になった。
「じゃあさ。放課後の三十分だけ、っていうのは?」
「三十分?」
「うん。塾行く前のスキマ時間。部室で原稿用紙広げて、私がアドバイスするの」
彼女の目が、真剣に俺を見つめている。
「三十分だけなら、親にバレないでしょ?」
「でも、名前が……。もし誰かに見られたら――」
「ペンネーム、使えばいいじゃん」
彼女はあっさりと言った。
「本名出さなきゃ、親も先生もわかんないよ。漫画研究部の部誌だって、基本はペンネームだし。私だってそう」
そこまで言って、彼女は少し視線を落とした。
「……ていうかね」
声のトーンが、わずかに変わる。
「今年、文化祭の部誌が百部売れなかったら、うちの部、廃部なの」
「廃部?」
「うん。去年の売り上げがひどくてね。『どうせ進学校なんだから漫画なんかいらないでしょ』って、上からも言われてて」
丹藤さんの指が、ノートの端を軽く叩いた。
「でも、私、編集者になりたいからさ。ここで諦めたくないんだよね」
編集者。聞き慣れたようで、遠い職業。
「だからさ。才能のありそうな作家さんは、拾って育てるのが私の仕事なんだよ」
その言葉に、思わず笑ってしまった。
「作家って……俺が?」
「そう。テスト満点取るくせに、授業中に女の子のラフ描いて怒られてる――」
彼女は少し間を置いて、真剣な目でこう続けた。
「天才、相原くん」
天才。
その言葉が、胸の奥で小さく跳ねた。
「ねえ、三十分だけ。放課後、私にちょうだい?」
いたずらっぽく言いながらも、その目は真剣だった。
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放課後の三十分。
塾へ向かう電車を一本ずらすだけで作れる、わずかな時間。
親の期待は、重い。東大首席合格、という言葉は、家の空気に張り付いて離れない。リビングの壁には、模試の成績表がピンで留められている。その隣には、「東大合格者数〇〇名」という学校のパンフレットと、俺の中三のときの賞状が、色あせたまま飾られている。
毎日、その壁を見て育った。
「相原家の誇り」という言葉を、何度聞いたかわからない。
だけど、あの余白に描いた女の子の顔が、どうしても頭から離れなかった。
消された彼女の横顔。リボンの乱れ。前髪の流れ。
あの線を、もう一度引きたい。
今度は、誰にも消されない場所で。
「……わかった。三十分だけなら」
気づけば、俺はそう口にしていた。
丹藤さんの顔がぱっと明るくなる。
「やった。じゃあ今日からね。放課後、三号館の一番奥。倉庫みたいな部室だけど、驚かないでね」
その笑顔を見て、俺の胸の奥も、少しだけ明るくなった気がした。
---
◆ 第二章 金色のペン先
漫画研究部の部室は、本当に倉庫みたいだった。
古い机といすが数脚。壁際には、誰がいつ描いたのかわからないポスターや、自主制作の部誌が無造作に積み上がっている。窓は小さく、光は斜めからしか入らない。
それでも、紙とインクの匂いが充満したその空間は、俺には妙に落ち着く場所だった。
家でも、教室でも、塾でもない。
ここは、誰の期待もない場所。
「ようこそ、マン研へ」
丹藤さんは、机の上に原稿用紙の束と、ペン軸、それから金色に光る小さな何かを置いた。
「これ、何?」
「ペン先。Gペンっていう漫画用のペン」
小さな箱の中で、金色のペン先がいくつか光っている。夕日が斜めに差し込んで、その金色がきらりと反射した。
「金メッキのやつ。私のお守り」
丹藤さんは、そのうちの一本を取り出して、ペン軸に差し込んだ。
「相原くんに一本、あげる」
「え、でも……いいの?」
「いいの」
彼女は、ペン軸ごと俺に差し出してくる。
「編集者ってさ、一番最初にやる仕事は『作家に道具を渡すこと』だと思うんだよね。これで一本でも多く線を引いてくれたら、それで十分」
手に取ると、ひんやりとした金属の感触が伝わってきた。光の角度で、ペン先がきらりと輝く。
シャーペンよりも、ずっと重い。
この重さが、なぜか心地よかった。
「……ありがとう」
「じゃ、早速描いてみよっか」
彼女は少し考えてから、目を輝かせた。
「やっぱり、漫画にしよう。相原くんの絵、ただのイラストにするにはもったいない。コマ割って、キャラ動かしてみよう」
「漫画なんて、描いたことないよ」
「大丈夫。そこは担当編集の出番でしょ」
机の上に原稿用紙を広げると、俺の世界は一気に白に塗り替えられた。
真っ白な紙。
何も描かれていない、可能性だけの空間。
時間がない。三十分しかない。でも、その制限が逆に心地よく感じた。
「まずさ、何ページくらい描けそう?」
「わかんないけど……」
「文化祭の部誌、今年はページ数まだ余裕あるから、十六ページくらい目指そうか」
「じゅ、十六!?」
「詰めればいける。四コマじゃなくてストーリー漫画ね。あ、ジャンルは?」
「ジャンル……?」
そんなこと、考えたこともなかった。
「恋愛、バトル、スポーツ、日常もの……。何描きたい?」
思い浮かぶのは、これまでこっそり読んできた漫画たち。塾の行き帰りに、コンビニで立ち読みした少年漫画。家族が寝静まってから、布団の中でスマホの明かりを頼りに読んだ無料配信の読み切り。
どれも好きだった。でも――
「日常……かな」
俺は、少し迷ってからそう答えた。
「普通の高校生の話。でも、ちょっとだけ、現実より面白いくらいの」
「いいじゃん」
丹藤さんは、嬉しそうに笑った。
「じゃあ、進学校で、勉強しながら漫画描いてる男子の話とか」
「それ、俺じゃん」
「フィクションだよ、フィクション」
彼女の軽口に救われながら、俺はペン先をインク壺に浸した。
黒いインクが、ペン先を包む。
そして、真っ白な原稿用紙に、最初の一本の線を引く。
最初の線は、びっくりするほど震えた。
