パリティってどう訳す?

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科学用語のパリティ (parity) の和訳について少し思う所があったので書いてみようと思います。


一般的な parity の意味を調べてみると「平等」というものが出てきました。
語源はラテン語の par でこれはゴルフ用語としてよく耳にする方もいらっしゃるかもしれませんね。under par は基準の打数よりも少ない打数の状態を指します。
同義言は equality です。

少し脱線しますが、投資の世界でも under par という言葉は使われるようで、債券が満期になったときに戻ってくる金額 (par value 額面価格) に対して債券の価格が低いときに使われる言葉とのことです。

ここで、私は時間割引率の話を鑑みて債券に under par 以外の状態が在りうるのか疑問に思ったのですが、利子との兼ね合いで得をすると判断した場合にはむしろ割高の over par で買付けることもあるようです。


ここで科学用語の parity ですが、こちらは偶奇性と訳されます。
特にこれといった定義がある訳では無いようですが、よく使われるのは量子論においてです。
作用素が何らかの操作に対して + か - になる時に difinite parity を持つといい、それぞれの状態を 偶(even) 奇(odd) と呼びます。

この量子論的な文脈における典型的な例は偶関数、奇関数の話題です。
関数 f に対する操作 P として次のようなものを考えます。

Pf(x) = f(-x)

これは関数の引数に - を掛けよ、という操作になっています。
偶関数なら右辺は f(x) 、奇関数なら右辺は -f(x) になりますから、P を使うと見通し良くこのあたりの議論が出来そうですね。
例えば、どんな f でも偶関数と奇関数の和で書けてしまうことは、

f = ( f + Pf ) / 2 +( f - Pf ) / 2

という分解を利用すると簡単に確認することが出来ます。
 ( P を二回 f に作用させると元に戻ることに注意。)


ここまでのお話を聞いた方はこう思ったかもしれません。

「偶奇性よりむしろ、正負性なのでは?」

...私もそう思います。
一応、(普通の) 偶数と奇数の足し算と上の parity の意味での 偶 奇 の掛け算の性質が対応していることは確認できます。
(ここでの性質とは 偶数 + 奇数 = 奇数 といったものです。
これには 偶関数 × 奇関数 = 奇関数 が対応します。) 

そこで、

・上で述べたような性質 (二回作用させると元に戻るなど) を持つ P という操作を用いるものを正負性
・単純に偶数と奇数の足し算の性質の類似概念を指すときに偶奇性

と呼び分けた方が自然じゃないかな と考えたわけです。


この時、偶奇性というのが正負性を含んだ概念になっているのはわかりますが、逆はどうでしょうか?
この逆が成り立つと parity という概念を細かく分類した意味が無くなるので、何かしらの成り立たない例が欲しい所です。

つまり、
P という操作を用いないで偶奇性を定義できるだろうか?
という疑問が湧くことと思います。


そこで、(実正方) 行列の偶奇性について考えてみましょう。

行列式が 0 でなければ偶奇性を持つということにします。
そして偶奇性を持つ行列 A の行列式が正なら A は 偶、 負なら A は奇と呼ぶことにします。 

すると偶奇性を持つ行列同士の積もまた、偶奇性を持つことが分かり、その性質は偶数と奇数の足し算の性質に対応することが分かります。

そして、これは P という何らかの操作で特徴づけることもできません。
もし存在するなら前述したように

A = ( A + PA ) / 2 +( A - PA ) / 2

という偶奇への一意的な分解を持ちますが、行列の分解にそのような一意性はありません。
 (これは、行列式が 0 でも零行列とは限らないことに起因します。)


つまり、「偶奇性だが正負性でない」性質が定義できたことになります。

基本的に量子論の文脈のように P を考えて使うのだから実態として parity は「正負性」だよな、
という話でした。
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