ホリエモンと牧野富太郎

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学び
植物学の話をしたい。植物学を学んだ自分にとって、らんまんで神木隆之介さんが演じる牧野富太郎博士は、日本の植物学の黎明期に活躍されたレジェンドである。
植物の研究といっても、植物分類学以外にも
・たくさんの植生調査を行い、その地域の植物相=フローラを明らかにする植物社会学
・地形との関わりなどを研究する植物生態学
・植物の遺伝的な研究を主に研究室で行う植物遺伝学
など、いくつかの種類に分けられる。

最近では牧野博士が行ったような個体レベルの基礎的な植物分類学というのは下火になっている印象で、フィールドにあまり出ないような、研究室で行われる遺伝学的な分野の方が研究費をとれるイメージがある。それなのに、数年前、子どもの小学校の理科の教科書に牧野富太郎さんが漫画で登場していたので驚いた。
牧野博士は膨大な標本を作ったことで有名なのだが、最近は標本のDNAを解析することも可能になってきているそうだ。今までの、いろいろな地域での個体の形態を確認するというような価値から、もっと高いレベルでの研究に使える資料として、標本に新たな価値が出てきたといえる。
植物分類学で言えば、あまり知られていないが、牧野富太郎博士以来のすごい天才がいる。私もお会いしたことがある米倉浩司さんは、遺伝子レベルでの分類を取り入れ、日本の植物名とラテン語の学名をデータベース化し、検索できるようにした。1人で作った訳ではないが、通称Yリストと呼ばれている。形態を基本とした、昔の植物図鑑に載っている科、属、種が、今は一部変更になっている。とにかく牧野博士と同様、すごい仕事量で研究に没頭された結果、可能となった偉業だと思う。

そこで、ホリエモンである。ホリエモンこと堀江貴文さんの本の中に、「学びとは没頭である、没頭する力を解放せよ。」という言葉が出てくる。
子ども時代は、誰もがあらゆることに没頭しながら生きている。それなのに、親や学校が、しつけや教育という建前で、夢中になることの邪魔をしている。それを止める必要はない、ということだった。

牧野富太郎さんが朝ドラに採用されたと聞いた時、時代だなぁ〜と感心した。NHKでは、発達障害について理解を広めようと、いろいろな番組で取り上げている。言い換えれば特性のある人、ということになるが、さかなクンの映画が公開されたり、牧野富太郎さんのドラマが作られたりと、好きなものをとことん好きでいることはいいことだよ!という社会的な空気が作られつつあるのかもしれない。テレビでも、YouTubeでも、ただのアイドル、タレントでは差別化されず、とにかくコレが好き!というのを売りにする方が目立つことが増えたと思う。別に天才じゃなくても、夢中になることを制限せずにやらせておけば、毎日が楽しいし、何かに繋がることもあるかなと思う。

実はホリエモンの本を読んだ後から、子ども達の没頭を否定しないことにした。漫画やアニメやゲームなど、いろいろなことに夢中になり、次々と興味が移っていった。1人はパソコンに夢中になって、自作パソコンを作るまでになった。自分で計画を立て、父と交渉し、ヨドバシや秋葉原に部品を買いに行った。好きなことをやるためには、付随していろいろなことを調べなくてはならず、失敗もあったが、自然と彼のスペックが上がっていったと思う。1人は雑貨も売っている遊べる本屋に勤めたのだが、商品の幅が広いので、今までの好きだったものすべてが仕事の役に立っている。趣味で繋がった人脈も役に立つし、これから何とコラボするべきかという時にも、オタクとしての意見が重宝されるそうだ。1人は絵が好きで、頼んだらこのブログのヘッダーをすぐに描いてくれた(便利!)。・・・ホリエモンに感謝したい。

引用:すべての教育は「洗脳」である~21世紀の脱・学校論~ (光文社新書)
堀江貴文 著

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