薬膳から見るアヒージョの具材選び

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コラム
アヒージョは食事にもおつまみにもいい料理です。オリーブオイルでにんにくを煮て香りを出し、鷹の爪と塩、お好みの具材を入れて火を通せば出来上がりの料理ですが、アヒージョに合う具材はたくさんあります。

ここでは、アヒージョに使う具材選びの一助として、アヒージョに合う食材を薬膳の視点から紹介します。栄養学的な補足、ハーブとして見たときの補足も適宜つけています。

☆基本の具材

オリーブオイル:肺や喉を潤し喉の痛みや咳、乾燥肌に
肺を清め体を潤し、空咳に良い食材です。皮膚や腸も潤すので、乾燥肌や便秘にもよいです。栄養学的には、高コレステロールや動脈硬化によいオレイン酸が豊富で、抗酸化によいビタミンであるビタミンEも含んでいます。

にんにく:お腹を温め体力をつけたい時に
お腹を温め、胃を健康にします。体力の低下や食欲不振、下痢にもよいとされます。生だと刺激が強すぎるので、熱を通したものを適量とるのがおすすめです。栄養学的には、疲労回復や血栓予防に良いアリシンを多く含んでいます。

鷹の爪(とうがらし):お腹を温め食欲増進したい時に
体を温める作用が非常に強く、胃が冷えて食欲がない・冷えてお腹が痛い場合によいです。辛さが食欲を増進します。栄養学的には、脂肪代謝や血行をよくするカプサイシンと、抗酸化作用がありエイジングケアによいカプサンチンを含みます。量を食べるものではないので供給源として使うのはおすすめしませんが、βカロテンが豊富です。

バゲット(小麦):心を落ち着かせてよく眠りたい時に
バゲットは強力粉で作った硬いパンですが、小麦は不眠・動悸・ダラダラ出る汗や情緒不安定によい食材として漢方薬にも使われます。漢方薬には精製していない小麦を使うので、全粒粉を使ったパンのほうがより効能が期待できます。栄養的にも、全粒粉を使っている方がビタミンB1・ビタミンB2・食物繊維などが豊富です。

☆魚介類・肉

エビ:体を温めエイジングケアしたい時に
エビは薬膳においてエイジングケアによく使われる食材で、体を温め足腰の冷えや痛みによく、食欲不振も改善するとされます。栄養を見ても良質なタンパク質が豊富で、殻に多く含まれるキチン質はコレステロールを下げ、色素のアスタキサンチンは活性酸素による悪影響を減らします。

牡蠣:体を潤し滋養を付け心を落ち着けたい時に
体を潤すので、ほてりやのぼせがある時によいです。空咳や乾燥肌にもよく、情緒不安定の時にもおすすめの食材です。血を補って栄養をつける食材ともされています。実際に栄養豊富な貝で、カルシウムや亜鉛などのミネラルが多く、スタミナを補給するアミノ酸やグリコーゲン、動脈硬化によく肝臓の解毒作用を強くするタウリンも含んでいます。

あさり:体の熱とむくみを取り心を落ち着かせたい時に
体の熱を取り、余分な水分を出し、情緒不安定によい食材とされます。血を補う食材でもありますが、冷えがひどい人は多食を控えたほうがよいです。栄養的には、亜鉛やマグネシウムなどのミネラルが豊富で、肝臓に良いタウリンも多く含みます。

アンチョビ(カタクチイワシ):体力を補いエイジングケアや眼精疲労に
消化器官を整え、脳によく、体力を補って血行をよくする魚です。眼精疲労・体全体の疲労も癒やします。筋骨を強くするので、関節や筋肉が年で衰えていたり痛みを感じたりする人にもおすすめです。カルシウムが豊富で、アミノ酸スコア100と良質なタンパク源でもあります。 

タコ:体力をつけて肌荒れを治したい時に
体力をつけて血を補い、顔色を良くしてきれいな肌を作る食材とされています。筋骨を強くするので、関節や筋肉が衰えている人にもよいです。産後の貧血や母乳を出すのにもよいとされていますが、体を冷やす食材なので、冷えが気になる人は多食を控え、にんにくや生姜など、体を温める薬味と一緒に食べたほうがいいでしょう。脂質が少なく、タウリンが豊富で、コラーゲンも多く含んでいます。

