「AIで電子書籍を出して印税生活」──出版のプロが広告に感じた強い違和感

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昨日、ライティング講座のあまりにも雑な運営について書いたところ、
主婦の友社時代の同僚編集者からメッセージが届きました。
「Facebookでよく見る“AIでKindle出版して印税で稼げる”って広告、あれって実際どう思う?」
正直、私もその広告を見たとき、強い懸念を持ちました。
「AIを使って誰でも簡単に電子書籍を量産し、印税で生活できる」──そんな導線を平然と引いているのです。
しかも「出版のことをまったく知らない人でも、千人のサポーターがつくから安心」と謳っていました。
ところが、その“サポーター”なる人物の経歴は一切明らかにされていません。
出版界で30年以上、文字通り現場で体を張ってきた私から見れば、
「いったいこの人たちは何を言っているのだろう?」と、目を疑う思いです。

出版業界の現実──印税で食べていける人はごく一部

出版の世界の実情をお伝えします。
現在、国内の出版社の6割以上が経営的に厳しい状況にあります。
紙の本と電子書籍を同時発売する「サイマル出版」が一般化してきましたが、
電子版だけで大きく収益を上げられる著者はごくわずかです。
たとえば、私が担当した著者の中には、
何冊もベストセラーを出しているビジネス書の書き手もいます。
それでも電子版のロイヤリティ(印税)は、半年に5〜7万円程度であれば十分健闘している方です。
これは決して「初めて本を出す人」の話ではありません。
出版経験が豊富で、読者の信頼を積み重ねてきた人でさえ、
電子だけで継続的に印税を得るのは簡単ではないのです。
まして、AIを使って量産した原稿で“印税生活”ができるとは到底思えません。
そんな魔法のような方法があるなら、むしろ私が知りたいくらいです。

AIも「この広告は信じがたい」と答えた

試しに、その広告内容をAIに問いかけてみました。
「あなたのようなAIを使えば、誰でも簡単に電子書籍で稼げるのか?」と。
すると返ってきた答えは、驚くほど冷静でした。
「そのような広告の内容は誇張されており、信頼できるとは言えません。」
AI自身が「信じるに足りない」と答えたのです。
つまり、広告を発信している側が一番理解していない。
出版を知らない人たちが、情報の乏しい層を狙って“夢”を売っている構図が見えてきます。

「本を書く」は、そんなに軽いものではない

何度でも言います。
書籍の原稿というのは、簡単に書けるものではありません。
確かに、ネット記事やSNS投稿のような短文ならAIをうまく活用して量産できるでしょう。
けれど、本というのは「人の心を動かすもの」です。
読んだ人の中に静かに灯をともすような力を持たなければ、意味がありません。
そんな本を、出版の素人がAIで量産できるとは到底思えません。
それは技術の問題ではなく、人間の想いと誠実さの問題だからです。

信頼できる相手と組むことが、最初の一歩

電子書籍は、確かに今、ビジネスとしても個人発信の手段としても注目されています。
しかし、そこで大事なのは「AIをどう使うか」よりも、
「誰と組むか」「どんな目的で出すのか」ということです。
知らない人を、安易に信用してはいけません。
電子書籍の世界でも“信頼”こそが最大の価値です。
私たちが電子書籍をプロデュースする際も、
著者の事業や人となりが他者に信頼してもらえるよう、
構成・タイトル・原稿のすべてに心を込めて作っています。
「電子書籍を出すこと」は目的ではありません。
それは“信頼される存在になる”ための手段のひとつです。
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