北辰テストの偏差値について

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 埼玉県で高校受験をする場合、北辰テストという公開模試が非常に重要になります。
 この模試における偏差値によって、おおかたの私立入試の合否が決まるわけですが(詳細は別記事にて)、今回はその偏差値の仕組みや、うまく活用するための考え方についてお話します。


【偏差値とは?】
 まず、偏差値とはそもそも何なのか、という話です。
 正確な計算方法はなかなか難しいのでひとまず置いておくとして、偏差値は「平均点と比べてどれくらいの位置にいるか」ということを示したものであり、とりあえず「平均点を取ったら偏差値50」ということだけはおさえておきましょう
 各教科において、得点1点につき偏差値は0.5くらい変わりますが、これはテストによって異なります。

 具体例で説明すると、下のような結果になることもあります。
  4月・数学 平均点は48点で、60点の人の偏差値は61
  6月・数学 平均点は46点で、61点の人の偏差値は60
  7月・数学 平均点は47点で、58点の人の偏差値は63

 平均点は6月のほうが低いのに、点数は上がっても偏差値は下がっているということもありますし、6月とあまり平均点は変わらないのに、点数は下がっても偏差値は上がる、という現象は起こりえます。
 難しい問題が多く、高得点の人が少ないテストで高得点を取ると偏差値は高く出ますし、平均点が低いわりに60点前後の人が多く、高得点の人が多い場合、偏差値はなかなか高く出ません。
 要するに、全体の出来具合によって、1点で偏差値が0.3くらいしか変わらないゾーンもあれば、1点で偏差値が0.7変わるゾーンもあるということです。
 まぁ、このあたりはあまり難しく考える必要はありません。とりあえず各教科単位では1問で偏差値が2~3くらい、5教科全体では10点で偏差値が1変わるというざっくりとしたイメージでいればいいと思います。


【私立高校のための北辰偏差値】
 別記事にて、私立高校の受験では、自分の偏差値のうち、よかった2回分の平均が使われることが多いと書きました。多くの学校は7月から12月までの5回分が使われますが、時期は関係ありません。

 高校側が設定した個別相談会で自分の成績を見せて、基準を満たせばほぼ合格することができるようになるわけですが、早い者勝ちではありません。
 ただ、人気のある学校で希望者がたくさん出た場合、時期が後ろになると基準となる偏差値が上がる可能性もあります。
 なので、個別相談のスケジュールや、北辰テストが返ってくる時期(試験は日曜日で、次の次の木曜日前後に返ってきます。つまり、返ってくるまで10日前後かかります)を把握して、いつでも動けるように準備をしておくとよいでしょう。


 また、時期に関しては次のような考え方もあります。
・7月と9月で結果が出せた場合
→自分の行きたかった高校の基準を早々に満たすことができた場合、次    の方向性は以下のように分岐します。

 A.公立に向けた勉強を始める
 B.私立の受験校のレベルを上げる
 C.受験予定校はそのままで、コースを上げたり特待生を狙ったりする

→早めに結果が出せれば、気持ち的にかなり余裕が生まれますので、これが一番目指す形になります。
 そして、後ろに行けば行くほど、受験生全体のレベルも上がっていきますので、偏差値60前後を目指す人は、そのあたりの成績の人が増えることになるので、狙った偏差値が取りにくくなります。
 また、7月までは部活動や修学旅行との兼ね合いで受験できない人もいますので、序盤は高い偏差値が狙いやすくなります。逆に、11月や12月になると、基準をクリアした人の中には北辰テストを受けないという人も出てきますので、上位の人が抜ける分、偏差値70前後を狙う人にとっては偏差値が取りやすくなることもあります。
 ただ、10月まででなかなかうまくいかず、後半の2回で勝負をかけることになると、どうしたってプレッシャーがかかって精神面での負担が大きくなるので、やはり早めに目指す高校に基準を満たすようにしたほうがいいでしょう。

