「40点でした...」と申し訳なさそうに言う保護者の方へ
「うちの子、今回のテスト40点でした...」
保護者面談で、お母様がそう言いながら俯き加減になる場面に、私は何度も立ち会ってきました。
世間一般では、90点の子が褒められ、40点の子は叱られます。
でも、私は声を大にして言いたいのです。
20点から40点に上がったお子様を、心から褒めてあげてください、と。
なぜなら、そこには点数では測れない大きな成長があるからです。
同じ「40点」でも、意味が全く違う
同じ40点でも、いつも90点台の子が油断して取った40点と、20点だった子が必死に努力して取った40点では、意味が全く違います。
後者の40点には、どれだけの努力が詰まっているでしょうか。
授業中に必死にノートを取った時間、わからない問題に何度も挑戦した時間、諦めそうになりながらも踏ん張った時間——その全てが、この20点アップに凝縮されているのです。
ある生徒さんは、前回のテスト(20点)では問題文を読むことすら諦めていました。
ところが次のテスト(40点)では、最後まで粘って解き続けました。
答案用紙には間違いも多かったですが、空白がほとんどありませんでした。
この「諦めない姿勢」こそが、私が最も褒めたい成長です。
点数は結果ですが、本当の価値はプロセスにあります。
「初めてできた!」という感動体験の力
90点の子にとってテストは、すでにできることの確認作業です。
一方、20点から40点に上がった子は、「初めてできた!」という感動体験を味わっています。
この「できた!」という感動体験が次の学習意欲につながり、その後更なる点数アップへと繋がっていくのです。
実際、私が指導を始める前に20点台だった子が、次のテストで40点台、その次が60点台と飛躍的に伸びていった事例もあります。
保護者の声かけが、子どもの未来を変える
「40点を取った子にどう声をかけたらいいの?」と思われた方へ。
この声かけが、お子様の学習意欲を大きく左右します。
NG反応:「40点?まだまだでしょ。もっと頑張りなさい!」
OK反応:「前回から20点も上がったね!どんな工夫をしたの?すごいね!」
私には忘れられない出来事があります。
昔、塾講師として働いていた時、中3の春に入塾してきた生徒がいました。
入塾前のテストは20点台が多く、本人も保護者の方も「高校に行けるだろうか...」と不安そうでした。
そして入塾後、初めての定期テストで40点台を取ったのです。
私は心から嬉しくなりました。
20点台から40点台への成長、これは素晴らしい進歩です。
保護者の方とも一緒にこの成長を喜ぼうと思い、電話でその話をしました。
ところが、保護者の方から返ってきた言葉は、
「あんなの、まだまだでしょ」
というものでした。
その瞬間、私は深い悲しみを感じました。
せっかくお子様が頑張って掴んだ成長を、一番認めてほしい保護者の方に認めてもらえない——お子様はどんな気持ちだろうか、と。
もちろん、保護者の方ももっと高得点を期待する思いからの言葉だったのでしょう。
でも、その言葉はお子様の頑張りを否定してしまっていたのです。
では、どう声をかけたらいいのでしょうか?
具体的な褒め方の例:
「前回できなかった問題、今回は解けてるね!どうやって勉強したの?」
「諦めずに最後まで書いてあるね。この粘り強さ、素晴らしいよ」
「20点も上がったね!次はどの問題に挑戦してみたい?」
ポイントは、点数そのものではなく「成長した部分」に焦点を当てることです。
お子様は保護者の方の反応から「自分の価値」を学びます。
保護者の方が「成長」を見ていれば、お子様も「成長することに価値がある」と学ぶのです。
点数より大切なもの
20年間の指導で確信していること——それは、**点数より大切なのは「昨日の自分を超えること」**だということです。
20点から40点への20点アップは、時として80点から90点への10点アップより価値があります。前者には「できないことができるようになった」という大きな成長があるからです。
お子様の成長を、点数だけで測らないでください。
テストの答案を一緒に見ながら、「ここは前回できなかったね、今回できてるね」と、一つ一つの変化を見てあげてください。
そして、小さな成長を一緒に喜んでください。
その積み重ねが、お子様の「もっと成長したい」という気持ちを育て、やがて大きな成長につながっていきます。