北辰テストの数学について

記事
コラム
 埼玉県で高校受験をする人にとっては極めて重要な北辰テストについて、個人的な見解をまとめておきます。
 多くの私立高校では7月(第3回)の成績から反映されますが、一部の学校では4月(第1回)や6月(第2回)の結果も活用するところもあります。

 ここでは数学に絞って詳しい話をしていくことにします。昨年は新型コロナウィルスの影響で試験範囲に変更がありましたが、2021年は2019年以前のものに戻るという話なので、回によっては過去問の内容が少し異なる可能性があります。とりあえず今回は、2019年以前の内容、つまり2021年に実施される中3の模試の分析になります。
(なお、北辰テストの重要性については、別記事「北辰テストについて」という記事をご覧ください。)


【2019年6月の出題内容と難易度】
●出題内容と配点
 ★は記述問題で、部分点の可能性があります。 △は捨ててもいい問題の候補です。

第1問(独立小問集合)
(1)文字式の加減(4点) A
(2)正負の数の計算(4点) A
(3)文字式の乗除(4点) B
(4)式の値(4点) A
(5)因数分解(4点) A
(6)連立方程式の計算(4点) A
(7)比例と反比例(4点) A
(8)おうぎ形の面積(4点) B
(9)資料の整理(4点) B
(10)角度を求める(4点) A
(11)①規則性(4点) A
   ②整数問題(5点) C ★△

第2問(独立小問集合)
(1)乗法公式の利用(4点) B
(2)作図(5点) B ★ 
(3)空間図形(4点) D △
(4)確率・場合の数(4点) A
(5)1次方程式の文章題
   ①式を立てる(3点) B
   ②解を求める(3点) B

第3問(図形)
(1)合同の証明(7点) B ★
(2)面積を求める(5点) C △

第4問(関数)
(1)直線の式(5点) A
(2)座標を求める(5点) C
(3)座標を求める(6点) D ★△


●難易度と傾向について
 北辰テストは入試と違って全範囲からの出題ではなく、少しずつ範囲が広がっていく形になります。第2回は6月中旬にあるので、試験範囲は中3で最初に学習する「展開・因数分解」までになります。
 それゆえ、というわけではないと思いますが、北辰テストは易しい問題と難しい問題の差がハッキリとしています。したがって、北辰テストで好成績を残すためには、できるべき問題と捨てていい問題の見極めが非常に重要になり、できるところでミスをしないようにするのが何よりも大事です。

 回によって、年によって、内容や難易度に違いはありますが、捨ててもいい問題はだいたい固定されているように思います。
 より具体的に言うと、捨てていい問題の筆頭は最後の問題です。第4問は関数か図形のどちらかになりますが、どちらにせよ最後の問題の難易度は極めて高く、正答率が1%に満たない場合もあります。
 それに、勘とか見た目の目分量で答えを決めてもだいだい当たらないですし、試験後に復習をしてできるようにするべきかというと、必ずしもそうではないことが多いです(私が塾にいたころも、最後の問題はあまり解説する気になりませんし、できなくてもいいと断定することが多いです。もっと言えば、大人でも初見ではなかなか解けないことも多いくらいの難しさです)。

 他には第3問の最後の問題、第1問の最後の説明問題(ここはとにかく「めんどくさい」問題が多いです。ただ、ときどきすごく簡単なときもあるので、完全に捨てるわけにもいきません)もなかなか点数が取りづらいですし、第2問でもだいたい1問は難しい問題が含まれます(ここに関しては毎回場所が変わるイメージです。作図が難しいこともあれば、図形問題が難しいときもありますし、資料の整理でも解きにくい問題が出ることもありますし、難しいのが2問以上含まれることもあります)。

 ここで挙げた4問をすべて捨てたとしても、80点分くらいはありますし、80点取れれば偏差値70前後になりますので、数学が得意な人でもこれを目標にすればいいと思います。
 どんなに難しくても配点はせいぜい5~7点ですし、易しい問題でも3点~5点はもらえるので、難しい問題にこだわる必要はありません。
 逆に、難しい問題(あるいは変な問題)に余計な時間を取られて、本来できたはずの問題でミスをしているようではいけません。子どもたちはこういうのを指して「ケアレスミス」と言いますが、これはれっきとした「判断ミス」だと思いますので、意識して注意するようにしなければなりません。
難しい問題を捨てて、80点分を取りに行くことを考えれば、50分の試験時間にも余裕が生まれます。このあたりの線引きが重要になるのが北辰テストの一番の特徴と言えるかもしれません。


●平均点と偏差値について
 これも回によって異なるとは思いますが、数学の平均点はだいたい40~50点になるかと思われます。
 偏差値の目安としては、40~50点で偏差値50、55~65点で偏差値60、75~85点で偏差値70くらいです。1問の配点は多くが4点で、記述問題は5~7点で部分点が発生しますので、1問で偏差値が2前後変わってくると思ってください。
 易しい問題でミスをしなければ60点くらい(内訳は第1問で40点、第2問で10点、第3問で5点、第4問で5点くらいのイメージです)を取るのはそんなに難しくないはずですし、60点分を確実に取りに行くことを考えれば確実に50分も必要ないと思いますので、数学が得意でない人はとにかくできそうな問題に集中し、空欄が複数あってもよくて、答えを書いたところでは全問正解を目指すような戦略がいいと思います。


●さいごに
 毎度のことですが、ここでの内容はすべて個人的な所感になりますので、あくまでも一つの参考程度に留めてもらえればと思います。
 ここ最近は毎回似たような「北辰っぽい」問題が続いていて、今後もこの傾向は変わらないと思いますので、とにかく問題の取捨選択をしっかりして、時間いっぱいを使って80点を狙い、うまくいけば85点、ちょっとミスをしても65点くらいがコンスタントに取れるようになれば、残りの4教科次第でトータルの偏差値にも期待できるようになると思いますので、このあたりを意識してもらえればと思います。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す