あの時の会話の続き 「あのとき、なんて言おうとしてたの?」

あの時の会話の続き 「あのとき、なんて言おうとしてたの?」

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あの時の会話の続き
「あのとき、なんて言おうとしてたの?」

ふいに、そんな質問を受けた。

もう何年も前のこと。あの店の窓際の席、夜の喧騒を背にして、テーブルの上には飲みかけのコーヒーと、言いかけたままの言葉が置き去りにされていた。

僕たちはよくしゃべった。将来のこと、過去のこと、今日のニュース、好きな映画、そしてなぜか途中でやめてしまったあの話。

「続きはまた今度話そう」
そう言ったのは、たぶん僕のほうだった。

けれど、「今度」はいつだって忙しさや都合の中に紛れて、なかったことにされていく。言葉というのは、吐き出すタイミングを逃すと、どんどん重くなる。やがて、その重さごと心の奥へ沈んでいく。

でも、この春、思いがけず彼女からメッセージが届いた。
「今なら、あのときの会話の続きを聞いてもいい?」

スマホの画面越しに問いかけられたその一言で、止まっていた時間のコマがカチリと音を立てて動き出したような気がした。

あのとき僕が言いたかったのは、
「ありがとう」でも「ごめんね」でもなくて、
ただ「これからも一緒に笑っていたい」という、
そんな単純なことだった。

でも、それを口にするには、あのときの僕は少しばかり臆病だったし、少しばかり賢しすぎた。

だからこそ今、言葉にしておこうと思う。
あのときの会話の続きを、ようやくちゃんと話せるようになったから。

言葉にしないとわからないこともありますよ。

行政書士 西本
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