老いへの不安が消えない理由。「孤独になるのが怖い」あなたへの心理学的な話

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子育てが終わったら、静かになりすぎた


子どもが巣立った。

それは、ずっと待ち望んでいたことのはずだった。「自分の時間ができる」と思っていた。

でも実際に静かになってみると、なんだか思っていたのと違う。

週末、誰かと話したいと思う。電話しようかと思って、でも何を話すかわからなくて、やめる。外見がちょっと変わってきたことが気になる。体力が落ちてきた気がする。将来、自分の面倒を誰が見るのだろう、とふと頭をよぎる。

カズコさんは50代前半の会社員だ。子育てが一段落して、夫とふたりの生活になった。「友人はいるんですよ、でも気づいたら連絡を取る頻度が減っていて。このまま誰もいなくなるんじゃないかって」と言っていた。毎日、特に孤独なわけではない。でも、何か静かな不安が胸の奥にある感じ、とも。

この「静かな不安」が何なのかを考えていたとき、一つのことに気づいた。

それは、老いることへの不安と、孤独感への不安が、かなり混ざっているということだ。そして、その2つを分けて考えると、少し見え方が変わる。

「老人になったら孤独になる」——これは本当だろうか。

第1章:「年をとると孤独になる」は、思い込みかもしれない


年をとると友人が減る。体が衰える。だから孤独になる。

なんとなく、そういうものだと思っている人は多い。

でも、これは少し違う。孤独感の研究を見ていると、「年齢が上がると孤独が増える」という単純な話ではないらしい、という話を聞いたことがある。むしろ、孤独感に関係するのは年齢そのものよりも、別の要因だ、と。

ただ、詳細はここでは書かない。理由は、「そういう構造がある」というだけで十分だからだ。大事なのは、「老いる=孤独になる」という思い込みそのものが、不安を生んでいるかもしれない、ということだ。

僕の話をする。製造業で働いていたころ、一番孤独だったのは20代中盤だった。若い。でも、朝5時半から夜9時まで働いて、体重が10キロ落ちて、職場以外に話せる人が誰もいなかった。夜、お粥しか食べられなかった時期も、誰にも言えなかった。

孤独は、年齢の問題じゃない。状況と、パターンの問題だ。

そのパターンとは何なのか。一人では見えにくい。自分の目で自分の目を検査するようなものだからだ。

第2章:「変わった人」の話。年齢が上がっても関係が豊かになれる人


ハルコさんは55歳で、子どもが独立したあと、ずっと「このまま老いていくのが怖い」という感覚を持っていた。外見の変化が気になって、鏡を見るのが億劫になっていた。友人に連絡しようとすると「こんなこと話して嫌がられないか」と考えてしまい、だんだん連絡が減った。孤立していたわけじゃない。でも、何か引いている自分がいた。

あるとき、ハルコさんは自分のパターンに気づいた。「年をとったから人に嫌われる」という前提を、ずっと持っていたということに。

それに気づいてから、3か月後には週に一度、昔の友人に連絡するようになっていた。6か月後、「前よりも話せてる気がする」と言っていた。関係が増えたわけじゃない。でも、関係の質が変わった。

ノブオさんは60代で、定年後の生活に漠然とした不安を持っていた。趣味はあった。でも、誰かと一緒にやる機会がなかった。「一人でいること」と「孤独を感じること」が、ずっと同じものだと思っていた。

それが分けて考えられるようになってから、「一人の時間が以前より落ち着いた」と言っていた。孤独感が消えたわけじゃない。ただ、扱い方が変わった。

ただ、正直に言っておくと、この人たちはたまたま出会えただけだ。一人でこれを見つけるのは、かなり難しい。

第3章:「老いへの不安」への対処が、不安を大きくしていることがある


アンチエイジングをがんばる。若々しく見せようとする。外見を整える。

これが悪いわけじゃない。でも、内側の不安には、どれも届かないことがある。

むしろ、こういうことが起きやすい。外見に気を使えば使うほど、「衰えた自分」との差が気になるようになる。若々しく見せようとするほど、「本当の自分」を出しにくくなる。老いることへの不安から逃れようとするほど、老いることから目が離せなくなる。

「対処しなきゃ」という焦りが、不安を大きくするループだ。

もう一つ、よくあるパターンがある。「孤独になりたくないから」と、人とのつながりを必死に維持しようとする。でも、「嫌われたくない」「負担に思われたくない」という気持ちが裏にあると、言いたいことが言えなくなる。関係は続くけど、浅くなる。

一人でこのループから抜けるのは、かなり難しい。

自分の目で自分の目の検査はできない。パターンの中にいる人には、そのパターン自体が見えないからだ。

正直に言うと、老いへの不安が完全に消えるとは思っていない。僕にも、先のことへの不安はある。

でも、「自分のパターンが何なのか」を理解するだけで、不安との付き合い方が変わる人がいる、ということはわかってきた。

100人以上の話を聴いてきて、そう思っている。

ただ、全員がうまくいったわけでもない。途中でやめた人もいる。1回話しただけで劇的に変わる人は、ほとんどいない。

でも——。

「今感じている不安が何なのか」を整理するだけなら、できる。

50分、話してみませんか。老いへの不安でも、孤独感でも、キャリアのことでも。どこからでも入れる。

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ただ一つだけ。一人で抱えてる時間は、思っているより長くなる。僕は5年かかった。そのうち何年かは、振り返ると方向が違っていた。

おわりに

「年をとること」そのものは、たぶん怖くない。

怖いのは、孤独になることと、誰にも理解されなくなることだ、という人が多い。

それは本当のことだと思う。だから、引っかかるものがあったなら、それもたぶん本当のことだ。

🙋 このブログを書いている人について
だいき|産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
会社員時代、職場の人間関係でメンタルが限界に。「このままではまずい」と一念発起し、コミュニケーションを学び直した経験が、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの資格取得につながりました。
恋愛・婚活でも7年間で88人とデートを重ねながら、うまくいかない時期が長く続きました。その苦しさを知っているからこそ、脳科学・進化心理学・愛着理論といった知識を「自分ごと」として学び続けてきました。
キャリアブレイクコミュニティでは160回以上のワークショップを主催。さまざまな悩みや状況を持つ方と向き合い続けてきた経験が、相談の土台になっています。
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