中小企業経営のための情報発信ブログ228:思考停止企業

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多くの企業は、長年「安定重視」の経営姿勢を続けてきました。しかし、今は、正解が分からず(多くの正解があります)先行きが見通せず、激動の時代です。これまで通りに過去の栄光にあぐらをかきこれまでの方法を踏襲しているだけでは、成長どころか足下をすくわれてしまいます。企業も経営者のさらにはそこで働く従業員も意識を変えなければなりません。
しかし、「安定重視」に慣れすぎていて、変化に対応できなくなっています。安定重視の社会規範が我々の意識の中に蔓延しているのです。その結果、「予定調和」「前例踏襲」といった思考姿勢が企業や従業員にとって当たり前になってしまっているのです。
1.「予定調和」や「前例主義」が生む「枠内思考」
 「予定調和」というのは、もともとはライプニッツの形而上学の根本原理の一つで、単純で相互独立的なモナド(単子)の合体である世界は神の意志によって予め調和すべく定められているという考えです。
 ここでの予定調和というのは、そもそも最初から確定しているという結論に向かって、そこから逆算した筋道を立ててたどっていく仕事の進め方です。人は、無意識のうちに予定された結果を念頭に置き、つまり予定された結果を前庭に業務を処理していきます。
 しかし、これでは、枠の範囲(頭の中にある想定)で処理すれば済むので、自分の頭で物事の本質を深く考え抜くという必要はありません。結論は既に決まっているので、後は粛々と目の前の業務をこなしていけばいいだけです。
 「前例主義」も同じです。前例という過去の経験を枠として、それをなぞって事を進めればいいだけです。自分の頭で新しいアイデアを生み出しチャレンジする必要はありません。過去の成功体験を繰り返していけばいいだけです。
 不動・不変の枠の中で業務を処理するのは、ある意味効率的で、頭を使わないのでラクです。こうした思考が「枠内思考」です。
2.日本企業が抱える本質的な問題
 人間は、意識して努力しない限り、楽な方を選んでしまいます。人の集合体である企業も同じです。世の中には、多くの無自覚な「規範」が存在します。
 「予定調和」も「前例主義」もその一つですが、他にも上司の意向、顧客の意向、社内の作法、法規、予算、部門の壁などいくらでもあります。こうした規範に従っていればいいのなら、敢えて新しいことをする必要はなく、無理をして面倒なことを考えるより、何も考えずに規範に従ってしまいます。上司や周りの人、会社の雰囲気から、自分の頭で考えないことを望まれていると感じるなら、考えるのを辞めてしまうのも当然です。自分の頭で考えるのを辞めてしまえば思考停止に陥ります。
 楽を選んで無自覚な枠内思考で思考停止状態に陥っているというのが、日本企業の現状であり、本質的で致命的な問題です。
 今は激動の時代です。変化を求めずに過去の栄光や過去の方法にしがみついていることなどできないはずです。枠内思考で思考停止状態では成長できるどころか生き残るのも難しい状況になりつつあります。それは中小企業はもとより大企業でも同じです。
 こうした思考停止を排除しない限り日本経済は低迷から脱することはできません。
3.無自覚な思考停止を放置してはいけない
 規律や作法、思惑が枠となって社員の思考を縛り、制限された行動が強く出る環境で、考える力が育つはずはありません。
 枠内思考による思考停止を放置したままでは、経営の中枢も今まで通りの「安定重視」「混乱回避」を上位においた仕事を続け、新しい発想が生まれることもなく、イノベーションが起きることなどありません。
 こうした状況を変えるには、経営陣一人ひとりが、本気でチームとなり、組織風土改革も織り込んだ方針へ大転換をする必要があります。
4.日本人がもつ、強靱な強み
 企業改革を推し進めることが必須ですが、経営陣だけが行なおうとしても社員が動いてくれなければ改革はうまくいきません。改革をしたいという思いをもつ企業人同士の連携を高めることがどうしても必要になります。
 日本の場合、諸外国に比べ、一定の環境さえ整えば、自分に似た「何か」を共有しようとする感覚が強く、こうした人間関係に強靱な強みがあると言えるのです。
 ここで重要なのは、先日も書いた心理的安定性がある職場です。何でもオープンに話し、意見を言うことのできる状態です。そのためにはよりよい人間関係、信頼関係の構築が必要です。日本の場合、個人主義の強い欧米とは異なり、相手を思いやる心によって、比較的容易に人間関係の構築はできるように思います。
多くの日本企業は過去に縛られているように思います。高度成長期からバブル期、このときの栄華が忘れられないのでしょうか。しかし、失われた30年を取り戻すことはできません。過去は忘れることです。初心に返って一から出直すことです。
過去の延長線上に未来を描いている限り、過去に引きずられてしまいます。今の延長線上に実現したい未来があるわけではないのです。今の延長線上にあって実現できるのは未来ではなく予定に過ぎません。過去に縛られていると予定調和の未来しか描けないのです。
ここで重要なのは、何度も書いています「ぶっとんだ目標」です。VUCAの時代と言われるように、いまは何が正解か分からず先行きが見通せない時代です。刻々と変化する激動の時代です。何が正解か分からないのでやるべきことも刻々と変わります。やるべきことにとらわれていると足下をすくわれます。今は、やるべきことよりも、やりたいことにフォーカスすべきです。「ぶっとんだ目標」というのは、やらなければならないものではなく、ワクワクするような人をも巻き込んでワクワクさせたい目標、是が非でもやりたい・実現したい・やりたい目標です。
「ぶっとんだ目標」を掲げることで、従業員同士が共有したいもの、共通の目標になり得るのです。
そして、枠内思考を脱却するには、「逆算思考」です。まずは未来にぶっとんで、逆算的に計画を積み上げていくのです。未来にぶっとぶことで過去の呪縛を断ち切ることができます。ぶっとんだ目標を立てると、過去に引きずられるのではなく未来から引っ張られるのです。
このように、「ぶっとんだ目標」は重要で優れた効果がありますが、注意しなければならないことがあります。それは「ぶっとんだ目標」というのは容易に実現できないということです。人間の熱意はそう長くは続きません。いかにワクワクするような、人をワクワクさせるような目標であっても、熱意を持ち続けることは難しいのです。
そこで大切なのが、「ぶっとんだ目標」達成に向け細分化された中短期的目標です。逆算思考から中短期的な目標を設定することです。この中短期的な目標を積み重ねた先にぶっとんだ目標の達成が待っているのです。
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