【編集者のワザシリーズ①】本の核心は三回目の「なぜ?」で出てくる
原稿の質は文章力だけでは決まらない
出版の仕事をしていると、よくこう聞かれます。
「いい原稿を書くコツは何ですか?」
多くの人はここで「文章力」と答えると思います。しかし、30年以上編集の仕事をしてきた私の答えは違います。
原稿の質を決めるのは文章力だけではありません。取材の深さです。
※もちろん、相当なテクニックを用いた原稿執筆力があるのが前提です
私は取材の際、必ず意識していることがあります。それは相手の言葉に対して二段階、三段階のツッコミを入れることです。
一回の質問では本質は出てこない
例えば著者がこう言ったとします。
「大学時代に起業に興味を持ちました」
ここで多くの人は話を先に進めてしまいます。しかし編集者の仕事はここからです。
私はまず聞きます。
「なぜ興味を持ったのですか?」
仮に相手が
「ある人の話を聞いたからです」
と答えたとしましょう。
すると次に聞きます。
「その人の話のどこに惹かれたのですか?」
するとこんな答えが出てくることがあります。
「実は高校生のとき文化祭で企画をやったことがあって、それがすごく楽しかったんです」
ここまで来ると話は一気に面白くなります。
三回目の質問で原体験が出てくる
私はさらに聞きます。
「なぜその体験を楽しいと感じたのですか?」
この三回目の質問で、その人の原体験が見えてくることが多いのです。そしてその原体験こそが、本のテーマになります。
読者が知りたいのは出来事そのものではありません。
「なぜその人がそう考えるようになったのか」という背景です。
その背景が見えたとき、文章は一気に立体的になります。
編集者の仕事は言葉の奥
0