筆圧が強すぎて紙が少し破れそうになる。シャーペンとはまったく違う感覚に、手がついていかない。ペン先が紙に引っかかって、インクが滲む。
「力抜いて」
隣で、丹藤さんの声が飛んでくる。
「Gペンは寝かせる感じで。線の強弱も試してみて」
指先に意識を集中させると、少しずつ線が滑らかになっていくのがわかった。
力を抜く。ペンを寝かせる。紙との距離を保つ。
一本、また一本と、線が生まれていく。
「……こう?」
「そうそう。最初からうまく描けないのが普通。でもさ――」
彼女は、俺の原稿用紙を覗き込みながら、ふっと口元を緩めた。
「コマの中でさ、キャラがちゃんと生きてる」
「え?」
「視線とか、手の位置とか。ストーリーがありそうな匂いがする」
「ストーリーなんて、まだ何も考えてないのに」
「そういうのって、線に出るんだよ」
その言葉を聞いたとき、胸の奥が少しだけ熱くなった。
誰かに、絵を「そういうふうに」褒められたのは初めてだったから。
テストの点数じゃない。模試の偏差値でもない。
ただ、線そのものを見てくれた人。
「ねえ、相原くん」
丹藤さんが、真剣な顔で言った。
「この主人公、どんな子にする?」
「どんな子……?」
「うん。名前とか、性格とか。何が好きで、何が嫌いで、何に悩んでるか」
俺は少し考えてから、口を開いた。
「親の期待が、重い子」
「うん」
「でも、本当は、絵を描くのが好きで」
言葉を続けながら、自分のことを話しているような気がしてくる。
「誰にも言えないから、一人で抱え込んでて。それでも、どうしても絵を描くのをやめられない」
丹藤さんは、静かに頷いた。
「いいね。じゃあ、その子が、誰かに『才能がある』って言われる瞬間から始めよう」
「誰かって?」
「担当編集者、とか」
彼女は、少しだけいたずらっぽく笑った。
「似たような人、近くにいるでしょ?」
---
それからの三十分は、あっという間だった。
線を引いて、消して、また引いて。
丹藤さんのアドバイスを聞きながら、少しずつコマが埋まっていく。
「ここのコマ、もう少し大きくしてもいいかも。主人公の表情、見せたいでしょ?」
「でも、ページ内に収まらなくない?」
「じゃあ、このコマを削ろう。説明的すぎるし」
赤ペンで修正指示が入る。線を引き直す。セリフを考える。吹き出しの位置を調整する。
全部が新しくて、全部が楽しかった。
「あ、もうこんな時間」
丹藤さんが時計を見て言った。
「塾、間に合う?」
「……ギリギリ走れば」
俺は慌てて原稿用紙を片付けた。まだ一ページも完成していない。でも、その未完成の白い余白が、妙に愛おしく感じた。
「明日も来る?」
「うん」
即答していた。
「じゃあ、明日も待ってる」
丹藤さんは、金色のペン先の箱を棚にしまいながら言った。
「あ、そのペン先、持って帰っていいよ。家で描きたくなったときのために」
「でも、親に見つかったら……」
「じゃあ、隠しとけばいい。引き出しの奥とか、教科書の間とか」
彼女は、当たり前のように言った。
「作家って、みんなそうやって、こっそり描き始めるもんだよ」
---
部室を出て、廊下を走る。
三号館から校門まで、全力で駆け抜ける。息が切れる。でも、胸の奥は妙に軽かった。
駅のホームに滑り込むと、ちょうど電車が入ってくるところだった。
ギリギリ、間に合った。
車内は混雑していて、俺は吊り革を掴みながら立つ。
胸ポケットの中で、金色のペン先が軽く揺れている。
家に帰れば、リビングでニュースを見ている両親がいる。
「今日、数学の補習があったから帰りが遅くなった」
いつもの嘘を、また繰り返す。
でも、今日は少しだけ、その嘘が軽く感じた。
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◆ 第三章 線の向こう側
それからの日々は、分刻みのスケジュールになった。
朝は始業前に単語帳。授業中は板書を写しながら、プリントの端にちょっとだけキャラクターデザイン。放課後は三十分、漫画研究部の部室で原稿。終わったらダッシュで駅に向かい、塾の自習室で閉館まで過去問を解く。
家に帰れば、もう親はリビングでニュースを見ている。
「今日も補習?」
「うん。数学の発展問題、やってた」
「そう。頑張ってるわね」
母は、テーブルの上の模試の案内に目を通しながらそう言った。父は新聞をめくりながら「そうか」とだけ返す。
リビングの壁には、相変わらず模試の成績表と学校のパンフレットが並んでいる。
その光景は、いつもと変わらない。
でも、俺の中では、確実に何かが変わり始めていた。
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一週間後、最初の一ページが完成した。
「できた……」
原稿用紙を掲げると、丹藤さんが覗き込んできた。
「おお。いいじゃん、すごくいい」
彼女は、コマを一つ一つ見ながら頷いた。
「主人公の表情、ちゃんと描けてる。このコマの間も絶妙。読者が、主人公の気持ちに入り込めるよ」
「本当に?」
「本当。嘘つかない。担当編集として、これは自信を持っていいレベル」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。
一ページ。
たった一ページだけど、これは俺が初めて「完成させた」ものだった。
テストの余白でもない。プリントの裏でもない。トイレの個室のノートでもない。
ちゃんとした原稿用紙に、ちゃんとしたペンで描いた、一ページ。
「次、いこう」
丹藤さんは、新しい原稿用紙を差し出した。
「十六ページまで、まだまだあるから」
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二週間後、五ページが完成した。
