最近さ、悠真くんモテてない?

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コラム
朝の教室は、いつもより少しだけざわついていた。

窓から入る光は変わらないのに、
空気だけが、どこか落ち着かない。

凪は席に座りながら、ノートを開いたまま、
文字が頭に入ってこない。

——なんだろう。

ふと顔を上げると、
悠真のまわりに、いつもより人が集まっている。

男子だけじゃない。
女子も混ざっている。

しかも、その中に——

ひときわ目立つ女の子がいた。

明るい茶色の髪をふわっと巻いて、
笑うとえくぼができる、かわいい系。

クラスでも人気の子。
いつも友達に囲まれているような存在。

その子が、悠真のすぐそばで、
楽しそうに話している。

「悠真くん、それほんと?」

少し高めの声。

悠真は困ったように笑って、
頭を軽くかきながら答えている。

その仕草が、
凪にはなぜか胸に刺さった。

——あんな顔、私には見せない。

そう思った瞬間、
自分でも驚くほど、心がきゅっと縮んだ。

周りの女子がひそひそ話す。

「最近さ、悠真くんモテてない?」

「だよね。あの子も狙ってるっぽいよ」

「絶対そのうち告白するよね」

告白。

その言葉だけが、
やけに大きく耳に残った。

凪は、ペンを握る指に力が入る。

——そんなの、まだ……

まだ何も始まっていないのに。
なのに、
もう終わりが近づいているみたいで。

そのとき、悠真がふと顔を上げて、
凪のほうを見た。

一瞬だけ。

いつもの静かな視線。

でもその背後には、
さっきの女の子の笑顔が重なって見える。

凪はとっさに視線をそらした。

胸の奥が、ざわざわして落ち着かない。

——悠真は、きっと。

あんな明るくてかわいい子のほうが、
一緒にいて楽しいんだろうな。

自分の静けさが、
急に重たく感じた。

チャイムが鳴って、
人の輪がほどける。

そのかわいい女の子は、
去り際に悠真の袖をちょん、と引いた。

何かを小声で言って、
照れたように笑う。

悠真は驚いたように目を瞬かせて、
それからゆっくり頷いた。

その光景を、
凪は遠くから見ていた。

胸の奥で、
まだ名前のつかない不安が静かに広がっていく。

この物語は、
まだ告白すら始まっていない。

でも——
恋はもう、揺れ始めていた。
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