イカ:体を潤し血を補い精神を整えたい時に
イカは血を補い、生理不順に良い食材とされているので、特に女性におすすめです。薬膳では血が不足すると精神にも影響するとされますが、精神不安にもよい食材として知られています。亜鉛や銅などのミネラルを含み、タンパク質が豊富で、免疫機能を強くするムチンや肝臓の解毒作用を強くするタウリンも含みます。

しらす(マイワシなどの稚魚):体力と血を補いエイジングケアや精神不安に
カタクチイワシとは少し異なり、消化器官を健やかにして体力を付け、血を補って血行をよくし、心を落ち着かせる食材です。眼精疲労や筋骨を強くするのにもよいとされます。カルシウムや鉄分が豊富で、葉酸も含んでいます。

ホタテ:胃を整え体を潤しエイジングケアと精神不安に
体を潤すので口の乾きなどに良く、胃を整えるので消化不良や食欲減退にもよいとされます。エイジングケアにも使われ、倦怠感を和らげるとされます。心を落ち着かせる効能もあるとされています。貝の中ではタンパク質が豊富で、タウリンやグリコーゲン、肝機能を強化するベタインなども含みます。

さば:体力と血を補い疲労回復やエイジングケアに
アヒージョに缶詰のサバの水煮や味噌煮をまるごと入れてもおいしいです。サバは体力を付け、血を補うので疲れている時によく、老化にも良い食材とされています。実際にDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸を多く含み、脳神経細胞の機能の維持によいです。タウリンや鉄分も含んでいます。

ベーコン・ソーセージ(豚肉):体を潤し体力をつけたい時に
豚肉や豚の脂は、体が含む潤いが足りない場合や乾燥肌、空咳、便秘によいとされます。母乳をたくさん出したいときにも使われます。虚弱体質にもおすすめの食材です。実際に疲労回復によいビタミンB1が多く、アミノ酸スコア100と良質のタンパク質を含んでいます。

鶏肉:体力をつけてお腹を温めたい時に
消化器官に力をつけて体力を補う食材とされます。実際に肉類としては消化吸収がよく、アミノ酸スコアも100と良質のタンパク質を含んでいます。食欲不振や体力低下、母乳が出にくいときや産後の消耗などにもいい食材です。

砂肝:胃もたれや食欲不振、消化不良がある時に
砂肝の内側の膜は鶏内金(けいないきん)と呼ばれ、消化を促進する食材とされています。尿もれにも使われます。高タンパクで低脂肪であり、鉄分も多く含んでいます。調理しにくいと思われがちですが、2つつながった部分を切り落として十字に切り込みを入れると、火が通ってもやわらかく食べられます。

チーズ:体力低下や乾燥肌に
カマンベールチーズを輪切りにしてアヒージョに入れると豪華になります。チーズは体力を付け、体を潤すので乾燥肌や口の乾き、空咳、便秘にいい食材です。ただ、むくんでいるなどで体の水分が多い人はあまりたくさん食べるべきではありません。

☆野菜

ブロッコリー:エイジングケアに
ブロッコリーとカリフラワーは薬膳において、老化や疲労によく、内臓全般の力を補う食材として知られています。特に胃を中心とした消化器官を整えます。カリフラワーはビタミンC、B1、B2、食物繊維が豊富で、ブロッコリーはそれに加えてβカロテンが豊富です。水溶性のビタミンが多いので、アヒージョにするときは生のままオイルに入れて火を通すといいでしょう。

きのこ(しめじ・エリンギ・マッシュルームなど):消化器官を健康にし体力をつけたい時に
きのこ全般は体力をつけるのによい食材とされています。しめじは疲労や便秘によく、エリンギは体を潤すので空咳や声がれによく、マッシュルームは消化不良や精神不安、便秘によいとされます。生しいたけも体力を補い、まいたけは内臓全般の力を補ってエイジングケアによいです。

トマト:体の熱を取り暑気あたりや食欲不振、高血圧に
体の水分を補いつつ熱を取るので、暑さで参っていて食欲がなかったり、眠りにくかったりする時によいです。高血圧にもよいとされていて、実際に、余分なナトリウムを体から出す働きがあるカリウムが豊富です。抗酸化作用があるβカロテンとリコピンも多く含まれます。アヒージョに入れるときはプチトマトを使うと切る必要がなく、楽です。ドライトマトも味が濃く、アヒージョに使うと食感が楽しいです。

