涙が出なかったのは・・・

涙が出なかったのは・・・

記事
コラム
昔の私は、

つらい事も、
苦しい事も、

「つらい」
「苦しい」

と感じる事すら出来ないくらい、
必死に生きていました。

本当に大変な時って、
泣く余裕もないんですよね。

ちゃんとしなきゃ。
踏ん張らなきゃ。

私が崩れたら、
回らなくなる。

そんな気持ちで、
毎日を過ごしていた気がします。

必死な時って、
感じるより先に、
動かなきゃいけない。

泣くより先に、
やる事がある。

立ち止まったら、
崩れてしまいそう。

だから、
感情を閉じ込めたまま、
走り続けてしまう。

不思議なくらい、
自分の事では涙が出ませんでした。

でもその一方で、

テレビのドキュメンタリーや、
誰かの人生を描いた番組を見ると、
ぼろぼろ涙が出てしまう事がありました。

感動する話。
苦しさを抱えながら生きる人。
誰かの優しさ。

そんな場面を見るたびに、
涙が止まらなくなる。

でも、
自分でも不思議だったんです。

どうして、
自分の事では泣けないのに、

誰かの物語には、
こんなに涙が出るんだろうって。

今なら少しだけ、
わかる気がします。

もしかしたら私は、
誰かの人生を通して、
自分の気持ちに触れていたのかもしれません。

自分の痛みとして感じるには、
あまりにも必死すぎて、

ちゃんと感じる事さえ、
後回しになっていたのかもしれない。

そして、

そんな私が初めて、自分の事で、
「安心して泣ける」
ようになったのは、

子どもが社会人として巣立った頃でした。

「無理しすぎないでね」
「ちゃんと休んでね」

今度は子どもの方が、
優しい言葉をかけてくれるようになって、

その時、
張りつめていたものが、
少しだけほどけた気がしたんです。

涙って、
悲しいから流れるだけじゃない。

安心した時にも、
出てくるものなんですね。

ずっと頑張ってきた人ほど、
“やっと安心できた時”
に、涙が出るのかもしれません。


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