ピルの話はタブーですか?

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コラム
ピルについての正しい理解は、日本ではなかなか進んでいない。ピルの話題になると、未だに避妊をしないで済む=“ふしだら”のような認識を持っている人や、女性でさえ、ピルを飲んでいると妊娠しにくくなるのではないかと誤解している人もいる。
ピルについて正しく理解することは、女性のヘルスケアを理解することが前提になる。そこで今回ご紹介したいのは、
 『女性の「ヘルスケア」を変えれば日本の経済が変わる』
  堀江貴文・三輪綾子(産婦人科医)著 
という本だ。
ホリエモンは理事を務める予防医療普及協会で、産婦人科医の先生と話す中で、女性たちが生理、生理前症候群(pms)であったり更年期障害により仕事をセーブしなくてはならないことなどを知り、驚いたそうだ。「僕は経営者としてさまざまな企業を率いる経験をしてきたが、この問題の重大さに気づくまでは、そこで働く女性のケアを十分には行えていなかった。」男性の経営者で、この視点を持ってくれる人がぜひ増えてほしい。

生理に伴う症状の日本社会の労働損失は、年間4911億円に達する、という試算結果もあるそうで、この結果は経済産業省も紹介しているそうだ。医薬品の負担や通院費用まで含めると6828億円にもなるという。
男性の多くは女性の健康問題を理解できないため、男性を中心に経営が廻る日本の企業では、女性のヘルスケアの制度が十分に整備されてこなかった。ホリエモンが現在取り組もうとしているのは、経営者に「この問題に取り組めば女性の就業環境は非常に良くなり、企業の業績も上がる」と伝えて、トップダウンで制度の改善を促すことだという。

産婦人科医の三輪先生は、日本の社会では正しい医療情報が伝わっておらず、性教育が不十分であることが問題だとしている。生理痛のこと、子宮頸がんの予防、更年期障害、ピルのこと、緊急避妊薬について、不妊治療についてなど、女性のヘルスケアについてたくさんの問題提起を行っている。
生理についての話題で驚いたのは、生涯の生理の回数は100年前は50回だったのが今は450回になっているということだ。その要因としては「栄養状態の改善により初潮の年齢が早まったこと」「妊娠・出産の回数が減少したため生理の回数が増加したこと」「粉ミルクの出現により授乳期間が短くなり生理の再開が早まっていること」があるという。生理の回数が多くなっていることは、働く女性には影響が大きい。
働く女性2000人を対象とした調査では、元気な状態の仕事のパフォーマンスを10点とした場合、生理の際そのパフォーマンスが5点以下になると回答した女性は約半数もいたそうだ。

私の知り合いでも生理痛が重い人がいて、生理の時は学校を休まなくてはいけないほど。そのため高校生の時から婦人科で低用量ピルを処方してもらっているそうだ。ピルを飲んでいると、そもそもの量が少なくなってきて、生理の期間も短く、使う生理用品の数も少なくてすむそうだ。彼女が処方されているのはフレックスタイプというもので、3ヶ月飲み続けることができるので、3ヶ月に一度しか生理が来ない状況らしい。仕事のパフォーマンスは格段に上がったそうだ。一方で、ピルを試したが体質に合わずやめてしまったという友達もいる。私はピルを使用していたが、年齢的なことで血栓症のリスクや乳がんのリスクを医師に伝えられ、ミレーナなど子宮に入れるタイプのリングを勧められたので、ピルの使用は中止した。ミレーナもピルと同様、黄体ホルモンが塗ってあり、避妊目的では自費だが、月経困難症の治療の場合は保険適用だそうだ。
三輪先生は、女性が我慢せず、健やかに働けるような社会を作ることは、女性だけではなく社会全体にさまざまな利益をもたらすという視点を持ってほしいとまとめている。







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