従来の「文型理論」のメリット・デメリット

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 まず、世界中でほとんど日本でだけ、「5文型理論」が100年以上も採用され続け、「英文法の中心」の如き位置を占め続けてきたのは、それなりの理由があります。1つには、このパターン分類が「恣意的」(したがって、いくらでも他の理論が構築できてしまいます)であるにせよ、ある程度の整合性を持った理論に基づいて頻度が高いものを抽出しており(といっても筆頭に来る第1文型はむしろ頻度はきわめて低く、細かく分類すれば、5文型の典型パターンよりももっと頻度が高いパターンが出て来ます)、英語学習者にとっての「実用性」があるということです。したがって、「初学者」はたいていこの「文型理論」を徹底的に学ぶことから始めて、英語の基本構造を理解するというプロセスと通ってきたのです。これはこれで学習効果がある方法であったと言えます。
 ところが、学習が進んでいくと必ずぶつかる疑問が、「例外が多すぎる」「整合性が貫徹されているとは言えない」といった点です。ここで「研究者」は「整合性」や「文型の根源的意味」を求めて再構成を図ろうとするのですが、なかなか成功しません。「学者」達が苦労して作り上げた「7文型理論」や「8文型理論」も「5文型理論」を補完することに目的があり、より整合性のある説明をするために「文型」を増やしていったと言えます。ここで従来の文型理論の限界をも指摘しておく必要があるでしょう。

①従来の「文型」理論は厳密に言えば、「単文における述部構造の分類」を基本としています。実際には様々な「構文」があり、「複文」へと複雑化していき、一般的「文法」よりも個別的「語法」の方が影響が大きかったりするので、従来の「文型」理論を基本原理として「文法」を構築するのには無理があるのです(そもそも英語ネイティブは「文型」を意識していません)。

②従来の「文型」理論は「理念型」としての「包括的分類概念」を提示したわけではありません。したがって、「全ての英文は基本的にこの5つの文型のどれかに入る」「5つの文型を理解すれば、どんなに難しい英文でも理解できる」というのは明らかに言いすぎです。そして、「理念型」としての「分類」と「現実型」としての「文例」「パターン」は区別されるべきでしょう。「分類」上はあり得ても、実際に「文例」を確認できないケースや「頻度」が非常に低い「文例」があるのは事実なので、「同列」に位置付け、理解する必要性は無いとも言えます。

③従来の「文型」理論は「自動詞」と「他動詞」を「動詞の分類」の最初に置き、そこから「第1文型SV」を立てることから始めたため、「補語」の概念を生み出さざるを得なくなったと考えられます。ところが、「SVC」と「SVA」は意味的にほとんど変わらないケースがあり、「第2文型SVC」の「主格(語)補語」と「第5文型SVOC」の「目的格(語)補語」は同じ「補語」として見ていいかという疑問さえ生じてきます。実際には「自動詞」と「他動詞」は「自動(詞)用法」「他動(詞)用法」と考えるべきであり、「動詞の分類」であれば、「be動詞」と「一般動詞」、「状態動詞」と「動作動詞」という分類の方が語法的にも意味的にも統語論的にも大きな違いがあると見ることができます。

④英文の基本構造は「名詞句+動詞句+名詞句」(一般的に言えば「S+V+X」の形)という「三段構造」です。これは「英語のリズム」と言ってよく、このパターンにおいてさらにバリエーションが生じてくるのも、「基本構造」なればこそと思われます。従来の「文型」理論では「第1文型SV」「第2文型SVC」「第3文型SVO」が同列にあるかのようですが、現実的には決してそうではありません。

⑤基本的に「文型理論」は「読解」のための「文法的知見」と言えます。実際に英会話やコミュニケーション、英作文のためには何十、何百という「文例」を覚える必要があり、また、その方が実際に役に立つでしょう。「代表的文例」を「文型」(文のパターン)と呼ぶなら、むしろこちらの方になります。現在の学校英文法に対する批判として、「中学・高校と6年間も英語を学んだのに、全く使えない」というものがありますが、英会話・コミュニケーションに重きを置いた学習になっていない点があるにせよ、大量読書や英語メディアを駆使できるほどの「読解力」や「情報力」が育っていないのも事実です(日本人の中学生・高校生がそうであるように、アメリカ人の中学生・高校生も普通にたくさん本を読み、新聞・テレビで様々な情報を吸収しているでしょう)。シビアに言えば、「文型」を強調して英語学習を進めれば進めるほど、「精読力」はつくかもしれませんが、英会話力・コミュニケーション力・英作文力はますます伸びなくなることすらあり得るのです。
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