子供の「嘘をつく能力」と認知的機能の関係についてのお話

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コラム
子供の認知機能について調べていたら「子供の嘘をつく行動って認知的機能と関連があるんじゃないの?」っておもしろい研究があったのでメモ

カナダのマギル大学とトロント大学の2008年の研究です。
この研究は3歳から8歳までの中所得者層の家庭の子供たち150人を対象にしたもので子供が大人との約束を破った時に『嘘をついてごまかすか』『嘘をついた場合はバレないように振るまえるか』という子供の行動が実行機能と関係しているかを調べたものです。
簡単にまとめると、
・2〜3歳頃から意図的な嘘をつけるようになる
・幼い子供には「本当のことを話すこと」を約束させると嘘をつく傾向が抑えられそう
・年齢が上がるにつれて、自分の嘘を隠すための説明が上手になった
・子供の実行機能と嘘をつく行動との間には有意な関係があった
研究者によると、
子供は幼稚園児の頃から嘘をつき始めますが、嘘をつく能力は成長するにつれ発達してきます。意図した騙しを成功させるためには、嘘をつく人は嘘をつくだけでなく、最初についた嘘とその後の嘘との間に一貫性を持たせることができなければなりません。自分の発言に矛盾があれば、自分の嘘を見破られてしまう可能性があるからです。
なるほどなって感じですよね。
研究によると、子供の嘘は3つのステップで発達するといわれています。
▼「第1の嘘」
2〜3歳くらいから始まります。
ルール違反の状況や注意されるのを避けたり、自分をより肯定的に見せようとする時に生まれるもので、約半数くらいの子供は大人に尋ねられれば正直に罪を告白する傾向があります。
▼「第2の嘘」
4歳くらいから始まります。
この頃になると大多数の子供は自分の罪を隠すために簡単な嘘をつくようになります。ただし、最初の嘘の発言の後に続く発言が矛盾する傾向があり、大人に簡単に見破られてしまう傾向にあります。
▼「第3の嘘」
7〜8歳くらいから始まります。
このレベルになると、子供は徐々に意味的な漏れを制御することができるようになります。子どもは意図的に嘘をつきますが、その後の発言が最初の嘘と矛盾しないようにすることで、嘘をついていない人の発言と区別がつきにくくなります。
このように子供の嘘が成長するのは脳の実行機能の成長と関係があるからなんだそうです。
上手に嘘をつくには実行機能の抑制的制御やワーキングメモリによって、嘘をつく時には隠したい罪の報告を抑えて現実とは異なる虚偽の情報を口にしたり、嘘に矛盾が生まれないように嘘の内容を記憶の中に維持しながら自分の思考や発言を抑制したりする必要があるからなんです。
確かにいつの間にか子供って真実をごまかすの上手になりますよね。これが脳の実行機能とも関係があるなんておもしろいな〜。
この研究では認知的な側面から子供の欺瞞能力を調べていましたが、もっといろいろな要因が欺瞞の発達に影響しているよね。とも言っているので今後の研究が楽しみであります。
ともあれ、子供が嘘をつけるようになってきたら「実行機能が成長してきたな〜」と捉えてあげるとよろしいのではないでしょうか。
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