運動器の慢性疾患の代表例として、股関節・膝の変形性関節症(Osteo Arthritis:OA)があります。OAとは、加齢が基盤にあって、それに様々な要因が複雑に絡み合って起こる疾患です。関節軟骨の磨耗・破壊と骨の増殖性変化が同時に起こります。要因としては、肥満や重労働、外傷の後遺症などが挙げられます。股関節や膝の関節症変化に一度スイッチが入るとどんどん症状は進行し、関節の痛み・可動性の制限・筋力低下・歩行障害・関節の変形などの機能障害が悪化してゆきます。股関節や膝のOAに対しては、リハビリテーション、殊に運動療法が推奨されています。機能障害が高度になり、運動療法を中心とする保存療法の感受性が低下してくると人工関節置換術などの手術療法が選択されることになります。
本邦も含めて諸外国では、股・膝のOAの進行予防もしくは進行を緩やかにする様々な取り組みが行われています。現在、デンマークやスイス、カナダ、オーストラリアを中心に“Good Life with osteoarthritis in Denmark” (GLAD) というプログラムが注目されています。股・膝OAの方々の関節をできるだけ長持ちさせて、”Good Life”や“Quality of life”を支援する目的で、安価に社会資源のコスト削減が期待出来るGLADに準拠したプログラムを楽しめる機会を増やして行く環境作りが必要と考えられます。
将来的には、GLADの普及・啓蒙にも尽力すべきでしょう。
2018年の報告では、対象の48%が65歳以上で、うち72%が女性でした(BMI 平均29.9)。疼痛は、平均36%緩和し、関節運動の影響が大きい動作のQuality of Lifeは25%改10%増加しました。股関節OAにおいても同様な改善が認められました。OAによる関節の機能障害が進んで行くと、歩行やその他の動作で痛みが生じないように、もしくは痛みが悪化しないように行動変容が生じるようになります。痛みを回避するために、脳で行動プログラムを書き換えたり、痛みが強くなった記憶を元にストレスが小さくても脳でシグナルを発して、運動抑制を企図します(運動恐怖症)。書き換えられた脳のプログラムやネットワークは、投薬や注射では改善することが困難です。神経と筋の感受性を高める運動学習に効果があると報告されています。
環境にやさしい「カンセツ長寿プログラム」
「カンセツ長寿」プログラムを提供できる環境を整備することで、
☑️ 股・膝関節の機能破綻を抑止・改善することで関節内の構造破綻の進行を緩やかにできます
☑️ 疼痛が改善することで、脳のネットワークの「運動恐怖症」を書き換えることができます
☑️ 運動学習による活動性が改善することで、日常生活の"Quality of Life"の向上が期待できます
☑️ コミュニティベースの社会資源の利用や医療コストの低減に寄与できます
☑️ 環境負荷を低減させることがき、SDGsに寄与できます
☑️ 関節へのストレス耐性の向上は、activityの改善による身体諸機能の向上を促し、機能的なアンチエイジングに貢献できる
☑️ 「機能的アンチエイジング」のロールモデルとして期待できる