・7月と9月で結果が出せなかった場合
→残り3回となった状況で、まだ1度も目指す高校の基準を満たせていない場合は、がんばって目標をクリアすることを考えつつ、次のようなことを考えてみるといいでしょう。

 A.今の偏差値で基準を満たせる学校を探す
→7月と9月の偏差値の平均が61の人が、A高校の特進コースを目指しているとします。

 a.A高校 標準コース:偏差値61  特進コース:偏差値64  選抜コース:偏差値67
 b.B高校 進学コース:偏差値55  特選コース:偏差値60

 このままでは、A高校を受験すれば標準コースでは合格できるでしょうし、本番の結果次第では上のコースにスライドすることもあります。なので、A高校を目指すのは何の問題もありません。
 ですが、A高校の標準コースとB高校の特選コースを比較した場合、大学受験を考えるとB高校の特選コースのほうが期待できる可能性は高いのです。
要するに、「その学校の一番下のコース」か「その学校の一番上のコース」かは重要なポイントになるのです。
 もちろん高校によって違いますし、高校に入ってからの各自のがんばりで変わってくるので一概には言えませんが、個人的には「高校側の力の入れ具合」が違ってくると思うので、入学前の偏差値は低くても、卒業時の偏差値は高くなることを期待してB高校の受験を視野に入れてもいいのではないかと思うのです。

 B.公立の志望校を変える必要はないが、私立高校のどこがおさえられたかによって、シミュレーションはしておくべき
→北辰テストは公立の入試に似てるようでそこまで似ていません。範囲も違いますし、北辰テストの成績で公立高校の合否を占うのは少々難しいです。
 もちろん、各時期における総志望者の中での順位が出ますので、「今のところどの位置にいるか」はわかりますが、これがそのまま本番の入試に直結するとは思えません。
 なので、北辰テストでなかなかうまくいかないからと言って、公立高校の志望校を考え直す必要はないと思っています。
 ですが、「この私立が合格できそうなら公立はこのままにしよう」「この私立がダメそうなら公立も下げよう」という仮定の話は考えておくべきです。
 公立の受験校を決めるのは私立高校の結果が出てからになりますので、2学期の間はあくまでも第一志望の公立高校はそのまま目指していいと思います。


【目指す偏差値をクリアするために】
 9月や10月になると、「次の北辰テストで偏差値●●取ったら□□高校の△△コースの基準が満たせる」といった会話が多くなります。
 受験生はその偏差値を目指して勉強をするわけですが、ただ単に偏差値●●を目指すとしても、具体的にどうすればいいのかを考えている人はあまり多くありません。
 私立高校に見せるのは3教科あるいは5教科の偏差値になりますが、ここではひとまず5教科の偏差値で考えます。
5教科の場合は、得点約10点分で偏差値1くらいに相当しますので、目標の偏差値まであと1足りないのであれば、トータルで10点増やすことが目標になります。そうなると、各教科で1問ずつ正解数が増えればそれで十分クリアできます
 こう考えると、目標の偏差値まで5足りない場合、点数にすれば50点となり、なかなか難しいように見えます。ですが、1教科につき10点で、問題数であれば2問から3問ですから、そう考えるとそこまでハードルは高くないと思うのです。
 さらに細かく目標を決めるために、前回の自分の成績を見て、どこができそうだったかを確認するようにしましょう。そうすることで、あと何点分取れそうだったかがわかり、どれくらいの偏差値が目指せるのかが見えてきます。
 そして、その点数を取るための勉強をし、テスト中もその点数を取るならどの問題を捨ててもいいか(テストの受け方についてはまた別の記事を参照ください)を考えながら試験を受けるようにすれば、ただ無計画に挑むよりはいい結果が望めると思います。


 以上が北辰テストの偏差値に関する話でした。ここでの意見は個人的な見解が多分に含まれていますし、出てきた数字についてはあくまでも例であり単純計算をしたものなので、毎回変動するものですから、参考程度にとらえていただければと思います。

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