小説「最後の13月”参”」

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小説
こちらは続編です。

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昨日は本当に最悪の日だった。
警察の方も来て、色々と調査していた。
その結果、無差別殺人ではないかと言っていた。
家族が救急搬送されてから、1、2時間立った時、携帯が鳴った。
「はい、」
「こちら、蛭野病院です、、、、ご家族の件なのですが、、」
「そうですか、ありがとうございます」
健斗の命は救われたという連絡だった。それと、お母さんとお父さんが亡くなったという。
「もう、やだよ、、」
家族とやりたいことが沢山あったのに。最後くらい一緒にいたかった。
私は心の穴を埋めるため、誰かしらと会いたいという思いで、学校へ向かった。

「おはよう、」
教室にはたった一人、清水川さんがいた。
「来たんですね、おはようございます。なぜ学校に?」
清水川さんはそう私に聞いた、流石の私も、一回や二回くらいしか喋ったことのない人にこのことを話すのはどうかと思った。けど私はすでに喋っていた。
「昨日、家族全員が、事件に巻き込まれて、親どちらとも亡くなっちゃったんだ。弟は助かったんだけど、重症だって。こんなこと聞きたくなかったよね、ごめん」
「なぜ泣かないの?」
「え、、?」
「だからなぜ泣かないのって聞いているの」
「昨日死ぬほど泣いたからかな」
「それがなんで今泣かない理由になるの?私なら三日は泣きっぱなしよ」
「もう戻らないんだって分かってるからかな」
何度も泣いたよ、一人の時に。けど一度も戻って来やしなかった。だから無駄なんだって思った。

「私、人とまともに喋ったのこれが初めて、家族はお兄ちゃんばっかでさ、うちのことなんて眼中にもないよ。だからあんまり家族とは会話とかしなくてさ、丁度一年前かな、三人とも交通事故で亡くなった。私、お葬式の時も、死んだことを知らされた瞬間も、一滴たりとも涙を流さなかったんだ。だから羨ましいな、泣くほどいい家族だったんでしょ、けどその分辛いんだろうね」

そういうと清水川さんは私のことをぎゅっと抱きしめた。
お母さんと同じ温もりを感じた。

「清水川さんにもそんな過去があったんですね」
私がそういうと清水川さんはメガネを外し、笑った顔で言った。
「夢花って呼んでもいい?」
その顔は私が生きてきた中で一番美しい顔をしていた、透き通るような目。綺麗な髪。
「うん‼︎もちろん、私も小百合って呼んでいい?」
「うん‼︎」
それから私たちは太陽が沈むまでずっと一緒にいた。

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