羽織とコート

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美容・ファッション
 また、とある質問BBSで、訪問着には、上に着るとしたらコート一択という書き込みを見た。
 羽織は、昭和の装いであり、マナー違反なのだそうだ。
 着物関係の書き込みで「昭和の」とつくと、酷くバカにされているような気になるのは、自分が卑屈なんだろう。

 さて。
 私が仕立屋の道に入ったのは、18の時。すでに平成になっていたが、その頃、コートを仕立てられる人は、少数であり、また、着物をお勧めするときには、決まって羽織を一緒に勧めていた。だから、着物の仕立てには、お襦袢、あるいは羽織が必ずと言っていいほどついてきた。
 それも、卒業の年には、大分様変わりして、羽織はほぼなくなった。かといって、コートがその代わりに台頭してきたかというと、そうでもない。
 コートとセットで着物が来るのはあまり例がないほうだった。

 羽織が、男物から派生した女性には正式な装いではないから、というのがその主な理由らしいが、それを言ったら、コートの原型などは蓑笠なんだが。しかも、道行衿などは、まさに男性の易者や茶人の装いだったんだが。
 武家の男性のお召し物だった羽織が格下で、易者や茶人の着物だったコートが格上なのは、矛盾が多いと思うんだ。被布衿などは、年寄りか七五三の着物に成り下がっちゃってるんだけど、そこはどうなの?

 何事も原理主義的に考えることには反対だが、いろんなことをあれはだめ、これはマナー違反と、声高に叫ぶ人たちの声の大きさに、驚く。
 誰が言ったの? 皆が叫ぶマナー違反と昭和の装いは、着物文化の変遷の一部に過ぎないのだけれど、極寒の弔いに、五つ紋の羽織を纏ったり、寒い時期の祝儀に黒留めに五つ紋の羽織はごく普通だった。私がまだ一年生の時には、喪服セットには、8割がた五つ紋の羽織が付いていたのだから。つまり、平成の初期まではまだ五つ紋の羽織は普通に仕立てられていたということ。

 喪服や黒留めは礼装なのに、五つ紋の羽織を誂えていたんですよ。しかも、当時は、コートを縫える人が少なくて、つまり、コートのお誂えそのものが少なくて、今でいう、インフルエンサー的なファッションリーダーがわざわざ誂えるぐらい。
 それなのに、訪問着には羽織はマナー違反でコートは良いとか。
 確かに比較対象が、喪服や黒留めと訪問着、という違いはある。訪問着の位置づけも、私が1年生のころは、訪問着といえば、公的なパーティなんかに着ていく盛装、付け下げはキレイめワンピースの位置づけだった。ただ、付け下げについては、その柄行から、百貨店などのちょっとおめかししていく買い物から、友人たちとの気軽なお出かけ、入卒式までいけるので、買うなら付け下げ一択、と言われていた。
 今は、訪問着一択らしい。

  それはそれで、言い分も根拠もあってのことなのだろうけれど、ダメならダメで、ソースを出してほしい。
 時代のせいばかりにはしないでほしい。
 昭和な装いが古いと冷たく笑われるけれど、レトロとかモダンとかは良くて、昭和の装いがダメな理由は何?
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