~数字から見える、もうひとつの“現実”~
「母親なのに、どうしてそんなことができるのか」
「子どもを守るはずの存在が加害者になるなんて 信じられない」
そんな声を ニュースやSNSなどで見かけたことはありませんか?
確かに 子どもへの虐待は決して許されることではありません
しかしその一方で 「なぜ母親が虐待に至ってしまうのか」という背景を
社会全体で見つめ直す必要があるのも事実です
母親が虐待加害者になる背景にある“見えない要因”を統
計や実情を交えてお伝えします
責めるのではなく 理解することで
虐待の連鎖を断ち切るヒントを一緒に考えていきませんか?
母親による虐待は全体の約6割
厚生労働省「児童相談所における児童虐待相談対応件数」
(2022年度)によると 虐待加害者のうち実母が加害者となる割合は
約61.0%と 全体の過半数を占めています
この数字だけを見ると「母親の責任だ」と捉えられてしまいがちですが
実際には複数の社会的・心理的要因が絡み合っているのです
虐待加害者となる母親の背景にあるもの
1. 孤立とワンオペ育児
近年 核家族化や地域のつながりの希薄化により
「子育ての孤立」が深刻化しています
特に0~2歳の乳児を育てる母親は、昼夜問わずお世話をすることになり
心身ともに限界まで追い詰められやすいのです
内閣府の調査(2021年)では、0歳児の母親の約4割が
「子育てがつらい」と感じており そのうち約3割が
「誰にも相談できなかった」と答えています
助けを求めたくても「母親ならできて当然」という無言のプレッシャーが
声を上げることすら難しくしているのです
2.過去の虐待・トラウマの連鎖
虐待加害者の中には 自らが子ども時代に虐待やネグレクトを
受けて育ったという人が少なくありません
日本財団の調査によると 児童養護施設出身の母親の約6割が
「子育てに不安を感じている」と答えており
「どう接していいか分からない」「怒りがコントロールできない」と
いった声が多く見られました
親から愛されなかった経験があると
子どもにどう愛情を注げばよいか分からず
苦しみの中で手をあげてしまうこともあります
これは 決して許されることではありませんが
“悪意”ではなく 未処理の心の傷が引き起こす
「心の叫び」でもあるのです
3. 経済的困窮と社会的ストレス
シングルマザーや非正規雇用の母親の中には
経済的な不安から精神的に不安定になり
子どもへの対応が荒くなるケースもあります
厚生労働省の統計では 母子家庭の約48.3%が相対的貧困状態にあり
「今日の食費にも困る」という家庭も少なくありません
(※世帯の可処分所得が全国平均の半分以下)
お金の不安・将来の不安・家事と育児と仕事のプレッシャー
そのすべてが重なり「逃げ場のないストレス」として
子どもに向かってしまう場合もあります
虐待は「悪い母親」がするものなのか?
私たちが気をつけたいのは 「虐待=人格の欠陥」と決めつけることです
実際には 虐待に至った母親の多くが 自分を責め、苦しみ、
誰にも相談できずに孤立しているという現実があります
また 行政や地域の支援が届かない場所で
助けを求める術すら知らずに追い詰められていることもあります
虐待を防ぐために必要なのは 「見張ること」ではなく 「つながること」
支援が届けば 救える命 守れる心が確かにあるのです
支援と予防の鍵は“早期の気づき”と“安心できる相談窓口”
子育てに悩む母親が「ダメな母親だと思われたくない」と思うあまり
相談を避けてしまうケースは少なくありません
だからこそ 批判せず ジャッジせず
話を聞いてくれる安心な場所が必要です
誰かに心を開けた瞬間から 「加害者」ではなく
「苦しんでいた母親」として その人自身が癒され始めるのです
あなたも 誰かの力になれるかもしれません
この記事を読んで 「自分もつらい」「過去に怒鳴ってしまったことがある」と感じた方もいるかもしれません
でもそれは あなたが“悪い人間”だからではなく
限界まで頑張っていた証です
「しんどい」「助けてほしい」そう感じたときは、声を上げてください
そして 身近に子育てで悩んでいそうな人がいたら
ただ一言「大丈夫?」と声をかけてあげてください
私自身、過去を乗り越えた経験を活かし 母親として 人として
「誰にも言えない気持ち」に耳を傾ける活動をしています
母親だって、完璧じゃなくていい
「ひとりじゃない」と思える瞬間が
虐待の連鎖を止める第一歩になると 私は信じています