物語は、少しずつ形になっていく。
進学校に通う主人公。親の期待。漫画を描きたいという願望。そして、ある日出会った「担当編集者」。
丹藤さんは、セリフ一つ一つに赤ペンを入れた。
「ここのセリフ、ちょっと説明的すぎる。もっと感情を出して」
「感情……?」
「うん。主人公、今すごく追い詰められてるでしょ? だったら、こんなに整ったこと言えないはず」
彼女は、赤ペンでセリフを書き直した。
「『どうすればいいんだ』じゃなくて、『もう、わかんねえよ』くらいの方が、リアル」
「……確かに」
「人間、追い詰められたら汚い言葉出るもん。綺麗に喋れるのは、まだ余裕がある証拠」
その指摘は、的確だった。
丹藤さんの赤ペンは、容赦ない。でも、的を射ている。
「このコマの構図、もう少し主人公を下から見上げる角度にしてみて。今、彼は親の期待という重圧に押しつぶされそうになってるんだから、上から圧力がかかってる感じを出したい」
「下から……?」
「そう。読者の視点を低くすることで、主人公が背負ってるものの重さが伝わる」
なるほど、と思いながら、俺は線を引き直す。
何度も何度も、描いては消して、描いては消して。
その作業は、数学の問題を解くのとはまったく違った。
数学には、必ず正解がある。でも、漫画には正解がない。
あるのは、「より良い表現」だけ。
その無限の可能性が、俺を夢中にさせた。
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三週間後、八ページが完成した。
そして、その日、俺の生活に最初の亀裂が入った。
「相原、最近顔色悪いぞ」
塾の講師に声をかけられたのは、自習室で過去問を解いていたときだった。
「大丈夫か? 体調管理も受験のうちだぞ」
「……はい。大丈夫です」
でも、本当は大丈夫じゃなかった。
睡眠時間は、確実に減っていた。
放課後の三十分だけでは足りなくて、家に帰ってからもこっそり描いていた。夜中、家族が寝静まってから、机の引き出しから金色のペン先を取り出す。部屋の電気は消して、スマホのライトだけで線を引く。
ペン先が紙を擦る音だけが、静まり返った家の中で小さく響く。
その時間が、息をしているという実感だった。
でも、代償は確実に来ていた。
授業中、眠気が襲ってくる。単語帳を開いても、文字が頭に入ってこない。過去問の正答率が、少しずつ下がっていく。
それでも、俺は描くのをやめられなかった。
金色のペン先は、もう新品の輝きを失いつつあった。インクで黒ずみ、少し摩耗している。
でも、その摩耗した跡が、俺が積み重ねてきた時間の証だった。
---
四週間後、十ページが完成した。
「いいペースだよ」
丹藤さんは、完成した原稿を見ながら言った。
「あと六ページ。文化祭まで、まだ時間はある」
でも、彼女の目には、少しだけ心配の色が浮かんでいた。
「相原くん、本当に大丈夫? なんか、疲れてない?」
「……平気」
嘘だった。
本当は、限界に近かった。
でも、ここでやめたら、また元の生活に戻るだけだ。
テストの余白に描く日々。誰にも認められない線。消される横顔。
それだけは、嫌だった。
「無理しないでね」
丹藤さんは、そっと俺の手に触れた。
「漫画は大事。でも、相原くんの体はもっと大事だから」
その優しさが、胸に染みた。
「……ありがとう」
「担当編集として、作家の健康管理も仕事のうちだからね」
彼女は、少しだけいたずらっぽく笑った。
でも、その笑顔の奥に、本気の心配が見えた。
---
そして、二学期中間テスト。
返ってきた答案の右上には、これまで見たことのない数字が並んでいた。
数学、九五点。
国語、九二点。
英語、八八点。
これまでは、ほぼすべて九十後半から百点をキープしていた俺にとって、八〇点台の数字は、軽い眩暈のような衝撃だった。
周りのざわめきが、遠くで聞こえる。
「相原が九十切ったって、マジ?」
「英語、八十八点だってよ」
「やばくない? 首席候補なのに」
そんな声が、教室のあちこちから聞こえてくる。
俺は、答案用紙を机の中に押し込んだ。
手が、震えている。
これまで、こんな点数を取ったことはなかった。
母に、何て言えばいい。
父に、どう説明すればいい。
「東大首席」という目標が、少しずつ遠ざかっていく音が聞こえた気がした。
---
放課後、職員室に呼び出される。
「どうしたんだ、相原」
数学教師が、成績表を机に置いた。
「ここに来るまで、ずっと右肩上がりだったのに、今回は少し落ちたな」
「……すみません」
「謝る前に、原因を考えろ」
教師の目が、鋭く俺を見つめる。
「何かあったのか? 体調か? それとも、勉強以外のことに気を取られているのか?」
喉が渇いてうまく声が出ない。
「最近、お前の目つきが変わった」
「え?」
「授業中、時々ぼんやりしている。昔のお前は、もっと集中していた。何を考えているんだ?」
教師の追及が、じわじわと迫ってくる。
「部活とか、変なことに手を出していないだろうな?」
その一言に、心臓が跳ねた。
「……出してません」
嘘が、口から滑り出る。
「ただ、ちょっと、疲れてて……」
「疲れた?」
教師は、眉をひそめた。
「受験は、甘くないぞ。東大、それも首席を目指すと言ったのは君自身だ。途中でブレるような目標なら、最初から口にするな」
胸に突き刺さる言葉。
目標を口にしたのは、中三の冬。母に「東大に行けるくらいの子に育てたつもり」と言われた夜、「どうせやるなら首席で受かる」と虚勢を張ったのが始まりだった。
いつの間にか、その虚勢が、家全体の空気を形作る「前提」になっていた。
「……すみません。次は戻します」
そう答えるしかなかった。
