社内恋愛に対して方針不明瞭な組織は多い
社内恋愛を禁止している職場は割合としては少ないようです。
多くの職場では、社内恋愛について明確な方針を決めていないことが多いのですが、私はセクハラ予防研修では厳しい見解を述べるので、研修の際に
「職場の関係者と恋愛関係になってはいけないの?」
という質問を受けることがよくあります。
皆さんの職場ではどうでしょう。そして、あなたならどのように説明しますか?
私は職場の人間関係トラブルやハラスメント問題に対応しているカウンセラーです。
コンプライアンスも扱うので心理法務カウンセラーと名乗っています。
セクハラトラブルの原因の多くが、元をたどれば会社側の不明瞭な態度にあります。
社内における男女関係について、組織としてどう向き合うかが不明確になっていると、セクハラトラブルが発生しやすいですし、発生後の対処にも悪影響がでます。
しかし、こんな話をしても経営者が基本方針を決められない会社が多いです。
なぜか?
については、とても興味深いです。
おそらくは、「禁止する勇気」がでないのでしょう。それはなぜ?
そこで、私はハラスメント対策のアドバイザーとして見解を述べます。
私はパワハラトラブルにおいては「処罰をしないで~」を基本にしていますが、セクハラトラブルにおいては厳しい意見を述べることがおおいです。
以下は「社内恋愛を積極的には認めていない職場」を前提とした話です。
なお、本来は会社が独自に判断し決定することであることをお忘れなく。
職場は仕事をする場所です
仕事をするときに、仕事のことよりも職場の異性のことを考えていてよいですか?
仕事をしているときは仕事に専念するのが当然ですよね。
職務専念義務という言葉もあります。
仕事中に仕事上の関係者を異性関係の対象にしようとする。そういう欲情を持つ。
それが許されている職場に皆さんの大事な娘さんが就職しようとしたら、どう思いますか。
そういう会社を知り合いのお嬢さんに紹介できますか?
私ならそれは無理です。
もしそれを会社が認めるのならどうぞ。その代わり、
「当社では男性社員が女性社員に対して仕事中に異性としての欲情を持つことがありますので、どうぞよろしく。」
とあらかじめ宣言しておいていただきたい。私はそういう会社とは関係を持ちませんから。
セクハラトラブルが起きた後で、「いやあ、この程度ならアリでしょ。」のようなあいまいな態度を取ることを私はコンプライアンス上の不適切な態度だと思います。
仕事に責任を持つだけのこと
すでに結婚していて、またはすでに恋愛相手がいて、または異性にもともと関心がなくて、そういった様々な事情で、職場で異性関係を持つつもりのない人たちもいます。
そういう人たちが仕事に意識を集中している職場。
そんな職場で、仕事に専念しないで職場の異性に欲情を持っている人間がいる。
それを許してしまったら、その組織で労働者が能力を発揮しやすくなるでしょうか。
真面目に仕事していることがバカバカしく感じられる可能性はありませんか。
仕事中にそういう目線で異性から見られている不安感を持たれないでしょうか。
真面目に働いている労働者にとっては、とても迷惑な話です。
もし。
一生懸命働いている男女同士が、「君たちそろそろ結婚したらどう?」と職場の誰かから仲介されて、結婚して、家庭を築き、その家庭的な支えをもとにさらに仕事の能力を発揮してくれたら、それは組織にとって喜ばしいことです。
つまり、社内恋愛がダメなのではないです。
大人としての責任を持てばいい
仕事に専念しているうちに社内で恋愛関係になってしまいそうになったら、組織に迷惑をかけないように大人としての責任を持てということです。
もし組織に迷惑をかける可能性があるのなら社内恋愛をやめなさいということです。
それは、自動車の運転に自信がないなら車に乗るな、というのと同じことで、事故が起きたら当然責任を取らせるべきです。
仕事のためではなく、個人的欲求にもとづいて恋愛をするのです。
一人の人材を採用し、教育し、戦力化するまでに組織はどれほどのコストをかけたか。
その人材が職場を去ることによって組織にどれほどのダメージを与えるか。
そのダメージを穴埋めするために、他の従業員がどれほどの負担をこうむるか。
そのことを真剣に考えてみたら、恋愛によって人材を失わせることが組織にとってどれほど迷惑であるかがわかると思います。
会社のお金を100円でも盗んだら、それは許されないですよね。
では、離職によって数百万円の損失が生じていたら、その離職を誘発した行為を許していいはずがありません。
職場の異性と特殊な関係を持てば、その相手が離職するリスクを生みます。
それを覚悟のうえで関係をもったのであれば「故意」に会社を裏切ったということです。
ならば、会社に損害を与えたその償いをさせないで放置するということがありえるでしょうか。
もしそれを許すのであれば、社内での窃盗や横領も黙認しないとおかしなことになりませんか。
だから、セクハラトラブルが発生した際に私は、「セクハラがあったかどうか」よりも、トラブルの原因となった言動を行った際の心理状況を重視します。
あなたのその言動は仕事上どういう意味があったのですか?と。
パワハラは処罰しないでいい理由
私がパワハラ加害者への処罰をやめてほしいのは、意味がないからです。
パワハラ加害者はほとんどの場合、加害意識を持っていないか、その行為に正当性を持っています。
「パワハラをしたくてやりました。」
という人は、ほぼいないのです。
加害意識を持ってない人を処罰したら、その人は加害行為をやめるかもしれませんが、納得はしていないので、また類似のトラブルが発生します。
処罰されても、「だったらどうしたらいいのか」という答えを持てないからです。
加害者を処罰をして、被害者に対し恨みを持たれ、納得しないまま時を過ごさせる。
そして、被害者はストレスに耐えられず離職し、加害者も職場に恨みをもったまま離職する。
こんな無駄な話があるでしょうか。
だから私はこう言います。
正しい対話ができる人を目指しましょう。人は皆不完全であり、皆が成長過程です。あなたは他人の不完全を許し、ひたすら自分が成長する努力をすればよいのです。
このことが理解できればパワハラの再発防止につながります。
逆に、このことが理解できないのなら、能力的に問題があるかもしれません。
適材適所の原理に従って、まずはご本人に考えてもらいましょう。
多くの場合は「異動」よりも「人間的成長の道」を選びます。私はそれをサポートします。
欲望に対して処罰は意味がある
職場の異性と関係を持てば組織に損失を与える可能性があるので、自信がないのなら関係を持たなければよいのです。
それなのに、欲望に耐えかねて関係を持ってしまったのだとしたら、「欲」を制圧するために「罰」が有効です。
いわゆる「見せしめ」の効果もあります。
欲望に負けてしまわないために処罰は有効です。
男女関係によって退職者がでたら、その責任は職階の上の者がより重い責任を負うべきです。
そうすることで男女関係への甘い誘惑を阻止することができます。
それは潜在的な違反者の人生のためでもあります。
横領などの社内犯罪は監視の目が緩い状況で起こりやすいのです。
上位の者は下位の者に対して社内の模範になることも仕事です。
上位の者が責任を問われず、下位の者にそのしわ寄せが向かう。
そういう会社では、まともなコンプライアンスもハラスメント対策も実現できるはずがありません。
セクハラトラブルに正しく対処できず、再発防止もできない会社がたくさんあります。
この世ではそういうおかしな組織がたくさん存在しているので、私はあえて厳しいことを言います。
時代の変化が激しいので、このテーマはこれから議論が必要でしょう。