手抜きの刺繍と ちゃんとした刺繍の違い

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デザイン・イラスト
最近、何故か増えて来たのが
刺繍に対しての相談やトラブル相談です。


「〇〇というサービスで刺繍ウェアを注文したのだけど見て欲しい」
「相手側は これが仕様です と言うのだけど、これは普通ですか?」
といった内容

送られてきた画像を見てみると
パッと見は問題無いように見えるものの
良く見てみると 確かにこれは無い ですね といった刺繍


具体的にその刺繍の何がダメだったのか

刺繍を見れば分かるのですが
刺繍機や刺繍ソフトに入っている「一発変換」の機能を使って
刺繍をしているだけで、ちゃんと刺繍を担当している人が施工してないな
というのは、刺繍を見れば分かります。

人よりちょっと服が好きな人なら知っている
説明を受けなくても 既になんとなく感じていたというレベルです。

もちろん刺繍の理解度=熟練度なので
担当さんがついていても、上手い 下手はありますが

ただここで言っているのは
パッと見で、手抜きで施工しただけか
ちゃんと刺繍をしようとしたかは 1瞬で見わけが付きますよ 
という事です。
刺繍_0001s_0005__DSC3337 のコピー.jpg

↑端切れに刺繍しただけの画像だと少し分かりにくいかも知れないので
↓実際にバケットハットに刺繍してみた方が分かりやすいかも知れません
刺繍_0001s_0007__DSC3335 のコピー 4.jpg

●左の刺繍は手の立体感や筋肉の向きなども考えて作られていて、同じ糸と同じデザインなのに、立体感/光沢が出ています。

●右の刺繍はデザインのことなど全て無視して、とにかくベタ塗りのタタミでやっつけています。

もし、これが友達同士だけで着るために作った格安品なら
まだ我慢して着ることも出来ますが
お客さんに販売する為の物としてだったら、これは論外です


なんで刺繍の問い合わせが増えたのか

何故、急に刺繍ウェアについての問い合わせが重なったのかと思って調べてみると
『刺繍のデータ代が高いので、データ代を取らずに
 刺繍が出来ます! うちはどこよりも格安です!』
といったサービスを展開している業者さんや

生成AIが自動で刺繍をしてくれるといったサービスが増えて来たのが原因かと思いました。

一発変換の機能だけで『刺繍をお任せください♪』と言っている業者については
そういう方向性の業者さん というだけなので、ここで書きません

生成AI/AI刺繍による 良し悪し

ただ、生成AIの刺繍は過去に何個か実機で仕上がりを見せてもらったことがありますが、その時はそこまで悪い物ではないとは思いましたが
AI刺繍に向いていることと 不向きな物があると感じます。

●AI刺繍に向いているのは
人の顔の写真やペットの顔の写真をそのまま刺繍にしたい
といった用途に向いていると思います
写真を刺繍にする という点においてAI刺繍は
とてつもなく業者にとってはラクです。 

●逆に向いていないのは
文字とイラストが合わさったようなデザインや
キャラクターや動物のモチーフのデザインについては
AI刺繍はちょっとまだ早いと感じました。


というのは、
AI刺繍に任せると 先に見せたベタっとした手抜き刺繍のように
謎のタタミを多用しがちで
ペットの写真なども とにかくパンチをし過ぎるという特徴があるので
ここが改善されないと、商用品の制作に使うには厳しいと感じました。


具体的に何がイケないのか

①全部タタミ縫いになる
AIは見せられた画像を再現しようとするので
縫い始めや縫い幅、縫い順や刺繍する生地の事は考慮しないので
ベタっとした平らな刺繍になってしまいます

②重すぎる
①の通り、AIは画像を再現するためにハチャメチャにパンチして
とにかく糸をぶち込んで解決しようとするので
トートなどの分厚い生地ならまだしも
Tシャツのような薄い生地だと、刺繍がモリモリで その部分だけ
ベロンと Tシャツの生地が垂れ下がってしまう

③色の認識がオカシイ
AI刺繍はセットされている色からしか選択ができません。
おそらく7色か多くて12色ですが写真をそのまま刺繍にすると 
一般的な画像の色の数は1677万色です 12色の糸ではとても足りません。

また、 人間は三毛猫を見た時に
顔は白で~ 額は茶色で~、耳は黒だな!
と画像の動物をイラストのように捉えて、色の分別ができますが
AIは1677万色を真に受けて認識します

その結果、
顔は白と薄い茶色の部分があるぞ~ 
耳は黒と茶色を使って~
額は・・・茶色っぽいけど、茶色も白も黒の糸も既に使ってっしまっているから ここはレモン色にします!!

と、かなりぶっ飛んだ配色になるので
毛色が多い動物や、逆に1色だけの経路の動物などの時は
かなり苦しい仕上がりになります。

刺繍一本の職人さんの工房でも
AI刺繍はもう少し時間が立たないと、まだ厳しいでしょ
というのが現段階の判断だと思います。

そこまでこだわらなくても良い

オリジナルのウェアや かんたんなプリントウェアを作りたい!
と言う人の中には

せっかく作るならちゃんとした物を作りたいです。という人もいれば

自分が着るわけじゃないんで とにかく薄い生地の安い物で
原価が下がるならインクを薄めていいので、とにかく安くしてして下さい
という人もいます

後は、
企業やアーティストさんやテナントさんが
お客さんやファンへの販売物として制作をしたいので
販売した時に炎上やクレームにならないように
できるだけクオリティを重視して作って欲しい といった場合もあります。

自治会や友人同士のサークルで着るだけのものであれば
コストをかけすぎても仕方ないので、正直そこまでクオリティにこだわらなくても良いとは思います。

ただ、友人や知人でもない第三者に渡す物や販売するものの場合には
まずは これを売ってお客さんがガッカリしないか。
販売して恥ずかしいものじゃないか。 っていう部分の見極めは大事だと思っています。

「オリジナルブランドを始めました!始めたいです!」
というお客さんは年間で何十件もありますが
本当にシーズンを回して長続きしているクライアントさんは
自分のお客さんを大事にしている所だけだと感じます。


余談

刺繍は最初にデータ代がかかるので 使い回しできるなら
使いまわすというのが通例になっていますが

同じデザイン、同じパンチデータを使っても
薄いナイロンに刺繍するのか
CAPに刺繍するのかで仕上がりも変わってきます。
つまり、Tシャツに刺繍するデータと帽子に刺繍するデータは
本来は使い回ししない方が良いのです。
刺繍_0001s_0012__DSC3335.jpg
刺繍_0001s_0015__DSC3330.jpg
前者は刺繍のエッジが綺麗に出ていますが
後者はエッジがちょっとボケているのが分かります。
これは、張りのあるナイロンの薄い生地に対しての刺繍としてデータを作っているので
CAPのように厚さはあるけど、張りがあるわけではない生地に刺繍をすると
縫いが強すぎて、糸が生地の中に食い込んでいってしまうので
刺繍のエッジがジグザグぽくなってしまっています。

でも、同じデザインなので わざわざ2つもデータ代を払うのは馬鹿らしい
というのが実際の所なので、同じデータを使いまわすのが当たり前ではあります。


ちなみに、うちよりもずっと刺繍について詳しい
レジェンド的な業者さんもいます
かなり難しい刺繍でもビシっと形になった刺繍を出してきます。

そこは刺繍の1データが3~7万などするのですが
本当に刺繍にこだわりたい と言った人はそういう業者さんに依頼したりしています。
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