教師は、しばらく俺を見つめてから、ため息をついた。
「期待してるぞ。お前は、この学校の顔になれる人間なんだから」
顔。
その言葉が、首に縄のように絡みついた。
---
家に帰ると、リビングの空気がいつもと違った。
テーブルの上に、成績表のコピーが置かれている。
母が、ソファに座ったまま、じっとそれを見つめていた。
「おかえり」
いつもより、声のトーンが低い。
「……ただいま」
「これ、どういうこと?」
母の声は落ち着いていたが、その手はきつく紙を握りしめていた。
「英語、八十八点。今までそんな点数、取ったことなかったわよね」
「ごめん。ちょっと、疲れてて」
「疲れてた?」
母は、ゆっくりと顔を上げた。
「塾はちゃんと行ってるんでしょう? 補習も受けてるって言ってたわよね?」
「行ってる」
「じゃあ、なぜこんな点数になるの?」
父も、新聞から目を上げた。
「悠真。お前は、この学校で首席を狙える数少ない一人だ」
低い声だった。
「東大の首席入学なんて、そう誰にでも手が届くもんじゃない。それができれば、将来どれだけ選択肢が広がるか、わかっているのか」
わかっている。何度も聞かされてきた言葉だ。
「部活とか、変なことに手を出してないだろうな?」
その一言に、心臓が止まりそうになる。
「出してないよ」
嘘が、また滑り出る。
「ただ、ちょっと、図書室で勉強してただけで……集中できなくて」
母が、深いため息をついた。
「ゲームも漫画も、今は我慢しなさい」
その言葉が、胸に突き刺さる。
「大学に受かってから、いくらでもすればいいでしょ。今は人生で一番大事な時期なんだから」
"今が一番大事"という言葉が、首に縄のように絡みつく。
「中学のときも言ったわよね。漫画なんて、読むだけならまだしも、描いてどうするの。そんなの、ちゃんとした仕事じゃないわよ」
母の言葉が、昔の記憶を呼び起こす。
ノートの隅に描いたラクガキを見つけられた日。あのときの冷たい視線。
「そんなことしてる暇があるなら、問題集をもう一周しなさい」
その声が、今でも耳に残っている。
「……うん。わかった」
そう答えるしかなかった。
部屋に戻って、机に突っ伏す。
引き出しの奥から、金色のペン先を取り出す。
光の加減で、それはどこか鈍く見えた。もう新品の輝きはない。インクで黒ずみ、摩耗している。
このまま、漫画を描くのをやめれば、成績は元に戻るだろう。
部誌から身を引けばいい。丹藤さんには、何かもっと描ける子を見つけてもらえばいい。
そうすれば、東大首席の道は再びまっすぐになる。
本当に、それでいいのか?
問いかけに、すぐ答えは出なかった。
でも、ペン先を握る手の震えが、その代わりになっていた。
---
◆ 第四章 決意
翌日の放課後、俺は部室に向かった。
足取りは、いつもより重い。
「……やめようと思った」
部室に入るなり、俺は言った。
丹藤さんは、原稿を整理していた手を止めて、こちらを見た。
「成績、落ちた」
原稿の上には、まだインクの乗っていないコマがいくつも残っている。締め切りまで、もう二週間を切っていた。
「先生にも、親にも言われた。今が人生で一番大事な時期だからって。漫画なんかに時間使ってる場合じゃないって」
丹藤さんは、何も言わずに聞いていた。
「だから、本当は、ここに来るのもやめようと思ってた」
「でも、来た」
彼女は静かに言った。
「金色のペン先、持ってきてる?」
俺は胸ポケットからペン軸を取り出した。彼女がくれたGペンは、少しインクで黒ずんでいる。
「俺、何やってるんだろうな」
笑いながら言おうとしたのに、声が少し震えた。
「たかが部誌の漫画なんかで、将来の可能性潰すとか、馬鹿みたいだろ」
しばらく、沈黙が流れた。
窓の外から、部活動の声が聞こえてくる。サッカー部の掛け声。吹奏楽部の音。
みんな、自分のやりたいことをやっている。
でも、俺だけは違う。
俺には、「やりたいこと」と「やるべきこと」の間に、深い溝がある。
「うん。馬鹿みたい」
丹藤さんが、あっさり肯定した。
思わず顔を上げる。
「でもさ」
彼女は、俺をまっすぐ見た。
「将来の可能性って、『東大首席に受かる』っていう一本しかないわけ?」
言葉が詰まる。
「相原くんの将来は、その一本だけでできてる紙芝居じゃないでしょ」
丹藤さんは、机の上の原稿用紙を手に取った。
「他にも分岐あるよ、多分。私には、それがちゃんと見えてる」
「……漫画家になれって言ってる?」
「それは知らない。そこまでは見えない」
彼女は、原稿用紙の上を指でなぞった。
「でもさ。ここに描いてる主人公、進学校に通ってて、親が厳しくて、でも絵が好きで、悩みながら漫画描いてるんだよね」
「……そういう話にした」
「じゃあさ」
丹藤さんの口調が、少しだけ意地悪そうになる。
「この主人公が、『親が怖いから漫画やめます』ってエンディング、読みたい?」
胸の奥を、鋭い何かが貫いた。
俺は、自分で描いた主人公の顔を思い出す。
目にクマを作りながら、それでも机に向かう横顔。家族にバレないように電気を消して、机の下でペンを握りしめる姿。
そんな彼が、最後に「やめます」と言う姿は、どうしても想像できなかった。
「……読みたくない」
「だよね」
丹藤さんは少し笑ってから、そっと俺の手に触れた。
「私も編集者として、その話はボツにする」
その手の温かさが、震える指先に伝わってくる。
「主人公より先に、作者が諦めないでよ」
その一言で、何かが決壊した。
テストの点数。親の言葉。教師の視線。
全部まとめて胸の奥に沈めて、俺はペンをインク壺に浸した。
「……わかった。最後まで描く」
「勉強は?」
「後でなんとかする」
「本当に?」
「……わかんない。でも、今は描きたい」
丹藤さんは、嬉しそうに笑った。
