愛が冷めるメカニズム
日曜の夕方、夫がソファでスマホを見ている横顔を見て、なんとも言えない気持ちになった。
嫌いなわけじゃない。でも、好きかどうかと聞かれると、ちょっと答えに詰まる。結婚する前はあんなに会いたかったのに、今は同じ部屋にいても気にならない。
「これが普通なんだろうか」「それとも、もうこの人への気持ちは終わってしまったんだろうか」
子どもの夕食を作りながら、そんなことを考えた。
まあ、こういう感覚を持つ人は少なくないと思う。
ただ、一つだけ確認しておきたいことがある。「ドキドキが消えた」ことと、「愛情が消えた」ことは、たぶん別の話だということだ。
ユカさん(仮名・40代前半・子ども2人・パート勤務)は、結婚7年目頃から、夫への気持ちが変わったと感じ始めた。
結婚前はメッセージが来るたびにうれしかった。一緒にいる時間が早く来てほしかった。でも今は、夫が出張で数日家にいなくても、寂しいというより少し楽だと感じる自分がいた。
「これって冷めてるってこと?」という感覚が、じわじわと不安に変わっていった。
悪い夫じゃない。浮気もしていない。むしろ家事も手伝ってくれる。でも「好き」かどうかわからなくなってきた。
「ドキドキ」はなぜ消えるのか
あの胸が高鳴る感じ、心拍数が上がって、ずっと頭にいる感じ。
あれは「情熱的な恋愛」と呼ばれる状態で、脳内の神経系が強く刺激されている状態に近い。新しいこと、不確かなこと、ドキドキすることに脳は強く反応する。
問題は、脳というものは「慣れる」ようにできている、ということだ。
どれほど美しい景色も、毎日見ると景色に変わる。どれほど美味しいものも、毎日食べると当たり前になる。これは関係に限らず、人間の認知の仕組みそのものだ。
だから、「ドキドキが消えた」のは、相手を嫌いになったからじゃない。脳が「安全な場所」として認識した、ということでもある。
これを「冷めた」と感じる人がいる。でも実は、「次の段階に変わった」だけかもしれない、という話がある。
詳しいことはここには書かない。ただ、情熱恋愛のあとに来る感情の種類は、情熱とは違うが、決して「なにもない」わけじゃない。その感情に気づいていない人が多い、という話だ。
「諦め」か、「変化」か:気づいた人たちの話
ノリコさん(仮名・40代後半・フリーランス的な仕事)は、結婚10年目に夫との関係が冷え込んだと感じていた。
口数が減った。一緒に出かけることも減った。会話が「今日の夕食は何?」「ゴミ出した?」になっていた。
「離婚を考えるほどじゃないけど、このままでいいのかもわからない」という状態だった。
ある気づきを得てから、行動が変わった。そこから半年後、夫と以前は行かなかった旅行に行くようになった。週に1回、ふたりで何かを食べに行くようになった。その間、夫婦の会話が変わった。
変わったのは夫じゃない。ノリコさんの「あるパターン」が見えたことで、関係への接し方が変わった。
別のケースもある。マキさん(仮名・30代後半・製造系の仕事に関わる職場勤務)は、育児が忙しくなった頃から夫との会話が減った。夫は悪気がない。ただ「察してくれない」が積み重なっていた。
ある時期から、マキさんは「察してもらうことへの期待」そのものを問い直した。
相手が変わったわけじゃない。マキさん自身の「無意識のパターン」が見えてから、夫への言い方が変わった。そうしたら、夫の反応も変わった。
変化のスピードはゆっくりだった。でも確実だった。
どちらのケースも、変わったのは「相手」ではなく、自分の「パターン」が見えたことだった。
そのパターンとは何か。一言では言えない。パーソナリティタイプによって、どんなパターンが出やすいかが違うからだ。「察してほしい」が強いタイプもいれば、「距離を取ることで安心を得ようとする」タイプもいる。どれが正しくて、どれが間違いというわけじゃない。ただ、見えていないパターンは変えられない。
一人で「もっと話し合わないといけない」「感謝を伝えないといけない」と頑張っても、うまくいかないことがある。正しいことをやっているはずなのに、なぜか空回りする。それは、パターンが違うのに、同じ処方箋を使っているからかもしれない。
