―ギフテッドの「完璧主義」と「飽きっぽさ」の正体―
ギフテッドの子は、一般的に高い知的能力や才能を持っています。
そのため、大人はつい「これだけ頭がいいなら、勉強も学校生活もうまくいくはず」と思ってしまいます。
しかし実際には、そう単純ではありません。
飛び抜けた力があるのに、学習経験が積み上がらない子がいます。
少しやって分かると、もうやりたがらない。
簡単すぎる課題には退屈してしまう。
逆に、うまくいかない課題には最初から手を出したがらない。
この姿を見ると、保護者は不安になります。
「やればできるのに、なぜやらないのか」
「飽きっぽいだけなのか」
「努力する力が足りないのか」
でも、ギフテッドの子の中では、もっと複雑なことが起きています。
この本では、ギフテッドの困難として「完璧主義」と「飽きっぽさ」が挙げられています。
ギフテッドの子は、すぐに理解できることがあります。
同世代の子が何度も練習して身につけることを、一度見ただけで分かってしまうこともあります。
すると、くり返し学習の意味が分からなくなります。
「もう分かっているのに、なぜ何度もやるの?」
そう感じてしまうのです。
一方で、できないことに出会うと、強く避けようとすることがあります。
もともと高い能力がある子ほど、「できない自分」に慣れていません。
失敗することが怖い。
他人に批判されたくない。
バカにされたくない。
そのため、少し難しい課題に出会っただけで、最初から取り組むことを避けてしまうことがあります。
つまり、ギフテッドの子は「できるからやらない」と「できないからやらない」の両方に陥りやすいのです。
簡単なことは、すぐ分かるからやらない。
難しいことは、失敗が怖いからやらない。
その結果、努力を続ける経験、失敗から学ぶ経験、練習を重ねて上達する経験が積み上がりにくくなります。
これは、子どもの怠けではありません。
才能があるからこそ生まれる、独特のつまずきです。
私は、ギフテッドの子には「努力しなさい」と言う前に、「努力の意味が分かる課題」を用意することが必要だと考えています。
簡単すぎてもだめ。
難しすぎてもだめ。
少し背伸びすれば届く課題。
失敗しても安心してやり直せる環境。
くり返しの意味が本人に伝わる学び方。
それがあって初めて、ギフテッドの子は才能を経験として積み上げていけるのだと思います。