体脂肪は、大きく分けて「皮下脂肪」と「内臓脂肪」に分類されます。
皮膚の下にあるのが皮下脂肪、胃や腸の周りにあるのが内臓脂肪で、一般的には女性は皮下脂肪が多く、男性は内臓脂肪がたまりやすいと言われています。
今回は、この皮下脂肪と内臓脂肪について考えてみましょう。
◎皮下脂肪
皮下脂肪は、皮膚と筋肉の間に蓄積される体脂肪です。
皮下脂肪には、寒さや衝撃など外部からの刺激に対応する重要な役割がありますが、必要以上に増えてしまうと膝や腰を痛めたりする整形外科的な問題が発生する原因となります。
◎内臓脂肪とメタボリック・シンドローム
内臓脂肪は、胃や腸、肝臓などの周りにある体脂肪です。
内臓脂肪には、臓器を正しい位置を保ち、外部からの衝撃を和らげる役割があります。
これがあまりにも少ないと臓器下垂(胃下垂など)になる場合もあり、少なければ良いというものではありません。
しかし内臓脂肪は皮下脂肪と違い、増えすぎるとストレートに健康被害のリスクとなります。いわゆる「メタボリック・シンドローム」です。
★血糖値の上昇
内臓脂肪が過剰に蓄積されると、脂肪から出されるアディポカインという物質によって、すい臓から分泌されるインスリンの効き目が悪くなり(インスリン抵抗性)、血糖値が高い状態を引き起こし糖尿病の原因となる場合があります。
★脂肪肝
内臓脂肪が増えすぎて、肝臓に脂肪が沈着した状態が「脂肪肝」です。肝細胞の30%以上に中性脂肪がたまった状態です。
この脂肪肝から肝硬変、さらには肝臓がんにまで進行する場合があり、特に注意が必要です。
★脂質異常症(高脂血症)
血液中の中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の数値が高い状態に加え、HDLコレステロール(善玉コレステロール)値が低い状態を「脂質異常症」と言います。
血液中の脂質が多いとそれが血管の内壁に付着し、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの深刻な病気を引き起こす可能性があります。
◎女性の内臓脂肪
最初に書きましたが、一般的には女性は皮下脂肪が多く、男性は内臓脂肪がたまりやすいと言われています。
女性に内臓脂肪がつきにくいのは、妊娠のために子宮を守る必要があり、女性ホルモンの「エストロゲン」に内臓脂肪の蓄積を防ぐ働きがあるためで、そのおかげで男性に比べてメタボリック・シンドロームのリスクは低くなります。
しかし、女性も更年期あたりになるとホルモンバランスの変化が生じ、エストロゲンが減少します。そうすると女性も内臓脂肪がたまりやすくなり、男性同様に注意が必要となります。
◎内臓脂肪レベル
内臓脂肪がどれくらいの状態かを知る一つの目安として「内臓脂肪レベル」というものがあります。
オムロンやタニタなどのご家庭用の体組成計で測定できますので、以下の数値を参考にしてみてください。
・標準/1〜9
・やや高い/10〜14
・高い/15〜30
内臓脂肪レベルは「10」が一つの基準になります。10を超えたらイエローカードですので、食生活習慣の見直しが必要です。
◎落としやすいのはどっち?
一般的には、皮下脂肪は落としにくく、まず先に内臓脂肪から落ちていくと言われています。
これは、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて1個の脂肪細胞が小さく、代謝活性が高いのでエネルギーとして消費されやすいためです。
しかし、これまでたくさんの方々のダイエットに携わってきた経験から言うと、必ずしもこの通りではない場合があります。
やはり個人差があり、年齢・性別・それぞれの体質の違いによってスムーズに内臓脂肪が減っていかないケースも見受けられます
いずれにしましても、この内臓脂肪が減っていかないことには健康リスクが解消されず、なおかつポッコリお腹も凹みません。
これを減らすには、食生活の改善が必須条件となります。
◎適正な体脂肪は体に必要不可欠
ダイエットに取り組んでいると、あまりにも体脂肪を敵視しすぎて「もっと減らそう」「もっと痩せよう」と思ってしまうことがあります。
しかし皮下脂肪にせよ内臓脂肪にせよ大切な役割(ホルモンの分泌や予備エネルギーとしての蓄え)があり、少なすぎるのは別の意味で健康に害がありますから注意が必要です。
ボディビルやフィジークの選手などは、コンテストの時には体脂肪率が5%、3%とかものすごい数値ですが、これはコンテスト当日とその前後ちょっとの間だけで、コンテストが終わってオフに入れば体脂肪率を上げています。
イチロー選手も体脂肪率3%台と聞いたことがありますが、これはケタ外れにストイックなプロ選手だからできることで、普通は一般人が目指すレベルではありません。
男女別の体脂肪率の適正値は、おおよそ以下の通りです。
★男性の場合
・低い/10%未満
・標準/10〜17%
・やや高い/17〜25%
・高い(肥満)/25%以上
★女性の場合
・低い/18%未満
・標準/18〜27%
・やや高い/27〜33%
・高い(肥満)/33%以上
このように、男性と女性では適正な体脂肪率が違います。
男性の場合は10%未満でも大きな問題はありませんが、特に女性の場合は体脂肪が少なすぎるとホルモンバランスが崩れ、月経異常や妊娠・出産に関わる問題が起きる場合があるので注意が必要です。
男性は10%、女性は18%くらいの体脂肪は必要なのだと認識し、過剰なダイエットはしないように心がけましょう。