「それでいい。東大首席も、漫画も、両方取りに行こう。無茶言ってる自覚はあるけど」
「時間が足りない」
「じゃあ、捻り出そう」
彼女は、少し考えてから言った。
「塾、たまにはサボって図書館行こうか」
その提案は、これまでの俺なら絶対に受け入れなかったものだ。
でも今は、その禁忌の匂いすら、少し甘く感じた。
「……一回だけな」
「二回くらいは必要かな」
そんな他愛ないやり取りをしながら、俺はふたたび線を走らせる。
金色のペン先は、もう新品の輝きはない。
それでも、紙の上を走るたびに、光を撒き散らしているように感じた。
---
それからの一週間は、狂ったような日々だった。
授業中も、頭の中ではコマ割りを考えている。休み時間は、プリントの裏にラフを描く。放課後は部室で原稿。そして、週に一度だけ、塾をサボって図書館で描く。
睡眠時間は、四時間を切った。
目の下にクマができて、体重も少し落ちた。
でも、不思議と苦しくはなかった。
むしろ、生きている実感があった。
十一ページ目が完成した日、丹藤さんは原稿を見て小さく息を呑んだ。
「……すごい」
「え?」
「この主人公の表情。すごく、いい」
彼女は、一つのコマを指差した。
そこには、机に突っ伏しながら、それでもペンを離さない主人公の姿が描かれていた。
「この目。諦めてないし、希望も持ってない。ただ、『描かずにはいられない』っていう、純粋な衝動だけがある」
丹藤さんの声が、少し震えていた。
「相原くん、成長してる」
「……そうかな」
「してる。最初の頃の線と、全然違う。迷いがなくなってる」
彼女は、俺の顔をじっと見た。
「苦しい?」
「……うん」
正直に答えた。
「でも、楽しい」
「矛盾してるね」
「してる」
二人で笑った。
その笑い声が、薄暗い部室の中で小さく響いた。
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十三ページ目が完成した日、丹藤さんは突然こんなことを言い出した。
「私さ、中学のとき、漫画に救われたことがあるんだ」
手を止めて、彼女を見る。
「家のこととか、人間関係とか、いろいろめんどくさい時期でさ」
さらっとした口調なのに、言葉はずしんと重かった。
「自分なんていなくなってもいいんじゃないかって、ちょっと思ったりもしてて」
俺は、ペンを置いた。
「でも、ある日読んだ漫画のあとがきに、作者さんが書いてたんだよね」
丹藤さんは、少し遠くを見るような目をした。
「『読んでくれたあなたが、明日も生きていてくれたら、それだけで描いてよかったと思えます』って」
その言葉が、部室の空気に溶けていく。
「その一文でさ、『あ、じゃあもう一日くらい生きてみようかな』って思えちゃったんだよね。単純だけど」
彼女は笑った。その笑い方は、いつものいたずらっぽさとは少し違っていた。
「そのときから、決めたの。自分は描く側じゃなくていい。でも、そういう言葉を世の中に送り出す側の人間になりたいなって」
「……それで、編集者」
「そう。編集者」
丹藤さんは、俺の持つペン先を指差した。
「だから私、光を当てたいと思ってるのは――そのペン先の向こう側にいる、変な天才」
「変ではない」
「授業中に絵を描いて怒られる首席候補は充分変です」
そんなやりとりをしながら、また線を重ねていく。
丹藤さんの存在が、どれだけ大きいか。
彼女がいなければ、俺は今でもテストの余白に描いているだけだっただろう。
誰にも認められず、誰にも見せられず、ただ一人で線を引いているだけだった。
「ありがとう」
気づけば、そう口にしていた。
「え?」
「担当してくれて。ありがとう」
丹藤さんは、少し驚いたような顔をしてから、嬉しそうに笑った。
「まだ完成してないのに、お礼は早いよ」
「でも、言いたかった」
「じゃあ、完成したらもう一回言ってね」
そう言って、彼女は新しい原稿用紙を差し出した。
「あと三ページ。ラストスパート、いくよ」
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◆第五章 告白
文化祭まで、残り一週間。
十五ページが完成し、あと一ページで完結というところまで来ていた。
でも、その最後の一ページが、なかなか描けなかった。
「どうする? 主人公、最後どうなる?」
丹藤さんが訊く。
「……わかんない」
正直に答えた。
「主人公、結局どっちを選ぶんだろう。勉強か、漫画か」
「どっちも、じゃダメ?」
「でも、それって現実的じゃないし……」
「現実的じゃなくていいんだよ、漫画なんだから」
丹藤さんは、きっぱりと言った。
「読者が求めてるのは、『こうあってほしい』っていう理想。主人公には、どっちも手に入れてほしいじゃん」
「……そうかな」
「そうだよ。だって、相原くんだってそうでしょ? どっちも諦めたくないから、こうやって必死に描いてるんでしょ?」
その言葉に、胸が熱くなった。
「じゃあ、そのまま描けばいい。主人公が、どっちも諦めないって決意するエンディング」
丹藤さんは、原稿用紙を指差した。
「それが、一番リアルだよ」
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最後の一ページを描き始めたとき、部室のドアが開いた。
「失礼します」
見知らぬ男子生徒が、数人で入ってきた。
「……誰?」
丹藤さんが訊く。
「文芸部です。少し、お話よろしいでしょうか」
文芸部。
今年、文化祭での部誌の売り上げが振るわず、廃部が決まったと噂されている部だ。
「この部誌について、です」
文芸部長らしき男子生徒が、一冊の部誌を手に持っていた。
去年の漫画研究部の部誌だ。
「何か問題でも?」
丹藤さんが訊く。
