狂犬病ワクチン接種の必要性について

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コラム

はじめに

初めまして、獣医師のtk moriと申します。
coconalaではペットを飼われているみなさんに、主に獣医療に関する知識をお伝えし、ペットとの暮らしを今よりももっと豊かにすることを目的にサービスを提供しています。

臨床獣医師として動物病院で診療をしていた時だけではなく、coconalaにおいて飼い主さまとコミュニケーションを送っていく中で、
改めて飼い主のみなさんを含めてペットに関わる全ての人へ向けて、ペットを飼う上で必要な知識知っておかなければならない情報をもっと伝えていきたいと思うようになりました。

そこで今回は、わんちゃんを飼われている方ならご存知かもしれませんが、
狂犬病ワクチンの接種の必要性について
お伝えしたいと思います。

狂犬病の予防接種って義務なの?

多くの飼い主さんが狂犬病ワクチンの接種はうちの子に必要なものなのか?
と疑問に思いながら接種しているそうです。

実はこれは法律によって定められているものなのです。
犬の所有者は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせなければならない。
                   (狂犬病予防法第5条の1より、引用・一部改変)
ご存知でしたか?
原則的にはこれに基づいて、動物病院でも獣医師はわんちゃんの飼い主さんに狂犬病ワクチンの接種を促しているのです。

さらに、
第5条の規定に違反して犬に予防注射を受けさせず、又は注射済票を着けなかった者は、
二十万円以下の罰金に処する
                        (同法第27条の2より、引用・一部改変)
とあるように、予防接種をしていないと法律違反として罰金が設定されています。
そのため、狂犬病ワクチンの接種は犬の飼い主の義務であり、
よっぽどのことがないと注射を毎年打たなければならないということです。

狂犬病とは?

そもそも、狂犬病とはウイルス感染症です。
ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)リッサウイルス(Lyssavirus)という名前のウイルスが原因です。
このウイルスを持った犬や猫、コウモリなどの野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりすることで傷口から人の体内に侵入します。
実は犬や人だけでなく、全ての哺乳類に感染することができ、
感染して発症すると2020年現在においても治療法がなくほぼ100%死亡してしまうとても恐ろしい感染症です。

日本では1957年以降発生していないため、珍しい感染症かと思われがちですが、
今でも世界では毎年数万人の方がこの感染症によって亡くなっています。

日本国内での狂犬病

1920年頃は、国内でも年間3,000件を超える発生がありましたが、1922年に家畜伝染病予防法が制定されます。
制定後、10年ほどをかけて狂犬病の発生は0に近いほど激減します。

しかし、太平洋戦争が始まります。
戦争の影響で予防接種が国内でできなかったため、年間1,000件ほどの発生してしまいます。
このまま大流行してしまうと全国民の命の危険があるため、狂犬病予防法が1950年に施行され、改めて予防注射の義務付けがなされました。
その後は日本国内では人・犬ともに狂犬病の発生はありません。

だからといって狂犬病予防法で定められているように、現代においても狂犬病ワクチンの接種は飼い主の義務とされています。
それは、今後何かの間違いで狂犬病ウイルスを持った動物が日本国内に入ってきた時に、戦時のように再流行してしまわないように、常に飼い犬には接種しておきましょうということです。
そのため、飼い主のみなさんには飼い犬への予防注射をお願いしています。

一方で、狂犬病ワクチンにアレルギーがあって致死的な状態に陥ってしまったわんちゃんや重篤な持病を持っているわんちゃんは、その年のワクチン接種を見送ることが獣医師の判断でできる場合があります
いわゆる狂犬病予防注射の猶予証明です。

これらのことを飼い主のみなさんに知ってもらい、ちゃんと理解してもらうことも獣医師の役目だと思っています。

これからもこのような情報を発信していきながら、動物好きのみなさんに正しい知識を身につけてもらうことを目的として当blogを更新していきますので、よろしくお願いします。

また、一緒に暮らしている犬猫のことでなにか分からないことがありましたら個人的にご相談ください。

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