ベトナム語と関わりはじめて・・・

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ベトナム、そしてベトナム語と関わるようになって、いつの間にか年が経っていた。10年前の夏の終わり、初めてハノイに降り立ち、ベトナム語の勉強を始めた日が懐かしい。当時知っていた言葉は「Xin cảm ơn」「Xin chào」「Bao nhiêu tiền」。「ありがとう、こんにちは、いくらですか」、だ。英語ができない母がオーストラリアへ旅行に行き、帰ってきたときの言葉を今でもよく思い出す。
『何言うてはるか全然わからへんかったけど、「Hello」と「Thank you」だけあったら何とかなるもんやな』
旅行で行っただけで、当時オーストラリア在住だった叔父の全面的なバックアップもあり、難しいことは何もしていないと思われるが、初めて海外を訪れた母が発した言葉は、人と人との繋がりの本質を表しているのかもしれないと思う。
さて、ベトナムの話に戻ろう。ベトナム語はアルファベットが読めれば何となく読める言語だ。なんとなく読めるだけで、なんとなく読んだだけでは通用しない。アルファベットに毛が生えたような文字「Â、Ă、Ơ、Ư、Đ...」もあるが、全く知らない文字を一から勉強するのに比べれば、文字を覚えるのはそんなに難しくない。
最初にぶち当たる壁、そして壁を登りきれず、勉強そのものを諦めてしまうポイントの一つが「発音」だろう。Aは3つ「A、Ă、Â」ある。Oも3つ「O、Ơ、Ô」ある。Eは2つ「E、Ê」ある。当然、それぞれ音が違い、他の子音と合わさり単語を作れば意味も違ってくる。日本語に比べて何だか母音の数が多い。それに加えて声調と呼ばれるものがある。音が上がったり下がったり、止まったと思ったら上がったり、ドスが効いていたり。ベトナム語には全部で6つの声調がある。ベトナム語学習の本では、ベトナム北部の成長は6つ、南部は5つと紹介されている。
まー、まー、まー、まー、まー、まー
日本語の文字では声調を表すことができない。
Ma、Mà、Mả、Mã、Má、Mạ
どんな音なのかはその辺に売っているベトナム語学習本でも読んでみるといい。CDがついているのもあるだろう。なお、この6つのMaだが、音も違えば意味も違う。この6つの声調が、Maだけにつくならまだしも、全ての音の塊につくのだから、勉強を始めて、ここでつまずく人の気持ちもわからなくはない。声調を一つ間違えれば、意味も違ってくる。
留学中、最初にホームステイをしていた家の近所に、外見からして、衛生的に必ずしも良くはないフォー屋さんがあった。

家に一番近いと言う理由で、その店に入ってフォーを注文した。席に座って待っていると、テーブルにコカコーラの瓶と氷がいっぱい入ったコップが出てきた。頼んだ覚えはないが、頼んでないと言えなかったので、飲みながらフォーを待っていた。待てども待てどもフォーは出てこない。結局、フォーは出てこなかった。おそらく店主は、「Cho tôi phở(フォーをください)」と言ったはずの私の言葉を「コーラをください」と聞き間違えたのか、単純に私の発音が悪すぎて、聞き取ることができず、とりあえずコーラを出してみたのか、理由は定かではない。結局その日はコーラの勘定だけして帰宅した。私はこうした状況で、改めてフォーが注文できるような強い人間ではない。こうして、ベトナム語の発音の大切さが身にしみてわかったのだった。

ちなみに、このお店はすでになく、ここには大きな道路ができている。
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