「いえ、問題というか……今年も部誌を出されるんですよね?」
「はい。文化祭で販売予定です」
「内容は、どのようなものを?」
丹藤さんは、少し警戒したような表情になった。
「四コマ漫画とイラストが中心です。あとは……」
彼女は、俺の方をちらりと見た。
「ストーリー漫画を一本、掲載予定です」
「ストーリー漫画、ですか」
文芸部長の目が、光る。
「それは、どなたが描かれるんですか?」
「それは……」
丹藤さんが言い淀む。
「部員のペンネームでの掲載なので、お答えできません」
「そうですか」
文芸部長は、少し考えてから言った。
「実は、我々文芸部も、今年が最後の文化祭になります。廃部が決まっているので」
「……知っています」
「だからこそ、最後くらいは公平にやりたいと思いまして」
彼の言葉に、嫌な予感がした。
「公平、とは?」
「校内での自主制作物には、きちんとしたルールがあります。外部の著作物の無断掲載は禁止、という」
丹藤さんの表情が、固くなる。
「うちの部誌は、すべて部員が描いたものです」
「それを証明できますか?」
「……どういう意味ですか」
「つまり」
文芸部長は、俺の方を見た。
「そこにいる方が描いている原稿。それが本当にこの学校の生徒が描いたものなのか、確認したいんです」
空気が、凍りついた。
「失礼ですが、それは言いがかりです」
丹藤さんの声が、震えていた。
「この作品は、うちの部員が描いたものです。締め切りまでの過程も、全部私が見ています」
「では、その作者の名前を教えていただけますか」
文芸部長の目が、鋭くなる。
「本当にこの学校の生徒が描いたのなら、責任を持って実名を明かすべきです」
丹藤さんは、唇をきゅっと結んだ。
「……それはできません」
「なぜですか」
「作者本人が、匿名での掲載を希望しています。家庭の事情もあります」
彼女の声は、はっきりとしていた。
「私たち編集側が、その約束を破ることはできません」
「家庭の事情、ですか」
文芸部長は、少し笑った。
「それは都合のいい言い訳ですね。もし本当に実力のある生徒なら、堂々と名前を出せばいいじゃないですか」
「作家には、匿名で活動する権利があります」
「権利、ですか。では、我々にも疑う権利があります」
文芸部長は、一歩前に出た。
「正直に言いますが、我々文芸部は今年で廃部です。売り上げが伸びず、存続が認められなかった。一方、漫画研究部は存続が認められている」
「それは……」
「なぜだと思いますか? 我々の作品の質が劣っているから? いいえ、違います」
彼の声には、明らかな怒りが含まれていた。
「我々は、すべて自分たちで書いた小説や詩を掲載してきました。でも、評価されなかった。一方、漫画研究部は、もしかしたら外部の作品を掲載して、それで評価を得ているのではないか。そう疑うのは、当然ではありませんか」
「そんな……」
丹藤さんの声が、震える。
「我々は、公平性を求めているだけです。もし本当にこの学校の生徒が描いたのなら、それを証明してください。できないなら、外部の著作物とみなして、学校に報告させていただきます」
その言葉に、俺は立ち上がった。
「待ってください」
俺の声が、部室に響いた。
文芸部長が、こちらを見る。
丹藤さんも、驚いたような顔でこちらを見た。
「その漫画を描いてるのは……俺です」
沈黙が落ちる。
「あなたが?」
「はい。名前は、相原悠真。二年A組です」
文芸部長は、信じられないという顔をした。
「……あの、相原? 学年主席の?」
「首席候補、です。まだ首席ではない」
俺は、机の上の原稿を手に取った。
「これは全部、俺が描きました。外部の作家なんかじゃない」
「証拠は?」
「証拠は……」
言葉に詰まる。
そのとき、丹藤さんが立ち上がった。
「証拠なら、あります」
彼女は、机の引き出しから、大量のラフスケッチと下書きを取り出した。
「これが全部、相原くんが描いた下書きです。最初のプロット、キャラクターデザイン、コマ割りのラフ。全部、私が立ち会ってきました」
紙の束が、机の上に広げられる。
「一ページ目から十五ページ目まで、すべての過程がここにあります。これが証拠です」
文芸部長は、その紙を一枚一枚見ていく。
しばらくの沈黙のあと、彼は顔を上げた。
「……本当に、あなたが描いたんですか」
「はい」
「なぜ、匿名なんですか?」
その質問に、俺は少し迷ってから答えた。
「家の事情です。親が、漫画を描くことを認めてくれないから」
「……そうですか」
文芸部長は、複雑な表情をした。
「我々も、似たようなものです。文芸部なんて、この学校では『役に立たない』と言われ続けてきました」
彼は、深いため息をついた。
「でも、それでも書きたかった。認められなくても、書き続けたかった」
その言葉に、胸が痛んだ。
「すみませんでした」
文芸部長は、深く頭を下げた。
「疑って。でも、我々も必死だったんです。最後の文化祭くらいは、公平にやりたかった」
「……わかります」
俺も、頭を下げた。
「俺も、必死です。成績落としてまで、描いてます」
「成績、落としたんですか」
「はい。親にも、先生にも怒られました」
文芸部長は、少し笑った。
「似てますね、私たちも」
そして、彼は部室を出て行った。
---
文芸部が去ったあと、部室には俺と丹藤さんだけが残った。
「……ごめん」
丹藤さんが、小さな声で言った。
「守れなかった。作家を守るって言ったのに」
「何言ってるの」
俺は、彼女の肩に手を置いた。
「最後まで守ってくれたじゃん。名前、言わなかっただろ」
「でも……」
「俺が勝手に名乗っただけ。丹藤さんのせいじゃない」
涙が、彼女の目に溜まっていた。
「助けてくれて……ありがとう」
かすれた声だった。
「俺の方こそ、ありがとう」