うまくいかない対処法が、問題をもっと複雑にする
「もっとコミュニケーションを取らないといけない」と思って話し合いの場を設けた。でも結果、お互いの言いたいことを言うだけで、かえって空気が悪くなった。
「感謝を伝えよう」と思って言葉にした。でも夫には「急にどうしたの?」という顔をされた。
「自分が変わらないといけない」と思って、いろんな本を読んだ。「それっぽい」アドバイスを試した。少しうまくいった気がした。でも半年後にはまた元に戻っていた。
これは努力の問題じゃない。
問題は、自分のパターンを知らないまま処方箋を選んでいることだ。
たとえば、腰が痛い時に「運動した方がいい」と言われて、間違った姿勢のまま運動を続けると、腰への負担はかえって増える。フォームを知らないまま頑張ることが、状況を悪化させることがある。
夫婦関係も、これと似た構造がある、という話を僕はワークショップで何度も見てきた。
僕自身の話をすると、かつて仕事がどん底だった時期があった。
朝5時半に出て夜9時に帰る生活が何年も続いた。体重が10キロ落ちた。夜はお粥しか食べられない時期もあった。
その頃、「コミュニケーションを改善しよう」と思ってセミナーに通い始めた。3年通って、年間40〜50万かかった。
学んだことは確かに役立った。でも半年後には、また似たような状態に戻っていた。
なぜうまくいかなかったのか、後になってわかった。問題の「場所」が違っていた。スキルの問題じゃなく、自分のパターンの問題だった。見えていない場所をいくら磨いても、何も変わらない。
正直に言うと、僕は医師じゃない。カウンセリングの資格はあるが、すべてのケースに答えられるわけじゃない。相性が合わないこともある。1回のレポートで夫婦関係が劇的に変わるとは言えない。
ただ、「なぜ同じことを繰り返しているのか」「なぜ相手への気持ちが変わってしまったように見えるのか」——この問いに、自分のパターンという視点から向き合うことが、次の一手を考える上で役に立つことがある。
このサービスでは、心理学の2つの理論をもとに、あなたの恋愛パターンとパーソナリティタイプを分析した20ページ以上のレポートをお届けする。回答シートに記入するだけで、今まで見えていなかった「自分のパターン」が言語化される。
「ドキドキが消えた」という感覚の正体が、少し違う角度から見えてくるかもしれない。
気になったら、一度見てみてください。→
「よくわからないまま」過ごす時間は、じわじわと積み重なる。
おわりに
「愛情が冷めた」という感覚は怖い。
でも、冷めたのか、変わったのか、見えていないだけなのか——それがわからないまま結論を出すのは、少し早いかもしれない。
僕自身、いろんなの話を聞いてきた。うまくいったケースも、うまくいかなかったケースも。
共通していたのは、うまくいった人は「相手を変えようとした」のではなく、「自分のパターンが見えた」ことで動き方が変わった、ということだった。
どうするかはあなた次第だ。ただ、この記事を読んで何か引っかかるものがあったなら、たぶんそれは、本当のことだからだと思う。
🙋 このブログを書いている人について
だいき|産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
会社員時代、職場の人間関係でメンタルが限界に。「このままではまずい」と一念発起し、コミュニケーションを学び直した経験が、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの資格取得につながりました。
恋愛・婚活でも7年間で88人とデートを重ねながら、うまくいかない時期が長く続きました。その苦しさを知っているからこそ、脳科学・進化心理学・愛着理論といった知識を「自分ごと」として学び続けてきました。
キャリアブレイクコミュニティでは160回以上のワークショップを主催。さまざまな悩みや状況を持つ方と向き合い続けてきた経験が、相談の土台になっています。
「記事を読んで、もう少し深く話してみたい」と感じたら、ぜひココナラのサービスをのぞいてみてください。
。