心が通わない関係が、私を守ってくれていた

心が通わない関係が、私を守ってくれていた

記事
コラム

心が通わなかった上司がいました。


言葉はいつも短くて、
必要なことだけが、淡々と交わされる関係。


そこに、
感情が入り込む余地は
ほとんどありませんでした。


正直に言うと、
あまり得意なタイプではなかったけれど、


今振り返ると、
あの距離感には、
意味があったように思います。


切羽詰まった部署で、
人と人との間に立ち続けていた上司。


その背中を、
少し離れた場所から見ていました。


私もまた、
その距離の中で、
関わり方を選んでいたのだと思います。


私はこの仕事を、
生活のために続けていました。


だから、
深く入らない。
期待しない。
感情を差し出さない。


そんなふうに、
自分の立ち位置を、
自然とそう決めていたのだと思います。


そのときは、
気づいていなかったけれど、


心が通わなかったことは、
欠けていたものではなく、


最初から与えられていた、
ひとつの「距離」でした。


その距離があったから、
私は消耗せずに、
ここにいられたのだと思います。


退職の日。


最後に交わした言葉の中で、
はじめて、
あたたかなものに触れました。


上司の瞳が、
かすかに潤んでいて、
その奥にあったものが、
まっすぐ伝わってきました。


それはきっと、
ずっとそこにあったけれど、
見えない形で保たれていたもの。


心が通う、ということは、
いつも表に現れるものではないのかもしれません。


言葉にならないまま、
距離の中で保たれていたものも、
たしかに、そこにあったのだと思います。


今までの私は、
心が近い関係の中で働くことが多くて、
それが当たり前だと思っていました。


でも、
すべての場所で
そうである必要はない。


心が通わない関係にも、
ちゃんと意味があって、


距離があるからこそ、
守られることもある。


それは、 
私がはじめて触れた 
関係のかたちでした。


深く関わる場所も、
静かに距離を保つ場所も、


どちらも、
自分で選んでいい。


そのときの 自分に合うかたちで。


これは、
そんな気づきの記録です。



寧々 ☘




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最後までお読みいただきありがとうございます ☘



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