皆さんは紙の本が好きですか?
電子書籍が好きですか?
これは英検でもよく出題される質問ですね。
私は紙の本が好きですが、最近は専らスマホで読書です。
片手で読める、文字の大きさが変えられる、わからない言葉はすぐに調べられる等の実用性から自ずとスマホで読む習慣が身についてしまいました。
それでも紙の本が好きで、今でもよく書店に足を運びます。
書店における思いがけない本との出会いはネットの比ではありません。
表紙を飾られた本、平積みされた本、棚にひしめく背表紙、それらはその存在を積極的にアピールします。
私の場合、ネットでは本を能動的に探している、つまりこちらから探しに行っている気分ですが、書店では受動的、つまり本が向こうからやってくる、こちらはただ待っていればいい、そんな気がします。
「思いがけないラッキーな出会い」を英語ではセレンディピティ(serendipity)と言います。
今年の5月、アメリカはミシガン州チェルシーにある地元の書店、その名もセレンディピティ・ブックス(Serendipity Books)が移転しました。
移転先まで200フィート(約61m)、大した距離ではありませんがそれでも9100冊余りの本を運ぶのは容易ではありません。本をダンボールに詰めて、運んで、また出して・・・
もちろん引越し業者に頼んでトラックで運んでもらうことはできるのですが費用が嵩む。
そこで書店のオーナー、ミッシェル・タップリンさんは地元住民に広く助けを求めました。
引越しを手伝ってほしいと。
手伝いはボランティアで、報酬が支払われるわけではありません。
ミッシェルさんは一体どれだけの方が来てくれるのか見当もつきませんでした。
しかし、当日は信じられないことに約300人の地元住民、さらには一匹の犬がかけつけてくれました。
そこで取られた方法は300人が2列になり、バケツリレー(bucket brigade)のように本を手渡すこと。旧店舗から新店舗まで200フィートの距離を、本が次々に手渡され、運ばれて行きます。
結局、9100冊の本を運ぶのにかかった時間はわずか2時間弱。
その様子は多くのメディアに報道されました。
ミッシェルさんは言います。
人々の善意に対する信頼を新たにし、心を大きく揺さぶられたと。
参加した一人、ドナ・ザックさんは取材に答え、
「ただただ楽しい経験でした。これ読んだ? あれ読んだ?って言いながら隣の人に本を渡していくんです。本当に楽しかった」
見知らぬご近所同士でベストセラーを手渡すたびに友情が育まれていったとメディアは伝えています。
書店は、セレンディピティ、思いがけない本との出会いの場所、そしてセレンディピティ・ブックスの移転により人と人とが思いがけない出会いを果たしました。
でもミッシェルさん、もう二度と引っ越しはしないとのことです^^