ツイノベ 031-035

記事
小説
留守番電話に録音されていた彼の声を聞く。か細くて、少し震えているあなたの声。もう携帯でしか聞けなかった。繰り返し、繰り返し聞いて。あなたの声、忘れてしまった。『「もしもし。今日は君に大切な話があるんだ。僕さ、本当は君のこと」一件の、メッセージを、終了、します』№031 タイムレコード
飼い猫である姫百合が、水槽の中の金魚を捕食していた。それがとても美味しそうに思えて、私も姫百合を倣うように残りの金魚を口に含む。少し喉に引っかかる。それからだ。私の体が透明になり、さながら水槽のようになったのは。体の中では亀やネオンテトラが窮屈そうに泳いでいた/№032 少女水槽
今日は燃やせないゴミの日なので、今も大好きな人への恋心を袋に入れて捨てた。これで忘れることができるだろう。だけど袋はそのままだった。次の日、粗大ゴミとして恋心を捨てた。だけど袋はまた置いてあった。あぁ。私の恋心って、簡単に燃やせるし、そんなに大きくもなかったんだ/№033 可燃ゴミ
染井吉野がライトに照らされて、光を纏っていた。根元の砂を掘り、彼から貰った結婚指輪を埋める。「狂ったように咲いてるけど いずれは散りゆく運命です」と、誰かの曲にあった気がする。桜の花びらが地面を彩って、さざ波のように揺らいだ。さよなら、私の、大切になれなかった人/№034 春咲センチメンタル
今日で彼氏とお別れになる。遠い場所へいこうと決意した彼氏を見送りに、駅のホームまで付き添う。 警報が鳴る。遮断機が沈む。赤色灯が夜を淡く浮かび上がらせた。電車と共にお別れが近付く。「じゃあね」「うん」「さよなら」。不安そうな彼氏の背中を、私の左手でそっと押した/№035 れきしてき愛



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