中小企業経営のための情報発信ブログ227:雑談力は最強の武器

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今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
これまでもコミュニケーション、特に雑談の重要性については書いてきました。コロナ禍で、リモートワークが普及、定着する中、オフィス勤務と違い、コミュニケーションが減り、当然雑談の機会も減ってきています。
「最近、どうも口の回りも頭の回転も鈍くなってきた」「リモートで上手くコミュニケーションがとれない」「人と話すのが苦手になった」という声をよく聞くようになりました。コロナ禍で、リモートワークが増え、人との接触機会が減ったことから、人とのコミュニケーションに課題感をもつ人が増えてきているのです。
1.「コロナによるコミュ力不調」が増加
 コロナ禍の政府の調査によると、67.6%の人が、「直接会ってコミュニケーションをとることが減った」と回答し、その結果、対人力、対話力も低下し、孤独感を覚える人も増えています。
 「コロナによるコミュ力不調」を打開するのが「雑談力」です。
 雑談と言えば、無駄話のように聞こえますが、人間関係の潤滑油の働きをして関係性が深まったり、そこからアイデアが生まれイノベーションのきっかけになったりすることもあります。決して「雑な」話ではなく、「無駄」なものではありません。コロナ禍で雑談の機会が減ったということは由々しき事態なのです。
 雑談には多くのメリットがあります。雑談や会話など話をすることは、脳内ホルモンを分泌させ、能や身体の活性化に繋がります。気分のいい話は、ドーパミンやオキシトシン、エンドルフィンといった刺激・快楽ホルモンを分泌させ、健康や幸福感を高めてくれます。雑談は人の苦しみや悩みを和らげる万能薬の働きをするのです。 
 また、雑談は個人のモチベーションに影響を与えるだけでなく、組織としての結束力や生産性にも大きく関わっているのです。
2.雑談は職場の潤滑油
 雑談のメリットは個人の健康や幸福感を高めるだけではありません。コロナ禍で、多くの企業や人が、雑談が職場の潤滑油であり、思いがけないアイデアやイノベーションを生む源泉であったことに気づき始めています。
 偶然の出会いによる会話が、社員の「コラボレーション」「創造性」「イノベーション」を高めます。人と人との摩擦熱が、組織に火をつけ活性化させるのです。
 日本の職場では「おしゃべりは無駄」という空気があります。おしゃべりは軽蔑されます。しかし、アメリカ・ラトガーズ大学の研究結果によれば、「雑談により、社員の気分が上がり、互いに助け合おうという気運が高まる」のです。シカゴ大学ブース・ビジネススクールのニコラス・エプリ-教授は、雑談を「人間関係のイロハを学ぶ大切なトレーニング」「人と人とをくっつける磁石」と形容しています。
3.「コミュ力がワースト1位」の日本
 旅行サイトExpediaの調査では、機内で知らない人に話しかける割合は、日本人はたった15%のダントツのワースト1位です。トップのインドは60%、ワースト2位の香港でも24%で日本とは10ポイント近く差があります。また、機内の迷惑行為に対して「何も言わず黙っている」と答えた割合は39%で、世界第1位の我慢強い国(?)です。
 これらを見ると、日本人は極めて雑談や会話が苦手な国民だということが分かります。これは、「雑談は無駄」という風潮があるのとともに、「以心伝心」「あうんの呼吸」「上意下達」といった文化のもとで、コミュニケーションの技術やスキルを磨く機会が少なかったことが原因です。かつては、家族や親戚、隣近所との付き合い世代の違う人々との交流の中で雑談力を学んできたわけですが、核家族化、都市化の進展で、そうした場も減ってきています。コロナ禍で「飲ミュケーション」も減り、益々日本人の雑談力は低下してきています。
 人は、拒絶されることにとてつもない恐怖を感じます。人からの拒絶は「自分が群れから排除されるリスク」を意味するので、人から拒絶されることを極端に恐れます。その結果、同調圧力で、上や多数意見に逆らわず余計なことは言わなくなります。
 また、人類は脅威から身を守ることで生き抜いてきました。「敵を避ける」ことが「友人や仲間を作る」ことよりも優先されます。安易に人を信用し心を許してしまうことはリスクが伴います。見知らぬ人との会話や雑談のリスクや居心地の悪さを過大視し、楽しみや充実感などを過小視してしまうのです。
 「つながり」というのはある種の「しがらみ」を生み出します。その結果煩わしいと感じるのです。こうした「しんどい束縛」を「心地よいつながり」に変えていくことが求められるのです。
4.雑談で弱いつながりを上手につなげていく
 会社、家族・地域のようにべったりとした関係ではなく、まるで「蜘蛛の巣」のように細くても、複数のネットワークに繋がっておくことで、「おひとり様」でも上手く生きていくことができます。これが社会学でいう「弱い紐帯」です。スタンフォード大学のマーク・グラノベター教授(社会学)は、「家族や友人、同じ職場の仲間のような『強いネットワーク』より、ちょっとした知り合いなどの『弱いネットワーク』が価値ある情報伝達には重要である」と言っています。近くのお店の常連や近所の人との何気ない会話や声かけ、趣味を通じた緩い人間関係、そうした「弱いつながり」の中でも、自分の存在を認めてくれたり、手を差し伸べてくれたりする人がいてくれるだけで「幸福感」はぐんと上がります。
 確かに、こうした「弱いつながり」は重要です。インターネットやSNSで見ず知らずの人と繋がる機会は増えていますが、弱いつながりだけでは人は生きていくことはできません。強いつながりがあってその上に弱いつながりを広げていくことが大切です。
 雑談は「蜘蛛の糸」で、上手に張り巡らせれば、人生が安定し、安心感をもたらしてくれます。「雑談力」「コミュ力」は才能ではなくスキルです。磨けば磨くほど上達します。
先日も書きましたが、知らない人に声を掛けてもいいのです。道を歩いていて庭の綺麗な花を見て「綺麗ですね」と声を掛ける。褒められた人は嬉しくなって次の会話が始まります。会社の部下への声かけの方が見ず知らずの人への声かけよりは簡単です。すれ違ったときに声を掛ければいいだけです。WEB会議や1on1のと気にちょっと雑談で聞いてみればいいのです。以前にも書きましたが、「雑談力は質問力」です。
雑談を難しく考える必要はありません。相手の情報を引き出せばいいだけです。相手が興味や関心を持っていることを聞き出せれば、相手は自然と喋ってくれます。それを掘り下げていけばいいだけです。「何を話そうか」ではなく「何を聞き出そうか」です。
雑談において重要なことは、質問する⇒聞く⇒質問する⇒聞く⇒時々自分の話をする、です。心を開いて雑談に取り組みましょう。
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