職務経歴書に取引先企業名を書くリスクとは

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ビジネス・マーケティング

1.職務経歴書に取引先企業の実名を書く背景

職務経歴書は、応募者が自分自身の経験やスキルを、応募先企業へアピールするための重要な書類です。

特に営業職や販売職の場合、取引先企業の実名や売上金額などを記載することで、具体的な実績を示すことができ、書類の信頼性を高める効果があります。

しかし、この実名記載にはいくつかのリスクが伴います。

今回は、職務経歴書に取引先企業の実名を記載するリスクについてご紹介します。


2.取引先企業の実名記載によるリスク

取引先企業の実名を職務経歴書に記載することには、次のようなリスクがあります。

1. 信頼関係の喪失
取引先企業の実名を記載することで、そこに記載された企業と応募者がこれまで勤務してきた会社間でなんらかの取引があることが、応募先企業にわかります。

そのような取引があること自体、知られたくない企業もあります。

特に、競合他社にとって新たな取引のチャンスや、既に取引があれば条件の見直しなど、応募書類に書かれた内容がどのような形で使われるかわかりません。

2. 法的リスク
企業間の取引契約には、機密保持契約があらかじめ条件に含まれていることが多く、職務経歴書に企業名を記載することで違反する可能性があります。

違反した場合、法的措置を取られるリスクがあり、応募者自身のキャリアにも悪影響を及ぼす可能性があります。

企業だけではなく、そこで働く社員にも厳しくコンプライアンスが求められる時代です。

退職したあとも、守秘義務を守る責任があります。

これについては、有名なソフトバンクから楽天へ転職された方の事例がありますね。


3. 採用担当者の印象悪化
採用担当者は、前職の取引先企業の実名が記載された職務経歴書を読んで、どのように考えるでしょうか。

多くの応募者は「自分の実績やスキルがアピールできた」と考えるでしょう。
しかし、採用担当者は逆のことを考えています。

「この人が当社を辞めて他の会社へ転職するとき、同じように当社の情報を次の会社に漏らしてしまうだろう」と。

採用担当者は、このようにメリットよりもデメリットやリスクを優先して考えています。

3.会社名は表記しない
せっかく成果や実績をあげてきたのであれば、それをアピールしたい気持ちもあるでしょう。

特に新規開拓や取引拡大した場合であれば、なおさらです。

しかし、立場を変えて、あなたが採用担当者になった積りで考えてみましょう。

過去の取引先の企業名や商品・サービス名、売上金額や市場シェアが羅列した書類を見た時、「この人が当社を辞めたら、同じことをするだろう」と思うでしょう。

このように企業名を無断で使用することは、メリットよりデメリットの方が大きいことがわかります。


4.リスクを回避するための対策

取引先企業の実名を記載するリスクを回避するためには、以下のような対策が考えられます。

1. 企業名を出さない
具体的な企業名を避け、業界名や一般的な名称を使用することで、実績をアピールしつつ機密情報の漏洩を防ぐことができます。

たとえば、大手家電量販店、大手通信情報サービス会社、全国展開されているドラックストア運営会社、知名度の高い物流運輸業社など、言い方を変えれば問題ありません。

2. 事前の許可を得る
取引先企業に事前に許可を得ることで、法的リスクや信頼関係の損失を防ぐことができます。

許可を得る際には、①どのような情報を、②誰に提供するか、明確に伝えることが重要です。

これが一番確実な方法ですが、あまり現実的ではありませんね。

3. 機密保持契約の確認
取引先企業との契約書を確認し、機密保持契約の内容を確かめる方法もあります。

しかし、これもなかなか難しいのではないでしょうか。

現実的には、取引先企業名を出さないことが最善策になります。

職務経歴書に取引先企業の実名を記載することは、求職者にとって有益な場合もありますが、同時に多くのリスクが伴います。

機密情報の漏洩、法的リスク、信頼関係の損失など、さまざまなリスクを考慮し、適切な対策を講じることが重要です。

来年4月の雇用保険法改正にともない、日本にも本格的な転職社会が到来されるといわれています。

多くの方はご存知ありませんが、実は応募書類は不採用の場合でも半年間、そして本人が退職した後も3年間の保管が義務付けられています。

今後は、より安全かつ効果的な方法で自身の実績をアピールするための工夫が求められるでしょう。
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