ナルシスト、サイコパス、ソシオパスなどの危険人物は、共通の手口を使って人を操作し、支配します。
その手口が『強制支配(コアーシブコントロール)』という行動パターンです。
『強制支配(コアーシブコントロール)』の認知度
日本では、モラハラ、パワハラ、毒親、いじめとして扱われていて、個人間の争いや陰湿ないじめとして片付けられています。
そして、単なる「不快な行為」として扱われたり、被害者の弱さや加害者の横柄さの問題として、世間では軽視されがちです。
さらに、被害を訴えると被害者が加害者扱いされたり、加害者の外面が良いために被害を信じてもらえなかったりすることが多々あります。
ところが、世界ではまったく異なる認識があります。
これらは「たまたま起きた嫌な出来事」ではなく、加害者が意図的に繰り返す支配と孤立化のパターンで、被害者を心理的に追い詰めて殺人にまで発展する可能性のある深刻な犯罪行為として扱われているのです。
実際、イギリス、アメリカやオーストラリアの一部の州では、この「支配のパターン」を『強制支配(コアーシブコントロール)』という犯罪として法律で定義し、刑罰の対象としています。
職場でのパワハラや学校でのいじめにも似た手口が使われますが、法律で刑罰の対象となっているのは、現時点ではDV(配偶者・恋人からの暴力)や家族によるものです。
行動パターンを見抜いたローラリチャーズ氏
危険人物が共通して行う行動パターンを見抜き、言語化して、犯罪として定義したのが、イギリス人のローラ・リチャーズ氏(Laura Richards)です。
元ロンドン警視庁犯罪行動分析家の彼女が見抜いたのは、単なる「不快な行為の積み重ね」ではありませんでした。
加害者は表面上は魅力的で説得力があるため、被害者の訴えが信じられにくいこと。
長期の支配により被害者自身が混乱し、何が起きているのか説明できなくなること。
そして、個別の出来事だけを見ても深刻に見えないが、パターンとして見ると明らかに犯罪的な支配行為であること。
これらを、感情論ではなく理論的な「行動パターン」として証明可能にしたのです。
その結果、2015年に英国でコアーシブコントロール法が制定され、『強制支配(コアーシブコントロール)』が刑事犯罪として罰せられるようになりました。
イギリスだけでなく、アメリカ、オーストラリアでは徐々に認知が高まりつつあり、いくつかの州で刑事犯罪として罰することができるようになっています。
犯罪ドラマのアドバイザーとして
彼女は犯罪ドラマのアドバイザーとしても活躍しています。日本でもNetflixなどで見られる『ダーティー・ジョン(Dirty John)』は、コアーシブコントロールの恐ろしさを伝える実話に基づいた作品です。
そして彼女はそのドラマの実在する被害者とともに、カリフォルニア州での法制化に貢献しました。刑事犯罪化まではされていないものの、『強制支配(コアーシブコントロール)』が確認できれば接近禁止命令を認める法律となっています。
「運命の出会い」の罠
危険人物が使う手口の一つに「ラブボミング(Love Bombing)」があります。これは相手を「運命の人」だと思わせるために、完璧に相手の興味・価値観を真似る心理操作で、心理学用語では「ミラーリング」と呼ばれています。
ローラリチャーズ氏が特に警告しているのは、おとぎ話や夢のようなドラマティックな出会いをエンターテインメントとして描くハリウッド映画やディズニー映画の危険性です。これらの映画は「運命の人」との出会いを大げさに美化し、観る人に「心がときめくもの」として刷り込んで先入観を与えます。
実際に「夢のような突然の出会い」を体験してサイコパスの被害にあった人が後を絶たない現実を、ローラリチャーズ氏は見てきました。このような被害者は、「夢のような突然の出会い」に違和感を感じたものの、「心がときめかない自分は頭がおかしい」と考えて自分の直感を信じず、頭で無理に正当化した結果、被害にあってしまうのです。
2人のジェニファー
ローラリチャーズ氏は、『強制支配(コアーシブコントロール)』の専門家として、世界中で法制化を支援する活動を続けています。
彼女の活動により、アメリカのコネチカット州では2021年にコアーシブコントロールを犯罪とする法律が制定されました。この法律は、コアーシブコントロールの犠牲となった2人の女性が偶然にもジェニファーという名前だったことから、ジェニファーズ・ロー(Jennifer's Law)と呼ばれています。
同じくローラリチャーズ氏が法制化に貢献したオーストラリアのクイーンズランド州では、2025年5月から犠牲者ハンナ・クラークさんの名前にちなんだハンナ法(Hannah's Law)が施行されています。
どちらも、コアーシブコントロールの犠牲者の名前を法律名にすることで、彼女たちの悲劇を二度と繰り返さないという強い決意が込められています。
元FBIプロファイラーのジムクレメンテ氏も、ローラリチャーズ氏も、その情熱と周囲を巻き込む力に圧倒されます。
日本でも、ハラスメントやいじめが単なる「個別の事件」ではなく、「支配のパターン」として認識される日が来ることを願うばかりです。
モラハラ、パワハラ、毒親、いじめなど、理不尽な状況に耐え続けていると、自分軸を失ってしまいます。
それは、「人格を否定され続ける」からです。
この状況が続くと、「自分が何を感じ、何を望んでいるのか」さえわからなくなってしまいます。
その失われた自分軸を取り戻す第一歩となるのが、ヒューマンデザインです。
ヒューマンデザインでは、あなたが生まれ持った本来の性質や才能を客観的に知ることができます。
そして、他人の価値観ではなく、自分の価値観、つまり自分の自分軸を理解することができます。