サンプルテキスト「ホロビノホシ」

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「君に出逢えて良かったと思う」
ようやく君に言えた夕暮れ
小さく応えた声は聞こえないけれど
きっと君も同じ気持ちだと信じるよ

もうすぐ「別れ」が訪れるけれど
せめて今はここでこうしていよう?

寄せる波も返す波も
何万年も前から変わらないのに
どうして僕たちは
瞬く間に変わっていくんだろう

ほら
闇色の太陽が沈んでく
いくつもの光が降り注ぐ空には見たことのない輝き
深いふかい昏い色の空がそこに

「人はどうして」
でも後の言葉が出てこない
何が訊きたいのかは互いに判りきっている
でもその答えが二人とも判らない

もうすぐ消えてしまう世界が哀れで
でも失った物の多さに涙も流せない

寄せる波も返す波も
命を失い虚しく泡を生むだけ
どうして人間は
全てを壊してしまったんだろう

ほら
墨色の太陽が沈んでいく
世界が音もなく崩れ去る
そして僕等は皆、魂の咎人


ひとつの
惑星(ほし)は今
恒久の眠りへと


もし
うまれかわることができたナラ

こんどコソ
ぼくタチは





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以前、自分が運営しているblogでこっそり書いた、SFショートショートに合わせて「終末」を迎えるワンシーンの散文。
こちらは「人」が滅び去る直前ってシチュエーションで。

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