この助成金は、非正規社員(パートタイマーやアルバイト含む)に対して新たに賞与、退職金制度のいずれか、あるいは両方を創設しその支給を行った事業主様に対して行われます。
いずれかのみ制度創設→40万円 両方の制度を同時に創設→56万8千円
支給要件
まず雇用保険の適用を受けている事業所というのが大前提ではありますが、その他に非正規社員全員に賞与・退職金制度を設けていると明記していない就業規則が3ヶ月以上適用されていることが必要です。
そして、キャリアアップ計画書を管轄の労働局に提出しており、認定されたキャリアアップ計画期間内に賞与・退職金制度を導入し就業規則に記載届出を行い。その後、非正規社員に賞与を支給あるいは退職金の積立を行った後、支給申請期間内に申請し要件をクリアしていれば支給されます。
賞与に関しては労働者1人につき6カ月分として5万円以上、退職金については労働者1人につき月3千円を6ヶ月分1万8千円以上積立する必要があります。これらは従業員全員に対して必要です。賞与の支給回数に関しては、特に定めはありません。大企業のように冬と夏に年2回とするような必要はなく冬に1回でも大丈夫です。ただし、決算賞与などのように業績次第で支給するという賞与ではNGとなってしまいます。原則、全ての従業員に対してよほどのことがない限り支給するものでなければなりません。
退職金制度に関しては、中小零細企業であれば1番導入し易いのは中小企業退職金共済制度(略称:中退共)になると思います。中退共は中小企業の事業主であれば1度は耳にしたことがある制度ではないでしょうか?令和6年現時点においては加入企業は40万企業に届くか届かないかといった数の企業が加入しており、加入している従業員数は362万人。運用資産は5兆3309億円程度となっております。加入手続きも簡単で事業主様の事務手続きに関する負担はほとんどありません。ですが、この制度は最も導入し易い退職金制度ではありますが、退職した従業員に独立行政法人勤労者退職金共済機構から直接退職金が振込で支払われますので、どんな辞め方をした従業員だったとしても基本的には支払われます。不義があった社員にも何も言えず、いつの間にか振り込まれており、そこに事業主様の意思は介入できないため味気無いと言えば、味気ないですね。
また、積み立てた資金は退職金以外には使用できないため融通は効きません。従業員からすれば安心ですが…。それに対して、生命保険を活用した養老保険により退職金原資を積立た場合には退職した従業員に渡す退職金の額に事業主様の意思を反映できます。また、会社の資金繰りが悪化した際にでも一部解約などができ柔軟な運用が可能です。ですが、従業員1人月々3千円程度から始められる中退共に比べて例え従業員が1名の会社であっても月々10万円程度からの積立となるため導入のハードルは少し高いです。いずれにせよ本助成金の支給申請には使える制度ですが、どちらを導入するかは事業主様の考え次第と言うことになります。他にも、確定拠出型年金や確定給付企業年金の制度もありますが、中小企業が手軽に導入できる制度となると今回ご紹介させていただいている中退共か養老保険になるかと思います。
その他、法定されている出勤簿やタイムカード、賃金台帳などが必要です。
やはり、普段からこれら重要な帳簿は、ちゃんと記載保管しておかなければなりませんね!
また、新たに創設とはなっていますが、すでに非正規社員に賞与支給や退職金の積立を行っていても就業規則に記載がなければ大丈夫です。
コロナも終わり昨今は再び人手不足の様相となっております。
福利厚生の充実により人材確保や長期的な人員の定着を検討しているという事であれば検討してみる価値があると思いませんか??