「補語の概念の拡大・転換、状態語の概念の創出」「動詞から動詞句への概念の拡張」「前置詞から後置詞も含めた連結詞・付置詞・付加詞の概念創出」「受動態の状態語による位置付け」等の視点より、「7文型理論」を新たに立てるよりも、従来の「5文型理論」をより整合的に解釈した「修正5文型理論」に再構成する方が、はるかに妥当性があると思われます。
①S+V(状態動詞)+C(状態語)
②S+V(動作動詞・自動用法)
③S+V(動作動詞・他動用法)+O(目的語)
④S+V(動作動詞・他動用法)+O+O(二重目的語)
⑤S+V(動作動詞・他動用法)+O+C(目的語+状況語=SV目的語)
「動作動詞」は基本的に「目的語」を要請しますが、いわゆる「空間的イメージ」(英語は「空間的イメージを強く持つ言語」とされます。例えば、前置詞でもatは「点」のイメージ、onは「線」または「平面」のイメージ、inは「平面」または「立体」のイメージを持ちます)で言えば、「無」の「目的語」要請が②の動詞(すなわち「自動用法」)、「点(0次元)」の「目的語」要請が③の動詞、「線(1次元)」(「~に」「~を」や「~から」「~を」といった動作は線的移動のイメージがあります)の「目的語」要請が④の動詞、「平面(2次元)」「空間(3次元)」(目的語を主語とする状況、すなわちSV目的語。call A Bやname A BのようにA=Bの時は「SV平面」で、see him enter into the roomのような場合は「SV空間」と言えばいいかもしれません)の「目的語」要請が⑤の動詞であると整理できます。こうした観点に立つと、動詞の「意味」と「機能」から文の「構造」を規定・分類することが可能になります。
例えば、tell A to doも命令を表わす「間接話法」の表現と取れば、「直接話法」に置き換えられるので、「~に」「~を」という線的イメージがあると思われます(SVOO)。「Aがdoする」という「状況創造」に比重が置かれれば、空間的イメージを持っていることになります(SVOC)。prevent A from doingなども2つの名詞句(人と動名詞)が要請されますが、これは線的イメージというよりも、「Aがdoできなくする」「Aがdoするのを妨げる」という「状況創造動詞」として、空間的イメージで捉える方が現実に合うでしょう(SVOC)。逆にinform A of B(AにBを知らせる)やdeprive A of B(AからBを奪う)などは「授与(正の授与もあれば、負の授与もある)」「着脱」の動詞として、線的イメージで捉えた方がいいかもしれません(SVOO)。
つまり、SVOOというパターンを取るのは、その動詞の示す「動作」自体が「起点」(動作目的、直接目的語、~を)と「終点」(動作対象、間接目的語、~に)の2つを要請するからであり、こうした基本構造をふまえた上で、「直接目的語」しか受動態で主語にできないケースと「直接目的語」も「間接目的語」もどちらも受動態で主語にできるケース、あるいは前置詞でto, for, withを取る違いや、「二重目的語構文」(I gave him a book.)と「前置詞与格構文」(I gave a book to him.)のニュアンスの差などを「下位分類」として(「基本構造」の違いとして「文型」化するのではなく)、説明していく必要があるでしょう。