民法の考え方シリーズ(譲渡担保権)

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法律・税務・士業全般
考え方を知っておくと、お持ちのテキストであったり、問題集を解く際、知らない問題に当たった時、考えるヒントになります。
そこで、今回は苦手な方が多い、「譲渡担保権」です。
通常民法の問題を考える際には、過去問で解いたことがあり、その問題の結論を左右するポイントを知っていることと、条文を知っていること、この2点で考えます。
これは行政書士試験でもそうですし、法律系の国家試験でもそうです。
そんな中譲渡担保権は条文がないんですね。ないのに使うんです。非典型担保といいますが、これが譲渡担保と所有権留保の2つになります。
よって、譲渡担保権の場合には過去問である程度の問われる問題の内容を理解しておくことが必要になります。
譲渡担保権というのは、要は生け簀の牡蠣です。
正確にはこれは集合物譲渡担保と言いますが、わかりにくいので、譲渡担保=生け簀の牡蠣と覚えてください。
どういうことかと言いますと、生け簀の牡蠣を持っているおじさんがいて、この人が銀行からお金を借ります。その際に、担保をつけてくださいと言われたので、自分の持っている生け簀の牡蠣はどうでしょうか?といったわけです。
生け簀の牡蠣には財産的な価値があります。そこで銀行はこの生け簀と中の牡蠣ごと担保にして1000万円をおじさんに貸した。
そういうわけです。こういう風に設定する担保を譲渡担保と言う訳です。
ここまで聞けば、まあわかると思うんですけど、抵当権と何が違うのかと言いますと、抵当権は不動産にしか付けられないんですよ。
家か土地です。
生け簀は不動かもしれないですけど、家でも土地でもありません。ましてや中の牡蠣は完全に動産です。こういうものも財産的な価値があるから、これに担保設定してお金借りられるようにしたよ、というのが譲渡担保ということです。
もっというと車とかにも設定できます。そしてその車を銀行の行員が乗って帰ったりも出来ます。
このように不動産以外の財産的価値のあるものに担保権を設定する場合、譲渡担保という方法があるよということです。
では特有の問題はなにか?
さっきの生け簀の牡蠣でいいますと、おじさんの手元に生け簀があるのでおじさんは牡蠣を養殖しては売るんですね。減りますね。牡蠣が。これは銀行からすると嫌なんじゃないの?だって最初に設定した時の牡蠣の数より減るんですから。
これは取引の常識の範囲内なら認められるんですね。例えば、牡蠣が100個あったとして100個全部売るのはダメだけど、20個ならオッケーみたいな話です。テスト的には、集合物としての同一性が損なわれない限り銀行は文句言えないという覚え方をします。
譲渡担保についてはまずはこのくらいの知識を持っておいてください。何の資格でもそこまでメインで問われたりしませんので、ここはこのくらいにしてください。
それでは次回またお会いしましょう。
行政書士 西本
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