そう言って、俺は金色のペン先を取り出した。
「これ、もうボロボロだけど」
摩耗して、黒ずんで、新品の輝きはもうない。
「でも、これで描いた線は、全部本物だから」
丹藤さんは、涙を拭いながら笑った。
「……そうだね。全部、本物」
---
その日の夜、俺は覚悟を決めた。
リビングに降りると、両親がソファに座っていた。
「話がある」
父が、テレビから目を離してこちらを見た。
「何だ?」
「実は……」
俺は、鞄から部誌の原稿を取り出した。
「俺、漫画描いてる」
母の顔が、固まる。
「何を言ってるの?」
「漫画研究部に入って、文化祭の部誌に載せる漫画を描いてる。それで、成績が落ちた」
父が、立ち上がった。
「お前……何を考えてるんだ」
「ごめん。でも、やめられない」
俺は、原稿を机の上に置いた。
「これ、読んでほしい」
母は、原稿を手に取ることもせず、俺を睨みつけた。
「前にも言ったわよね。漫画なんて、そんなの――」
「ちゃんとした仕事じゃない、でしょ」
俺は、母の言葉を遮った。
「何度も聞いた。でも、俺にとっては、これがちゃんとしたことなんだ」
「何を言って――」
「読んでから、言ってほしい」
強い口調で言うと、母は黙った。
父が、原稿を手に取った。
「……これを、お前が?」
「うん」
父は、ページをめくり始めた。母も、渋々といった様子で覗き込む。
俺は、リビングを出て、自分の部屋に戻った。
どんな反応が返ってくるか、わからない。
でも、もう隠すのはやめようと思った。
---
翌朝、リビングに降りると、テーブルの上に原稿が置かれていた。
その隣に、母が座っていた。
「……おはよう」
「おはよう」
気まずい沈黙が流れる。
「読んだわ」
母が、静かに言った。
「全部」
「……そう」
「上手いわね」
その言葉に、顔を上げる。
「認めたくないけど、上手い」
母は、原稿を見つめたまま言った。
「主人公、まるであんたみたいだった」
「……うん」
「親の期待が重い、とか。よくもまあ、そんなこと漫画にしてくれたわね」
「ごめん」
「謝るところじゃないでしょ」
母は、深いため息をついた。
「人生で一番大事なのは、受験だけじゃないって、あんたの漫画に言われた気がした」
父も、階段を降りてきた。
「俺も読んだ」
「……どうだった?」
「悪くない」
父は、コーヒーを淹れながら言った。
「東大首席は、相変わらず狙ってほしい。そこは変わらん」
「……うん」
「でも」
父は、俺の方を向いた。
「お前が本気でやりたいことなら、両方頑張ってみればいい。身体を壊さない程度にな」
その言葉に、胸の奥から何かがほどけていく感覚がした。
「ただし、条件がある」
母が、厳しい顔で言った。
「次のテストで、成績を戻すこと。それができないなら、漫画はやめてもらう」
「……わかった」
厳しい条件だった。
でも、それは「認めてくれた」ということでもあった。
「あと、これ」
父が、壁に貼ってあった模試の成績表を一枚外すと、その隣に原稿のコピーを貼った。
「お前の作品も、ちゃんと飾っておく」
その光景を見て、涙が出そうになった。
「……ありがとう」
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◆第六章 放課後の担当さん
文化祭当日。
校門から体育館、教室の前に至るまで、色とりどりの装飾で埋め尽くされていた。
漫画研究部のブースは、校舎の片隅、三号館一階の一番奥だった。
決して人通りが多い場所じゃない。それでも、丹藤さんたちは朝からポスターを貼り、ポップを作り、少しでも足を止めてもらおうと必死だった。
「今年の新刊部誌、『インクの向こう側』、一冊二百円でーす!」
後輩の声が廊下に響く。長机の上には、薄い冊子が山積みになっていた。
その中に、俺の十六ページの漫画も収められている。
ペンネームは、「蒼空(そら)」にした。
青くて広いものに、ずっと憧れていたから。
「相原くん、来た」
丹藤さんが、売り上げを記録するノートから顔を上げた。
「どう? 緊張してる?」
「吐きそう」
「大丈夫。トイレの場所は知ってるでしょ」
軽口を叩きながらも、彼女も少し顔色が硬い。
「今、どのくらい?」
「えっとね……」
ノートを見せてもらうと、そこにはすでに「販売数:一三二」の文字があった。
「百部、超えてる……」
「うん。とりあえず、廃部は回避。これで来年も存続決定」
丹藤さんは、小さくガッツポーズをした。
「でね。そのうち、相原くん――じゃなくて蒼空先生の漫画を目当てに来たっぽい人が、結構いる」
「え」
「『あの進学校で漫画描いた奴がいるらしい』って、どっかで噂になってるんだろうね」
彼女は、机の端に置かれたノートを指さした。
「ご自由に感想を書いてください」と書かれた紙の下には、何人かの走り書きが並んでいた。
『主人公の気持ちが痛いほどわかる』
『親の期待のくだりで泣きそうになった』
『ラスト、救われた』
『続き読みたい』
インクで書かれた、その言葉たち。
それは、俺の描いた線が、誰かの心に届いた証拠だった。
胸の奥が、じんわりと熱くなる。
「……よかった」
「よかったね」
丹藤さんも、どこかほっとしたように笑った。
---
文化祭が終わって、一週間後。
俺は再び職員室に呼び出された。
「相原」
数学教師が、一冊の部誌を机の上に置いた。
「これ、お前が描いたのか」
「……はい」
覚悟を決めて答えた。
教師は、しばらくページをめくってから、顔を上げた。
「怒るべきところは怒る」
「はい」
「成績を落としたのは問題だ。授業中に落書きするのもよくない」
「すみません」
「だが」
教師は、部誌を軽く叩いた。
「作品の出来は、認めざるを得ない」
その言葉に、顔を上げる。
