「TOEIC800点取ったのに、外国人との会議で全然話せなかった」
私のコーチング受講者から何度も聞いた話です。半年以上かけてスコアを上げたのに、いざ実際に話す場面になると何も出てこない。あれだけ勉強したのに、という挫折感はかなり大きい。
このギャップはなぜ起きるのか。TOEIC800点でも話せない理由と、そこから何をすればいいかを書きます。
TOEICが測っていないもの
まず前提として、TOEICは「読む・聴く」の2技能だけを測るテストです。「話す・書く」を測るのはTOEIC S&Wという別のテストです。通常のTOEICで800点を取っても、それは「読み書きはある程度できる」を証明しているだけで、「話せる」とはまったく別の話です。
さらに根本的な問題があります。TOEICの音声はスタジオ収録の、クリアで整った発音です。ところが実際のネイティブの会話では、`going to`が`gonna`になり、`want to`が`wanna`になり、アクセントも人によってばらばらです。私が米国テキサスのオフィスに着いた初日、チームメイトのCarlosが話す英語がほぼ聞き取れなかった。単語は知っているはずなのに、繋がった音として届いてこない。テストで何百回も聴いてきた英語とは、まるで別の言語のようでした。
TOEICのスコアは、テスト用の英語に対応できることを示しているだけで、実際の会話で使える英語力とは直接対応していません。スコアを上げることと、話せるようになることは、別々に取り組む必要があります。
会話で求められるのはリアルタイムの処理能力
TOEICには解答時間があります。知っている単語を思い出し、文法を確認し、文を組み立てる時間が与えられています。しかし会話はリアルタイムです。相手が話し終えた0.5秒後には自分が返す必要があります。
日本語で考えてから英語に変換する習慣が抜けていない限り、相手の話についていけません。頭の中で「えーと、これを英語でどう言えば……」と処理している間に、会話は3手先に進んでいます。あるミーティングで私が発言しようとして言葉が出てこなかったとき、日本人慣れしている隣の米国人がこちらの言いたいことをフォローしてくれました。彼は非常にナイスなアメリカ人なのですが、なんとも言えない悔しさがありました。
TOEIC340点だった私がやったこと
私はTOEIC340点から英語を始め、最終的に米国で4年間チームリーダーとして働きました。スコアより先にやったことは2つです。
1つは、`wanna`や`gonna`を耳で拾える状態を作るため、『プラダを着た悪魔』のシャドーイングを毎日続けたことです。同じセリフを繰り返すことで、テストでは出てこない音変化を体で覚えました。もう1つは、毎朝出勤前に「瞬間英作文」を1分間続けたことです。これで「考えながら英語で話す」動作に少しずつ慣れていきました。
スコアを上げながら、同時に「実際の会話で通じる練習」もしていく。この2本立てで進めることが、ギャップを埋める唯一の方法です。
結論:TOEICスコアと会話力は別々に鍛える必要がある
TOEICで高得点が取れても話せないのは、能力の問題ではありません。テスト向けの練習と、会話向けの練習を混同していることが原因です。
スコアを持ちながら、それと並行して「実際の会話で通じる英語」を毎日少しずつ練習する。シャドーイングで音に慣れ、独り言で口を動かす習慣をつける。これを続けた先に、「TOEIC800点かつ話せる」という状態があります。
コーチングでは、TOEICのスコアと実際の会話力のどこにズレがあるかを最初のセッションで整理し、そこから逆算してプランを組みます。スコアは取れているのに話せないというお悩みがあれば、一度話を聞かせてください。