私の妹は、朝になると、別人のようになってしまっていました。
母親が「学校、どうする?」と声をかけた瞬間、机の上の教科書が床に落ち、ランドセルが壁にぶつかります。
父親は止めようとして言葉を失い、母親は「私の育て方が悪かったのだろうか」と涙をこらえます。
兄である私は、家の中で起きていることを誰にも言えず、家族だけで抱え込んでしまう苦しさがあります。
しかし、これは単なる反抗やわがままではありません。
ASD傾向のあるお子さんは、予定変更、音、光、人間関係、あいまいな指示などを強いストレスとして受け取ることがあります。
特に学校に行くかどうかのような大きな不安の前では、言葉で説明する前に心と身体が限界を迎えることがあります。
「暴れている」のではなく、「もう耐えられない」と全身で伝えている状態かもしれません。
大切なのは、まず親御さん自身を責めないことです。
対応の第一歩は説得ではなく、安全の確保です。
物を遠ざけ、声を低く短くし、「今は休みましょう」「水を飲みましょう」「別の部屋に行きましょう」と、少ない選択肢で伝えます。
落ち着いてから、何が苦しかったのかを少しずつ整理します。
登校を一気に目標にせず、朝起きる、服を着る、玄関まで行くなど、小さな段階に分けていくことが現実的です。
親子だけで抱え込まず、医療・心理・教育の支援を借りながら、その子に合った安心の形を探していくことが回復への道になります。
どうか希望を忘れないで。