「文化祭での評判も良かったそうだな。文芸部からも、『あれは本物だ』と言われた」
「……ありがとうございます」
「これからは、勉強と漫画、両方ちゃんと両立させろ」
教師の目が、真剣に俺を見つめる。
「どちらか片方だけ極めても、視野が狭くなる。お前なら、どちらも高いレベルでやれるはずだ」
その言葉は、不思議とプレッシャーには感じなかった。
ただの期待でも、命令でもない。
「可能性」としての言葉だったから。
「次のテストで、成績を戻せ。それができれば、漫画も続けていい」
「はい」
「期待してるぞ」
教師は、そう言って部誌を俺に返した。
---
放課後、漫画研究部の部室に向かう。
ドアを開けると、丹藤さんが机の上に新しい原稿用紙を並べていた。
「あ」
俺を見るなり、彼女は笑った。
「今日からまた、打ち合わせしましょうか、蒼空先生」
「やめてよ、その呼び方」
「ちゃんとした作家さんには、ちゃんとした担当が必要だからね」
彼女は、金色のペン先の箱を差し出した。
「この前の、ちょっと摩耗してきたでしょ。新しいの、補充しといた」
箱の中には、新品の金色のペン先が数本、光っていた。
「そんなに甘やかすなよ」
「甘やかしてない。これは投資」
丹藤さんは、得意げに笑った。
「編集者の仕事だから」
俺は新しいペン先をペン軸に差し込む。
ひんやりとした金属の感触。新品の輝き。
でも、この輝きも、やがて摩耗していく。
それでいいと思った。
摩耗した跡が、俺が積み重ねてきた時間の証になるから。
「これからも……俺の担当、やってくれる?」
「当たり前でしょ」
彼女は少しだけ得意げに笑った。
「良い作品作りには、良い担当がいないとね」
その言葉が、部室の薄暗い光の中でやけに鮮やかに響いた。
俺は原稿用紙を一枚引き寄せる。
金色のペン先をインクに浸し、最初の線を引く。
インクが紙に滲んで、黒い線が生まれる。
「次は、どんな話にする?」
丹藤さんが訊く。
「わかんない。でも――」
俺は、窓の外を見た。
夕日が、校舎を赤く染めている。
「今度は、もっと前向きな話にしたい」
「前向き?」
「うん。何かを諦めるんじゃなくて、何かを掴み取る話」
丹藤さんは、嬉しそうに笑った。
「いいね。じゃあ、それで行こう」
そして、俺たちは再び、白い原稿用紙に向かう。
授業と、塾と、親の期待と、そして漫画。
それら全部を抱えたまま、俺は今日も放課後を楽しみに待っている。
部室の窓から差し込む夕日が、金色のペン先を照らしている。
その光が、紙の上で小さく踊っていた。
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## エピローグ
三学期の期末テスト。
返ってきた答案用紙には、久しぶりに見る数字が並んでいた。
数学、百点。
国語、九八点。
英語、九七点。
「おお、相原、戻したな」
教師の声が聞こえる。
周りの生徒たちも、ざわめいた。
「やっぱ相原すげえ」
「本気出したら違うな」
そんな声を聞きながら、俺は答案用紙を眺めた。
余白には、何も描かれていない。
もう、ここに描く必要はないから。
放課後、描くべき場所がある。
認めてくれる人がいる。
それだけで、十分だった。
チャイムが鳴って、俺は鞄を掴んだ。
「放課後、部室行くの?」
隣の席から、クラスメイトが訊いてくる。
「うん」
もう、隠す必要もない。
「マン研だっけ? あの部誌、読んだよ。めっちゃ良かった」
「……ありがとう」
そんな会話をしながら、教室を出る。
廊下を歩いていると、文芸部の部室の前を通りかかった。
ドアが少し開いていて、中から声が聞こえる。
「今年も、頑張ろうな」
文芸部長の声だった。
彼らも、廃部を免れたらしい。
俺と同じように、必死で作品を作り続けた結果だろう。
そう思うと、少しだけ嬉しくなった。
三号館の一番奥。
漫画研究部の部室のドアを開けると、いつもの光景が広がっていた。
古い机といす。壁際の部誌の山。そして、原稿用紙とペン先。
「おかえり」
丹藤さんが、いつものように笑顔で迎えてくれた。
「成績、戻った?」
「うん。これで文句ないでしょ」
「じゃあ、新作始めよっか」
彼女は、新しい原稿用紙を机の上に広げた。
真っ白な紙。
何も描かれていない、可能性だけの空間。
俺は、金色のペン先をペン軸に差し込む。
この輝きが、いつか摩耗して、黒ずんで、鈍い色になる日が来るだろう。
でも、それでいい。
その摩耗した跡が、俺が生きてきた証になるから。
「じゃあ、始めよう」
丹藤さんの声に、俺は頷いた。
ペン先をインクに浸す。
そして、最初の一本の線を引く。
黒いインクが、白い紙の上を滑っていく。
その線の先に、何があるのかはわからない。
でも、その線を引き続けることが、俺の答えだと思った。
放課後の三十分。
この短い時間が、俺にとっては一番輝いている時間だ。
窓の外では、夕日が沈み始めている。
でも、部室の中は、金色のペン先の輝きで満たされていた。
「ねえ、相原くん」
丹藤さんが、ふと言った。
「ずっと、担当させてね」
「……ああ」
俺は、ペンを走らせながら答えた。
「ずっと、頼むよ」
その言葉が、薄暗い部室に溶けていく。
そして、俺たちはまた、白い原稿用紙に向かう。
線を引いて、物語を紡いで、誰かの心に届ける。
それが、俺たちの放課後だった。
――金色のペン先は、今日も紙の上で光っている。
(終)
◆さいごに
いかがでしたか?
自分の作品のプロットが長編になるとどうなるのか?
それを体験できるのは貴重な機会ですよね。
もちろんAIに頼っていると自分の成長が阻害されるので、
実験的に試す程度に抑えておかないといけませんが。
何のために創作するのか? その初心は忘れないでくださいね★