プロ編集者の質問力で問われる「5段階ツッコミ力」

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本の核心を引き出す「5つの深掘り質問」

出版塾をやっていると、よく次の質問を受けます。
「取材では何を質問すればいいのでしょうか?」
しかし実際には、「何を聞くか」よりも重要なことがあります。
それはどこまで深掘りするかです。
多くの初心者は、相手が話した内容をそのままメモして終わります。しかしそれでは、表面的な情報しか得られません。プロの編集者はそこからさらに踏み込みます。相手の言葉の奥にある理由や背景を探り、その人の原体験にたどり着こうとします。
そのために私が取材でよく使うのが、次の「5つの深掘り質問」です。

1 なぜそう思ったのですか

取材の基本は「なぜ?」です。
例えば著者が「大学時代に起業に興味を持ちました」と言ったとします。
そこでまず聞くべきなのは、
「なぜ興味を持ったのですか?」
という質問です。
人の発言には必ず理由があります。その理由を聞くことで、話の輪郭が少しずつ見えてきます。
ただし、多くの人はこの「なぜ」を一度しか聞きません。プロ編集者はここで止まりません。

2 そのきっかけは何だったのですか

次に聞くのは、出来事の「きっかけ」です。
「なぜ興味を持ったのですか?」という問いに対して、
「ある人の話を聞いたからです」
という答えが返ってきたとします。
そこでさらに聞きます。
「その人の話のどこに惹かれたのですか?」
この質問をすることで、単なる出来事が、意味を持ったエピソードに変わっていきます。

3 それ以前に似た体験はありませんか

人の価値観は、突然生まれるものではありません。必ずそれ以前の経験とつながっています。
そこで次の質問です。
「それ以前に、似た体験をしたことはありませんか?」
例えば、ここでこんな答えが出ることがあります。
「実は高校生のときに文化祭で企画をやったことがあって、それがすごく楽しかったんです」
こうした話が出てきた瞬間、取材は一気に面白くなります。なぜなら、その人の行動の原点が見えてくるからです。

4 そのとき何を感じましたか

出来事だけでは、本の材料にはなりません。必要なのは感情です。
「そのとき、どんな気持ちでしたか?」
この質問によって、エピソードに体温が生まれます。
読者が共感するのは事実ではなく、感情です。
楽しかった、悔しかった、怖かった、救われた──こうした感情の理由を聞くことで、文章は一気に読者に届くものになります。

5 その経験が今のあなたにどうつながっていますか

最後に聞くのが、現在とのつながりです。
「その経験は、今の仕事や考え方にどう影響していますか?」
この質問をすると、過去の出来事が現在と結びつきます。そして著者自身も、自分の人生を整理しながら語るようになります。
ここまで深掘りできると、単なるエピソードが一冊の本のテーマに変わっていきます。

深掘りは二段階、三段階が基本

取材で最も重要なのは、相手の言葉をそのまま受け取らないことです。必ずその奥にある理由を探ります。
「なぜ?」
「そのきっかけは?」
「それ以前の経験は?」
「そのときの感情は?」
「今につながる意味は?」
このように二段階、三段階と質問を重ねることで、その人の原体験が見えてきます。そして、この原体験こそが本の核心になります。

編集者の仕事は「言葉の奥」を掘ること

編集とは単なる文章整理ではありません。相手の言葉の奥にある意味を掘り出し、それを読者に届ける仕事です。
最近は生成AIが話題になり、「AIが文章を書いてくれる時代」と言われるようになりました。
しかし、AIがどれだけ進化しても、取材の現場で相手の本音を引き出すことはできません。
思わず本音を語ってしまう質問を重ね、その人の人生の意味を掘り起こす。そこから初めて、読者の心に届く本が生まれます。
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