洋裁でも、中心は背縫いにあると思います。ワタクシの洋裁は、我流が9割ですが、背中心と言われれば背縫いを思い浮かべます。
和裁でも、着物の中心は、背縫いにあります。洋裁と違うのは、背中心とは言わず、背縫いと、そのままに言います。
ほぼ洋裁と融合した現在では、背中心でも構わないのでしょうけれど、連綿と続く和裁の文化を想うと着物の中心は「背縫い」かな、と思います。
背縫いには、いくつか種類があります。通常、特に柄合わせ、寸法などの都合がないときには、3分で背縫いをとります。肩幅がいっぱいの時や、柄を合わせた時は、2分になったり4分になったり5分になったりしますが、基本は3分。
二度縫い
一度、3分で縫った後、耳ぎりぎりをもう一度縫います。左右の身頃の縫込みがぺらぺらして起き上がらないようにします。
袋縫い
後ろ身頃を外表に合わせて、一度耳の深さで縫い、キセを縫い目ギリギリに掛けて、生地を返し、中表にした後、本来の背縫いの幅で本縫いします。一度目は少し大きめ、二度目の縫い目は小さめにします。
背伏
1寸弱の細い生地で縫い目をくるみます。この場合、背伏の幅によって2分になったり、3分幅の背縫いになったりします。
ふつうに背伏と中表にした身頃3枚一緒に縫った後、背伏で背縫いの縫込みをくるんで、くけます。
この時、背伏をキセをかけた状態で身頃にくけつけたりする方法もあります。
さて。
なんで、こんな風に縫い方に違いがあるのかな、どれで仕立てを依頼したらいいのかな、と思います。……思います、よね?
そもそも、袋縫いも、背伏も、生地の耳を保護するための方法です。今は、技術革新が進み、どんな生地でも洗い張りが可能になりましたが、昔は、洗い張りといえば、伸子針に突き刺して、ぴんと張って生地を洗いました。この時に、生地に耳がないとぼろぼろと生地がほつれてしまいます。洗い張りになりません。
背縫いは、一番摩擦で痛むところです。なので、耳が出来るだけ痛まなように袋縫いにしたり背伏をつけたりします。
羽織は着物のようにぎゅっと締め付けたりしないので、摩擦もそれほどではなく、着物程長時間着ていたとしても痛みも少なく、袋縫いも背伏も必要ないと考えます。着用時に背縫いがバラバラにならないようにさえできればよいので、二度縫いでokなのです。
お襦袢はそもそもが滑りの良い生地で作ります。また、体に近いところで着るので、背縫いや袋縫いのようにゴロゴロした縫い方だ着心地も良くありません。こちらも、二度縫いでよいと思います。
袋縫いや背伏が丁寧な縫い方かといえば、まあ、そうと言えるでしょうけれど、背伏は摩擦が高く、羽織にすると、着物のほうに擦れの影響が出てしまう恐れがあります。もしも、帯が毛羽立つようであれば、羽織の影響があるかもしれません。
また、縫込みが嵩高くなるので、表にアタリとして出やすくなります。
普段着だった昔とは違い、今は、擦り切れるまで着倒す人もいらっしゃらないでしょうから、結局、袋縫いか背伏かと問われれば、どっちでもいいと思います。あえて、私が個人的にお勧めするなら、二度縫い一択です。(令和6年10月)