『子どもってどこまで甘えさせればいいの?』お勧め本

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もうすぐ父の日だが、私は子育てする際に、父親の価値観を乗り越えるのに時間がかかった。
父親は昔のタイプの人間で、学校は絶対休まない、出されたものは残さず食べる、食べる時の行儀はキチンとする、わがままはダメで我慢する、人に迷惑をかけない、など厳しく育てられた。父が怒り、優しい母が守ってくれる。そういう家だった。怒り出すと怖いけれど、ユーモアもある、大好きな父だった。ちゃんと育ててくれたおかげで結婚もできたと思うし、感謝もある。
しかし、自分が子育てをし始めて、子供が3人になり、睡眠不足もあって、産後うつがこじれて、とにかく子育てがしんどくなってしまった。なんだか分からないけど、つらい。それは、父親の価値観に縛られていたことが大きな原因だったと思う。それに気づかせてくれたのがこの本だ。

山崎雅保 著 『子どもって、どこまで甘えさせればいいの?』
Amazonのレビューでも、4.3なので、たくさんのお母さんが救われている本なのだと思う。
「我慢させないとわがままになってしまう、というのは思い込みだよ。」
著者の言う通りに、子供達の、あれして、これして、あれ欲しい、これ欲しい、今こっち見て、話聞いてを一旦全部、できる限りその場で叶えてあげることにしたら、なぜかもうそんなにわがままを言わなくなった。
夫婦関係でも同じかもしれない。今話聞いてほしい、今一緒に過ごしたい、そういう時にかまってもらえなかったら、心がすねてしまって、後から機嫌を取られても、素直には応じられないものだ。
柴犬を飼い始めて4年が経つ。子育ての時にできなかった対応を、罪ほろぼしのように犬にしている。今かまって!ときた時には、待たせずにしっかり向き合ってあげると、結局短い時間でも満足して、おりこうに待ってくれる。子供にもそうすればよかったのだ。

この本を読んで私が一番印象に残ったのは、
「人生という山を登り始めた子どもに、何を伝えたいですか?」
という章だ。もし「この山は大変な山だ、急な坂が続いているぞ。怖い動物が襲ってくるかもしれない。気を抜いてみんなから遅れてしまったら、助からないかもしれないぞ。山の上は風が強くて寒いぞ。」と教えたら?そんな脅しばかり受けて、それでも登らなくてはならない子どもの心中は悲惨で、できれば登りたくないというイヤイヤ感ばかりで、つらさと怖さと不安と戦い続けることになると。
「そりゃ山登りだもん、大変なところもあるさ。でも素晴らしい景色が見られるよ。空気も気持ちいい。怖い動物に気をつけるのは大切だけど、かわいい動物もいるよ。寒くなったら上着があるから大丈夫。高い山だけど、誰一人登れなかった人はいない“人生という山”だもの、心配いらないよ。頂上で食べるお弁当は美味しいよ。自分のペースで登ればいいんだよ。」
この言葉を読んでいたら、なんだか泣けてきてしまった。これは母親の私に向けての優しい言葉であり、結局一番救われたのは、我慢ばかりして、がんばって子育てをしていた私自身なのだ。もう少し人に甘えてもいいんだと思ったら、子育てがグッと楽になったし、楽しくなった。
今でも実家に帰ると緊張してしまうけれど、よく話を聞いてみれば、父親も仕事で大変だったらしく、機嫌が悪くてごめんと言われたりして、父もただの人なんだと分かったりする。父の子育ての方針と自分達夫婦の方針が違うのも当たり前のことだ。良くも悪くも、父親の存在は大きく、その価値観を乗り越えるのに、時間がかかったというお話でした。

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