アスパラガス:体の水分代謝をよくしつつ体力を補いたい時に
体を潤す力とむくみを取る力を同時に持ち、スタミナをつけるのにいい野菜です。体を潤すので、口の乾きや喉の痛み、空咳、便秘によく、それでいて尿の出をよくしむくみを取ります。栄養から見ると、カリウムとβカロテンが豊富で、疲労によいアスパラギン酸、抗アレルギー作用と抗動脈硬化作用があるルチンを含みます。

じゃがいも:消化器官を整え体力を補いたい時に
消化器官に優しく、便秘にもよいです。なんだか力が出ない時に食べるといい食材とされています。でんぷん、ビタミンC、B1、カリウム、食物繊維が豊富で、じゃがいものビタミンCはでんぷんに守られているので、熱を加えても壊れにくいです。

かぼちゃ:お腹を温めて消化器官を整えたい時、疲れている時に
夏野菜には体を冷やすものが多いのですが、かぼちゃは例外で体を温めます。消化器官、特に胃を整え、体力を補うので、下痢や疲労、力が出ない時によいです。抗酸化物質であり、体調を整えるビタミンであるビタミンA、C、Eを多く含みます。

長ネギ:体が冷えている時に
寒さによる冷えを散らし、体の循環をよくします。鼻詰まりにもいいです。疲労を取る作用があるアリシンを含みます。青い部分にはβカロテンも豊富です。

芽キャベツ:胃を整えエイジングケアに
胃の調子をよくし、老化にも良いとされています。筋骨を強くする食材ともされています。実際、胃壁を保護するキャベジンが豊富で、ビタミンCも多く含む野菜です。キャベツよりもβカロテン、ビタミンC、カリウムが多い野菜です。そのままだと少し火が通りにくいですが、お尻の芯に十字に切れ込みを入れると火が通りやすくなります。

パプリカ(ピーマン):緊張やイライラ、食欲不振に
体の巡りをよくして緊張やイライラを和らげ、胃を整えて食欲を増進させる食材とされています。βカロテン、ビタミンC、ビタミンB1、カリウムが豊富で、特に赤や黄色のパプリカはリコピンと同等の抗酸化作用があるカプサンチンを多く含みます。

ズッキーニ:体の熱を取り余分な水分を出したい時に
強力に体を冷やすので、夏によい野菜です。余分な水分を出してむくみを取るのにもよく、実際に豊富なカリウムや利尿作用がある成分キャバを含みます。それでいて体の水分を補う性質もあるので、空咳や口の乾きなどにもよいです。

アボカド:疲労や便秘に
油分が豊富なので腸を潤し便秘によいとされます。消化器官を整えるので食欲不振や疲れにも使われます。カリウム、ビタミンE、不飽和脂肪酸が豊富で、リノール酸やオレイン酸が高コレステロールによいです。

☆ハーブ・スパイス

オレガノ:体の熱を取り消化器官を整えたいときに
トマトと共に入れると合います。体を穏やかに冷やし、消化器官の動きを整えるので、暑い時にいいです。ハーブとしては、消化を促進し、健胃作用や整腸作用、強壮作用があることが知られています。

バジル:消化を促しよく眠りたい時に
これもトマトと相性が良いです。消化を促進し、特に胃の調子を整えるとされています。眠る助けにも使われます。ハーブとしては胃けいれんを抑えたり神経系に働いてイライラや不眠、不安を改善したりするものとして知られています。

ローズマリー:心を落ち着かせ頭痛や消化不良に
豚肉やじゃがいもと相性がいいです。血の巡りをよくし、頭痛を和らげたり消化器官を整えたりするとされています。ハーブとしては、心身をリフレッシュさせたり脳の働きを活性化させたりで知られています。

しょうが:寒さをちらし胃を整える
タコやイカ、鶏肉と相性がいいです。和風の味付けにしたアヒージョにも合います。体の冷えを追い出し、胃の調子をよくします。

こしょう:お腹を温め食欲を増したい時に
肉類全般に合います。消化器官を温めて食欲を増進させます。お腹の冷えによる痛みや消化不良にもよいです。

アヒージョの具材を薬膳的観点から紹介しました。アヒージョにつかえる食材は幅広く、あれもこれも入れたくなってしまいます。味だけで決めきれないときは、食材の効能で選んでみるのはいかがでしょうか。

※ここで紹介したものはあくまで食材です。医薬品ではありません。適切な時に適切な医療にかかりましょう。

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